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INTERVIEW

Japanese

été

2018年12月号掲載

été

Member:オキタユウキ(Gt/Vo) ヤマダナオト(Ba) 小室 響(Dr)

Interviewer:秦 理絵

言葉にできないほどつらいとか、言葉にできないほど嬉しいとか。そういうのを言葉にする仕事を選んだから、歌詞には妥協したくない


-"été"というバンド名に、どんな由来があるんですか?

オキタ:フランス語で"夏"っていう意味です。夏に思い入れがあるんですよね。どんな季節でも、夏のことを考えちゃうというか。夏のにおいだとか、明るさだとか。

-今のétéの音楽を聴くと、あんまり季節感はないですよね。むしろ冷ややかな感じがするから、冬っぽい気がする。

ヤマダ:たしかにそうかも。前身バンドのときに「8月」っていう曲があって、そこから"夏"の意味を持つ言葉がいいなと思ったんですよね。

-今回リリースされる『Burden』は何回も聴かせてもらいましたけど、étéが鳴らすサウンドが唯一無二であるっていうことを強く感じる作品でした。

ヤマダ:僕らも名刺になるようなアルバムを作れたと思いますね。

オキタ:自分たちでも何度も聴いてるんですけど、楽曲の幅が広いなと思いますね。初の流通盤で、ちゃんと僕らのやりたいことを提示できたなと思います。

ヤマダ:必死で作りましたからね。あんまり時間もなくて、4曲目に入ってる「デッドエンド」は、REC当日にスタジオでドラムのフレーズを考えて、そのまま夜に録ったりしたので。自分としては本当に決死のアルバムですね(笑)。

オキタ:うん、あのドラムは完璧。

小室:あの曲のドラムはレコーディングするまでの間もずっと考えてましたからね。僕らは曲ごとのフレーズにめっちゃ凝るんですよ。そこは妥協したくないなと思ってて。

-étéの楽曲って、とにかく展開も情報量が多いから、凝り始めると大変そう。

ヤマダ:本当に展開が多いですね。

小室:むしろ覚えるのも大変なんですよ(笑)。

オキタ:AメロとBメロで同じことを繰り返したくないんです。ガラッと変えたいと思ってしまうから。あと、歌詞も妥協したくなくて。言葉にできないほどつらいとか、言葉にできないほど嬉しいとか、そういうのを言葉にする仕事を選んだと思ってるので、そういう意味では、この7曲ではそれが全部できたと思うんですよね。

-曲作りは、作詞作曲をしているオキタさんのデモから膨らませていくイメージ?

ヤマダ:そうですね。

-その中でベース、ドラムとしては、どんなことを意識して演奏していますか?

ヤマダ:変拍子ってノリづらいと思うんですよ。でも、それでいかにノってもらえるかを考えてますね。ベースのグルーヴでまったく違うものに変えられると思うので。

小室:オキタの歌を引き立たせて、邪魔しないようにしながら、どれだけ自分の色を出したり、複雑なフレーズを詰め込んだりできるかを考えてます。

ヤマダ:そうだね。僕も歌をどう引き立たせるか、そのなかで、いかに自分のかっこいいベースを弾けるかは意識してますね。やっぱり僕らは歌のバンドだと思ってるので。

オキタ:そもそもétéはそんなに変拍子にはこだわりがないんですよね。作っていると、自然と変拍子になってしまうっていう感じで。いかに変拍子っぽく聴かせないかっていうのはこだわりたいんですよ。

ヤマダ:変拍子は聴いてほしいわけじゃなくて、なっちゃったものだからね(笑)。

-今回のアルバム『Burden』は、今までにライヴでやっていた曲が多いんですか?

オキタ:今回のアルバム用に書いたのは2曲だけですね。それ以外はライヴでやっていたり、音源化はしていなかったけど、ストックしていたりした曲になります。

-アルバムのオープニングを飾るリード・トラック「DAWN」はまさに今作を象徴する1曲だと思いますけど、これは新しい曲ですか?

オキタ:これはアルバムを作るって決めてから作り始めた曲です。

小室:この曲には、étéの要素が全部入ってると思います。変拍子だったり、難しいフレーズもあったり、メロディもあるし、展開も多いし。

オキタ:もともとは、3月にリリースした『I am』で提示したスタイルをより強いものにしようと思って作った曲なんです。ハードコアっぽいというか。他とは違うギターを使ってレコーディングをしていて、パンチのある曲にしたかったんです。

ヤマダ:『I am』でやりきった感覚があったから、「DAWN」ではそこからさらに進化させた場合にどうなるか、みたいなのを表現できたかなと思いますね。

-「DAWN」の歌詞では、"夜が明けても 何も変わらない"って歌っているじゃないですか。で、「デッドエンド」では、"出来るなら ぼくはただ 変わらないままで"とも歌っていて。そこにオキタさん自身の"変わりたいけど、変わりたくない"というような複雑な感情が見えるような気がするんですよね。

オキタ:僕の中のテーマとして、変わる、変わらないもあるんですけど、赦す、赦さない、というのもあるんです。"赦すこと"とか"変わっていくこと"が美化されがちだなと思っていて。そうした方がいい風潮というか、通念みたいなのがある。でも、個が変わらないことの方が僕は難しいと思っていて。それこそが我というか。「デッドエンド」でも"赦せないことは赦さずいようよ"って歌ってるんですけど、変わらないこと、赦さないことは難しいから、変わること、赦すことっていう簡単な方に逃げていくしかない。僕は、本当に変わりたくないと思ってるんですよ。でも、変わらないことに固執しているだけだと、ただそこにいるだけの人になっちゃうのもわかるんです。だから今、"変わりたい"っていう感情にもとれるって言ってくれましたけど、それは、変わる/変わらないという感情を相対的に向き合っているから、そこに二面性が出てるんだと思います。