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INTERVIEW

Japanese

été

2019年04月号掲載

été

Member:オキタユウキ(Gt/Vo) ヤマダナオト(Ba) 小室 響(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

初の全国流通盤ミニ・アルバム『Burden』のリリースからわずか3ヶ月。3ピース・オルタナ・バンド、étéの1stフル・アルバム『Apathy』が完成した。激情ハードコアや予測不能の展開のサウンドと、中性的なオキタユウキのポエトリー・リーディングや歌が、歪にも有機的にも絡み合って生まれるヒリヒリとした音楽は、この『Apathy』でさらに広がりを見せている。打ち込みと生のバンド・グルーヴとが掛け合うアンビバレントな感触やメタル要素を毒々しく盛り込み、聴き手にフラッシュバック的な効果をももたらしたり、かと思えばストイックに削ぎ落とした音でズシンと重みある余韻をもたらしたりと、大きなサウンドスケープで深くétéの世界を描いている。

-前作『Burden』(2018年12月リリースの2ndミニ・アルバム)からわずか3ヶ月でのフル・アルバムとは、すごいスピードですね。

オキタ:すごかったですね(笑)。改めて振り返ると。

-制作はどのように進んでいったんですか?

オキタ:今作はétéにとって初のフル・アルバムなんですけど、前作をリリースするときにはこのフル・アルバムのリリースも決まっていたんです。だからある程度早い段階で制作には入っていたんですけど、本格的に制作のリズムが立て込み出したのが、年が明けてからで。レコーディングと並行して制作が進んでいましたね。メンバーには結構無理を言ったなと思います。

ヤマダ:アレンジの面ではそうですね。デモがきた当日にレコーディングをする曲もあって。前作でもそれはあったんですけど、そういうのがより多かったですね。自分の考えたフレーズをレコーディングで弾けるようにしたり、叩けるようにしたりするのが大変で。

小室:あったね。自分が考えたものなのに叩けないとか。だからレコーディング前にスタジオを予約して、そこにまず入って練習をしてという。

-オキタさんの頭の中では、何かしらétéのアルバム像は描いていたんですか?

オキタ:何曲かできた時点で......でもこうなるとは予想はできなかったですね。途中からこれはパーソナルな作品になるなという予感はしていたんですけど。実際にできあがってみて一聴すると前回のミニ・アルバムよりもポップというか、曲の振れ幅もさらに広いし。構想とまったく同じものができたかというとそうではないんですけど、それが楽しいなと思いましたね。想像を超えているなと思ったので。

-制作の中でどんどんクリエイティヴになっていったんですね。最初にできていった曲はどのあたりですか。

オキタ:最初だと「とおくなるのは、」と「灯」という曲ですね。「灯」は以前リリースした、今は廃盤になっているミニ・アルバム『朝を待つ』(2017年リリース)に入っています。アレンジはまた全然違うものなんですけど。

ヤマダ:今のものがもともとあったアレンジなんです。前のミニ・アルバムに入れたのはバンドでアレンジをしたもので、今回はオキタがアレンジしてたものを再録する形にしています。

-改めて1stアルバムに収録したのは、大事な曲だったからですか?

オキタ:個人的にはすごく気に入っている曲で。明るいとも暗いともとれない曲というのが僕の中でそう多くはないというか。わりと強い印象を与える曲が多いので、その中でもこういう空気感や全体のアレンジも含めて、アルバムに必要な曲なんじゃないかなと思ったんです。

-先ほど今回はポップだという話がありましたけど、アレンジなどはこれまで以上にデリケートで広がりがあって、こだわりも感じます。前作よりも確実に進化しているし、こんな面も持ったバンドなんだと聴くたびに驚きがある作品に仕上がっていますね。

オキタ:前作と比べると、10曲というボリュームの中だったのでやれることが多かったですね。僕たちも、表現したい、挑戦したいアプローチだったり、前回やっていないことだったりをよりたくさん入れていて。そういう意味でも、幅が広いぶん音をデリケートに作っていったのかなと思います。

-オキタさん自身はどうだったんでしょう。曲を生み出していくしんどさがあったのか、それとも作り続けることでランナーズ・ハイ的な状態を味わっていたのか。

オキタ:終盤はハイな状態ですね(笑)。もしこれが3ピースのメロコア・バンドとかだったら僕はしんどかったと思うんです。

ヤマダ:制限があってやれることが少ないみたいなこと?

オキタ:うん。曲の幅が広いぶんそこまでしんどくないし、また別の角度から曲が作れるなっていうのもあるから。

-曲の作り方としては、こうじゃなきゃっていう制限が最初からないわけですね。3人で演奏できるかどうかよりもこの3人が表現できればいいっていう。

オキタ:音源に関してはそこが大きいです。

-だからこそ「Apathy」のような曲もできてしまう。メロウでいろんなビートが混じり合っていて、歌い方もいろんなアプローチで饒舌に気持ちを伝えていて、新しくもありこのバンドの旨みをうまく表現してるなと。

オキタ:「Apathy」に関しては、ポエトリー・リーディングもあるし、歌もあるし、ラップも入っていて。サウンド的にも、打ち込みが入って生のサウンドもあってと詰め込まれている曲だなと思いますね。この曲は生ドラムのイメージがあまりなくて、途中まで打ち込みのドラムが入って、途中から生のドラムになってと繰り返すというのが最初から頭にありました。

-ドラマーの小室さんとしても打ち込みが入ることはOKだった?

小室:そうですね。ハイブリッドな曲だし、全然ありだと思うので。

-「ライフイズビューティフル」も打ち込みが入った曲ですね。

ヤマダ:「ライフイズビューティフル」は、最初もっと打ち込みっぽい曲になるのかと思っていたんですけど、ベースとドラムを入れてみたら意外と"もっとこういうアプローチがいいんじゃないか"っていうのが出てきて化けた曲ですね。

オキタ:デモの段階では生ドラムはバスドラくらいしか入ってなくて、ベースはシンセだけで。

ヤマダ:それで僕がもっとこういうベース入れたいって言って。生ベースとシンセ・ベースの掛け合わせ感を出したくてああいうバランスになりました。この曲は僕自身のルーツに近かったのもあって、étéでこれが出せるんだっていうのもあったし。それがちゃんとétéっぽくまとまっているのがすごいなって思いましたね。