Overseas
JIMMY EAT WORLD
2013年06月号掲載
Writer 山口 智男
ビッグニュース!ビッグニュース!JIMMY EAT WORLD(以下JEW)8作目のニュー・アルバム『Damage』が6月26日にリリースされることが決定した。2013年の上半期のロック・シーンを代表する作品になることはまちがいない。世界中がこれを待っていた。こんなにうれしいことがあるだろうか――と、ここまで書いてきてふと思った。JEWが新作をリリースすると聞いて、興奮しているリスナーの多くは30代以上で、案外、10代、20代のリスナーはそれほどピンと来てはいないんじゃないか、と。
エモと言えば、JEW。JEWと言えば、エモ。それは知っていても、彼らがエモ・ムーヴメントを代表する存在という周囲からの評価を確かなものにしたのは、かれこれ10年以上も前のことだ。しかもエモ・バンドであることを自ら認めていたわけではないJEWはその後、脱エモを進め、90年代オルタナの延長で、より普遍的なロック・サウンドを追求しはじめた。
たぶんJEW=エモというある時期、ロック・シーンで通用していた公式を、情報としては知っていても、それを実感として受けとめていないリスナーにとっては、エモとしてのJEWは伝説の中の存在であって、自分たちの目の前にいる彼らは大人のロック・バンドというイメージがあるんじゃないだろうか。そういうリスナーに向かって、ビッグニュースだと喚いてみたところで、なぜそこまで興奮しているのか本当の意味は伝わらないと思うから、ここでは今一度、彼らのキャリアを振り返ってみたい。
JEWの結成は1993年。アリゾナ州の州都フェニックスにほど近いメサでJim Adkins(Vo/Gt)、Tom Linton(Vo/Gt)、Zack Lind(Dr)、前ベーシストの4人で活動を開始。翌1994年、早速、『One, Two, Three, Four』と題したEPとセルフタイトルのアルバムをフェニックスのインディー・レーベルからリリース。地道なツアー活動によって、その存在が知られるようになっていった彼らは1995年、メジャー・レーベルと契約を結ぶと、翌1996年、前ベーシストと交代したRick Burch(Ba)を含む現在のラインナップでレコーディングした『Static Prevails』でメジャー・デビューを飾った。1999年、メジャー第2弾アルバム『Clarity』をリリース。このアルバムからは映画に使われた「Lucky Denver Mint」のヒットが生まれたが、アルバムそのもののセールスはレーベルが期待していたほどではなかった。
しかし、激しさを感じさせながら、どこか俯き加減を思わせる美しいメロディを振り絞るような感情表現とともに歌い上げる曲の数々とプログラミング、ストリングス、ピアノも使い、儚ささえも醸しだした緻密なサウンド・プロダクションが当時のロック・シーンに提示したものは大きかった。もっとも、そういうサウンドを奏でたのは、JEWがはじめてではない。しかし、『Clarity』を聴き、それまで曖昧だったエモを、具体的なサウンドとしてイメージできるようになったというリスナーは少なくないはず。もちろん、筆者もその1人。
JEWと言うと、2008年に日本でビールのCMに使われ、彼らの存在をより多くの人々に知らしめた「Sweetness」が収録されている『Bleed American』ということになるようだが、エモということにこだわるなら、断然、エモ特有の美意識が感じられる『Clarity』だろうと筆者は考えている。もっとも、彼らが2002年にリリースした『Bleed American』が名盤であることは紛れもない事実だ。『Clarity』からようやく火がつきはじめた人気は、よりロック然としたバンドの姿を印象づけた『Bleed American』の大ヒットに結実。前述した名曲中の名曲「Sweetness」の他、「The Middle」「If You Don’t, Don’t」といった人気曲を多数収録した『Bleed American』が実はレーベル契約を失ったJEWが場合によっては解散することも覚悟のうえ、背水の陣で臨んだ作品だったことは今となっては、いい思い出だ。
エモ・シーンに止まらない――現代を代表するロック・バンドの地位を確かなものにしたJEWは2005年発表の『Futures』以降は前述したように、より普遍のロック・サウンドを追求するようになる。その『Futures』のプロデューサーに、エモのイメージが強いセンセイことMark Trombinoではなく、THE PIXIES、FOO FIGHTERSを手がけてきたGil Nortonを起用したことからも彼らが何を目指しているかは明らかだった。
