Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Overseas

JIMMY EAT WORLD

 

JIMMY EAT WORLD

Member:Jim Adkins(Vo/Gt)

Interviewer:山本 真由 Interview interpreted and translated by Ginger Kunita

今年、デビュー25周年を迎えたエモの代名詞的バンド JIMMY EAT WORLD。楽曲がCMにも使用されるなど、ここ日本でも高い人気を誇り、2017年のMAN WITH A MISSIONとの東名阪ツアーも記憶に新しい。そんな彼らが、記念すべき10枚目となるアルバム『Surviving』をリリースする。90年代から活躍し、2000年代のエモ・ブームを牽引した彼らは、今どのようなスタンスで自身の音楽と向き合っているのか。新しい試みは細かなところで取り入れつつも、ファンの期待を裏切らないキャッチーなメロディとストレートなロックが印象的となった今作について、フロントマンのJim Adkinsに語ってもらった。

-ニュー・アルバム『Surviving』の完成、おめでとうございます。もうすぐ新作リリースと共にツアーもスタートします(※取材日は10月8日)が、それまでの間はどのように過ごす予定ですか?

実はツアーは昨晩から始まっていて。というのも、アリゾナでウォームアップ・ショーをやったんだ。友達や家族も来てくれたし、小さいギグだったけれど、すごくいいショーになったよ。

-JIMMY EAT WORLDは、コンスタントにほぼ3年ごとに新作をリリースしていますが、これがバンドにとってちょうどいいリズムになっているのでしょうか?

これは計算しているわけではなくて、偶然3年ごとのアルバム・リリースになったんだよ。びっくりだよね(笑)! でもこのペースは、ビジネス的な面で言えば、あまりいいアイディアではないと思うんだ。ポップ・シーンにおける3年というスパンは、やっぱり長い。自分がどんなバンドであるのか、毎回説明する必要があるからね。今日より明日のほうが絶対良くはなっていくけど、自分が誇りに思える作品を作るのって、すごく時間がかかるものなんだ。だから、ビジネス的にプレッシャーをかけて進める、ってことはないかな。このやり方が、僕たちには合ってるみたいなんだ。

-今年は、1stアルバム『Jimmy Eat World』(1994年)のリリースから25周年ということで、2月には地元アリゾナでサプライズのバレンタイン・ショーも行われたようですが、今後のツアーなどに何かスペシャルな企画が盛り込まれる予定はありますか?

今のところ予定はないかな。というのも、長いことやってきたけど、僕たちは今この時に起きていること、そして次にやるべきことに100パーセント集中しているんだ。それに世の中の人たちって、記念日疲れしてるんじゃないかな。いろんなバンドが10周年記念とかをやっているのを見ると、"わぁ、ずいぶんと年をとったなぁ"って思ってしまうしね(笑)。僕たちは改めて、そういうのを再認識したいとは思わないかな。

-また、新作『Surviving』は10枚目のアルバムということで、特別な思いはありますか?

"自分たちがやりたいことをできている"という状況に、ものすごく感謝している。誰にでもできることではないからね。毎回、"これがラストかもしれないな"と思って全力を尽くしているんだ。それが功を奏しているのかな(笑)。

-前作『Integrity Blues』(2016年リリース)には、コンセプト・アルバムの要素があるとおっしゃっていましたが、今作には一貫したテーマのようなものはあるのでしょうか?

今回のアルバムでは、"存在すること"と"生きること"の差を探求してるんだ。"ただ生きて日々を過ごす"ことと、"すべてを感じながら生きる"ことは違う。自分が恐れていることと面と向かうべきなんだ。僕たちは心地いい泡の中で生きていくこともできるけど、そこから出ることになって、新しい物事に着手するときって、すごく怖いと思う。例えば仕事も嫌になっていて、恋愛もうまくいかないとするよね。そんなときでも、何も動かない人っていると思うんだ。なぜなら、怖いから。変だと思わないか? 何か変化を加えれば良くなるはずなのに、そうしないなんて。でも、そういう人って多いんだよね。落ち着いてしまう、というか。僕は"なぜ、そうするんだ?"っていつも思うんだよ。

-また、今までは写真をモチーフに使ったアートワークが多かったですが(2013年リリースの8thアルバム『Damage』以外)、今作のアートワークは、これまでにないようなテイストのデザインですね。迷路はテーマを示唆したものになっているということでしょうか?

そういう部分もあるね。人って、自分自身で物事を複雑にしてしまうところがあるから。例えば、何か言い合いがあったとする。そんなとき、君は何をしたいと思う? 自分が正しくありたいだけ? あるいはきちんと問題を捉えて、理解度を上げたいのか? 本当の解決とは何か、ということだよね。

-今作は、前作と同じくJustin Meldal-Johnsenをプロデューサーに迎えていますが、変化を求めた前作とは違い、今作には前作からの流れが重要だったということでしょうか?

前作で彼と仕事をしたとき、すごく楽しかったんだ。彼は様々な音楽的知識を持っていて、いろんなテイストの引き出しがある。JustinはこれまでM83やPARAMOREといったバンドをプロデュースしてきた経験があるし、NINE INCH NAILSのベーシストを務めたり、BECKとも仕事をしたりしているからね。広い視野がありながらも、プロデューサーとして自分のレコードを作ろうとは絶対にしない。僕たちにとっての最善策を、常に考え抜いてくれるんだよ。

-今作は音楽的には、アコースティック・ギターを全面に使用した前々作(『Damage』)や、実験的要素も多かった前作よりは、ストレートなロック・ソングが多く、エネルギーに満ち溢れている印象があります。今作はよりパワフルな作品にしようという意図があったのでしょうか?

特に意図はなくて、とても自然に湧いて出てきた感じだったかな。僕たちはギター・ロックを聴きながら育ってきて、もう、僕の一部になっているからね! だから、アルバムのメインの部分として出てきているんだと思うよ。

-歌詞については、どのようなところからインスピレーションを得ていますか? 作詞に関して苦労した部分はありますか?

これまでもそうだったけど、歌詞って、いつも自信のない部分なんだよね。もちろん、今まで作ってきたものはすべて誇りに思っている。ただ、僕自身が、歌詞に求める理想が高いんだ。だから、自分自身を満足させるのってすごく難しい。インスピレーションの部分に関しては、自分自身や、周りにいる人が何かに苦しんでいたりして、それに対して何か書きたいと思うこともある。「Surviving」では、成長するために恐怖に立ち向かうことを書いていて、それは僕自身のことでもある。こういった場面は、すごく普遍的なことだよね。

-アルバムに先駆け、昨年両A面のシングル『Love Never / Half Heart』がリリースされましたが、特に今作にも収録されている「Love Never」はファンが求めているJIMMY EAT WORLDらしさがあるように感じます。ライヴでもすでに披露されているようですが、ファンの反応はいかがですか?

みんな楽しんでいるみたいだよ! この曲が聴きたくて、ツアー・バスを叩いてくるファンもいたくらい(笑)。