その挑戦は『Futures』の全米6位とゴールド・レコード認定。そして『Chase This Light』(2007年)の全米5位という成功をバンドにもたらしたが、彼らの成功を喜びながら、少なくない数のリスナーが大人のロック・バンドに転身を遂げたJEWに一抹の寂しさも感じていた……ハズだ。今回、前作『Invented』から3年ぶりにリリースする『Damage』は『Futures』以降、作品の完成度をプロフェッショナルに求めてきた彼らが再び『Bleed American』の頃を思わせるざっくりとした作風に回帰したところに我々30代以上のリスナーがいつも以上に興奮する理由がある。
『Clarity』の頃に立ち返ろうという想いもあるらしい。アラフォーになった現在の視点でとらえた失恋というテーマもなんだかエモいじゃないか。1stシングルの「I Will Steal You Back」や「How’d You Have Me」といった、これぞJEWと言いたいロック・ナンバーからはエモ時代のヴァイブも感じられる。その意味では、JEWは「Sweetness」と思っている10代、20代のリスナーにこそ聴いていただきたい。『Clarity』や『Bleed American』の頃の彼らを追体験できるとは言えないまでも、エモと言えば、なぜJEWなのかその理由を実感してもらえるはずだ。
しかし、だからと言って、単純に原点回帰と言えないところが、20年のキャリアを持つベテランならでは。半数以上の曲でかき鳴らすアコースティック・ギターの音色が新しい。ネアオコ風の「Book Of Love」や、ほぼ弾き語りの「You Were Good」がアピールする新境地が、彼らがバンドとして新たな局面を迎えたことを印象づける。そんなところも含め、『Damage』はなんともフレッシュな新作なのである。
- 1
LIVE INFO
- 2025.10.27
-
YOASOBI
錯乱前戦
Damiano David(MÅNESKIN)
- 2025.10.28
-
終活クラブ
SIX LOUNGE
アイナ・ジ・エンド
YOASOBI
吉澤嘉代子
藤巻亮太
超能力戦士ドリアン
サニーデイ・サービス × NOT WONK
リュックと添い寝ごはん
- 2025.10.29
-
吉澤嘉代子
Damiano David(MÅNESKIN)
amazarashi
キュウソネコカミ
moon drop
怒髪天
- 2025.10.30
-
超☆社会的サンダル
LONGMAN
YOASOBI
凛として時雨
夜の本気ダンス
キュウソネコカミ
SIX LOUNGE
打首獄門同好会
Nikoん × Apes
挫・人間
- 2025.10.31
-
すなお
ExWHYZ
吉澤嘉代子
東京スカパラダイスオーケストラ
LONGMAN
YOASOBI
ガガガSP
フリージアン
FINLANDS
Newspeak
夜の本気ダンス
go!go!vanillas
超能力戦士ドリアン
インナージャーニー
岸田教団&THE明星ロケッツ
ポップしなないで
RAY
アイナ・ジ・エンド
- 2025.11.01
-
東京スカパラダイスオーケストラ
怒髪天
PIGGS
超☆社会的サンダル
ポルカドットスティングレイ
MONOEYES
シド
LACCO TOWER
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
LiSA
Omoinotake
"ボロフェスタ2025"
ドミコ
TOKYOてふてふ
Dannie May
SIX LOUNGE
hockrockb
go!go!vanillas
osage
RADWIMPS
The Biscats
brainchild's
ぜんぶ君のせいだ。
INORAN
chilldspot
moon drop
インナージャーニー
KANA-BOON
AFTER SQUALL
松永天馬(アーバンギャルド)
NANIMONO
愛美
CYNHN
DeNeel
kobore
the cabs
離婚伝説
[Alexandros] / WANIMA / UNISON SQUARE GARDEN / くるり ほか
- 2025.11.02
-
osage
OKAMOTO'S
PIGGS
HEP BURN
秋山黄色
吉澤嘉代子
MONOEYES
セックスマシーン!!
ビレッジマンズストア
離婚伝説
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
"ボロフェスタ2025"
KING BROTHERS
wacci
Laura day romance
PIXIES
Devil ANTHEM.
TOKYOてふてふ
RADWIMPS
Dannie May
ぜんぶ君のせいだ。
INORAN
キタニタツヤ
moon drop
KANA-BOON
AIRFLIP
ハンブレッダーズ×秀吉×囲碁将棋
羊文学 / sumika / クリープハイプ / マルシィ ほか
私立恵比寿中学
The Biscats
WtB
:[Alexandros] / 10-FEET / go!go!vanillas / マカロニえんぴつ ほか
bokula.
- 2025.11.03
-
irienchy × no more
NANIMONO
秋山黄色
フレデリック
怒髪天
OKAMOTO'S
東京スカパラダイスオーケストラ
Devil ANTHEM.
ポルカドットスティングレイ
セックスマシーン!!
キタニタツヤ
シド
LiSA
"ボロフェスタ2025"
yama
キュウソネコカミ
愛美
brainchild's
藤巻亮太
AIRFLIP
私立恵比寿中学
Bye-Bye-Handの方程式
moon drop
SCOOBIE DO
the telephones
フラワーカンパニーズ
清 竜人25
THE BACK HORN
凛として時雨
Age Factory
hockrockb
LACCO TOWER
阿部真央
- 2025.11.06
-
RADWIMPS
古墳シスターズ
ねぐせ。
超能力戦士ドリアン
吉澤嘉代子
TENDOUJI
東京スカパラダイスオーケストラ
THE SPELLBOUND
LEGO BIG MORL
LONGMAN
キュウソネコカミ
フィロソフィーのダンス
夜の本気ダンス
GLIM SPANKY / 神はサイコロを振らない / レトロリロン
礼賛
ブランデー戦記
- 2025.11.07
-
YONA YONA WEEKENDERS
コレサワ
Rei
SIX LOUNGE
古墳シスターズ
あたらよ
Chimothy→
NANIMONO
超能力戦士ドリアン
崎山蒼志
ザ・シスターズハイ
MONOEYES
インナージャーニー
PompadollS
LEGO BIG MORL
androp
reGretGirl
終活クラブ
フレデリック
DOES
brainchild's
LUCKY TAPES
大橋ちっぽけ
BLUE ENCOUNT
- 2025.11.08
-
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
ねぐせ。
FINLANDS
フラワーカンパニーズ
NANIMONO
Rei
SCOOBIE DO
打首獄門同好会
離婚伝説
PIGGS
終活クラブ
東京スカパラダイスオーケストラ
moon drop
キュウソネコカミ
eastern youth
wacci
Cody・Lee(李)
フレデリック
osage
怒髪天
優里
ASH DA HERO
irienchy × no more
パスピエ
MONO NO AWARE / ウルフルズ / Jeremy Quartus(Nulbarich) / SIRUP ほか
向井秀徳 / the band apart / ラブリーサマーちゃん / サニーデイ・サービス / 石野卓球 ほか
ザ・シスターズハイ
藤巻亮太 / SHE'S / SOIL&"PIMP"SESSIONS / 寺中友将(KEYTALK) / CENT ほか
ビレッジマンズストア
- 2025.11.09
-
コレサワ
Mrs. GREEN APPLE
Laura day romance
ねぐせ。
NANIMONO
SUPER BEAVER
フラワーカンパニーズ
あたらよ
ズーカラデル
osage
FINLANDS
SCOOBIE DO
MONOEYES
Devil ANTHEM.
崎山蒼志
打首獄門同好会
キタニタツヤ
リュックと添い寝ごはん
LUCY
水平線
KANA-BOON
ラックライフ
暴動クラブ
東京スカパラダイスオーケストラ
chilldspot
インナージャーニー
ドミコ
森 翼
PompadollS
Appare!
キュウソネコカミ
eastern youth
Cody・Lee(李)
BLUE ENCOUNT
優里
岸田教団&THE明星ロケッツ
Rhythmic Toy World / BIGMAMA / LACCO TOWER / kobore ほか
ASIAN KUNG-FU GENERATION / SHISHAMO / 水曜日のカンパネラ / TENDRE ほか
シド
"四星球放送局FESTIVAL"
Dannie May
a flood of circle
センチミリメンタル
怒髪天
- 2025.11.11
-
PEDRO
Age Factory×ジ・エンプティ
BIGMAMA
Laughing Hick
SAKANAMON
僕には通じない
Ado
RELEASE INFO
- 2025.10.29
- 2025.10.30
- 2025.10.31
- 2025.11.05
- 2025.11.07
- 2025.11.09
- 2025.11.10
- 2025.11.11
- 2025.11.12
- 2025.11.14
- 2025.11.17
- 2025.11.18
- 2025.11.19
- 2025.11.21
- 2025.11.26
- 2025.12.03
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
暴動クラブ
Skream! 2025年10月号









