Japanese
Newspeak
2018年10月号掲載
Member:Rei(Vo/Key) Ryoya(Gt) Yohey(Ba) Steven(Dr)
Interviewer:TAISHI IWAMI
-例えば「Lake」。ああいうトロピカルな香りがしてメロディが爽やかな曲だと、ディスコっぽく仕上げることが多いと思うんです。ブリッジであんなにロックで重いドラムはなかなか打たない。
Rei:そうですね。あのブリッジのドラムはNewspeakらしさを象徴していると思います。僕も弾き語りで作ったときに、もっと爽やかなイメージを持ってたんですけど、ブリッジのところでStevenが思いっきり叩き出して、"ちょっとやめて!"って言ったんです。でも、やめてくれなかった(笑)。それが不思議なもので、聴いていくうちにだんだんカッコ良く感じてきて。だからどの曲でも、ちょっと拒否反応が出るようなことがあったら、否定するんじゃなくて立ち止まってみる。それで良かったら、コンプをかけすぎずに出していくようにしています。
-フィルもガンガンいくじゃないですか。
Steven:最初はリハーサル・スタジオで試すから、やりたいようにやるんですけど、ライヴになると疲れる(笑)。だから最近はシンプルに......って話は冗談だけど、ちょっと考え方が変わってきた部分もあるんです。サマソニ("SUMMER SONIC 2018")でTAME IMPALAのライヴを観て思ったんですけど、シンプルなパターンと向き合って心を込めて叩くのもカッコいいなって。そこはこれからですね。
-ギターもソロが多いですし、バックで弾いている部分も、歌心があって好きなんです。
Ryoya:最初はあまりソロを弾きたくなかったんです。インディー目線でこのバンドを考えたときには特に。でもStevenはソロが好きだし、普通に"サビの次はソロね"とか言ってくるから、弾いてるうちに楽しくなってきました。
-なぜ楽しくなってきたんですか?
Ryoya:今の音楽って、あまりギターを立たせないじゃないですか。バックでもカッティングとか、単音でもリズムに寄った感じで。そこはメロディアスにやりたいっていうのはもともとあったんで、自然な流れだったような気がします。
-「Wall」でザクザクと弾くところも印象的でした。
Ryoya:それはRADIOHEADの「Creep」にやられた口で、Jonny Greenwoodが大好きな自分が出てます(笑)。
-ベースはどうですか? 「Monetized Love」のように、ベース・ラインがグルーヴを引っ張る曲もあれば、曲にそっと寄り添うような演奏もあります。
Yohey:「Monetized Love」は僕がベース・ラインから作った曲と、Reiの曲をミックスした曲なんです。他はわりと曲に寄り添ってるイメージではあるんですけど、Reiの歌に合わせるのか、Stevenのドラムに合わせるのか、そこが離れていって僕も真ん中にいられなくなったらどっちサイドに寄っていくか、とかいろいろ考えつつ、まったく違う方向にいくときも。あえてそこに注目して聴いてもらうと、手に取るようにわかりますよ。
-そのなかで、Yoheyさんならではの音がある。
Yohey:音に関しては、60年代とか70年代の音楽にあったパワーや生々しさですね。サウンド・スタイルによるジャンル云々ではなく、僕がロックだと思うあの感じは損なわないようにしています。
-メロディのバリエーションもいいですよね。最後の2曲「Let Down」と「Wanna Stay」は少し色が違って、その歌心からTHE SMITHS以降の90年代ブリットポップの香りがするんです。
Rei:その2曲に関しては、弾き語りで何も考えずに歌が出てきたというか、歌が主体にあるんです。だからそういうメロディになったのかと。
Yohey:アレンジも歌に対してストレートに乗せていったからか、この2曲は異様に早かったです。
-「Let Down」は初の日本語詞も交ざっています。Reiさんは日本語も英語も話せるなかで、触れてきた音楽がほぼ海外のものですよね?
Rei:はい、そうですね。
-出てくるメロディに日本語は乗せにくくなかったですか? 英語詞のバンドが日本語を使って極端にダサくなるパターンも少なくないですし。
Rei:「Let Down」に関しては、ジブリを観ていたことからできた曲でもあったんで、日本語で歌いたかったんです。でも、ずっと英語で曲を作ってきたから、歌における日本語の使い方がわからなくて苦労しました。実は前のEP「July」(2017年リリースの2nd EP表題曲)も最初は日本語だったんですよ。それをみんなに聴かせたら全否定された過去があります(笑)。
Yohey:で、ちょっと聞きたいんですけど、これだけ曲によってメンバーそれぞれがやりたいことをぶつけていったら、作品としては散らかった印象にならないですか?
-それぞれの音も歌も、過剰なくらいエモーショナルな部分もありながら、ギリギリのところでまとまっているのがNewspeakの個性だと思いますし、何より楽しそうですし。
Rei:アルバムを通して、感情とサウンドが一致するようにしたかったんで、良かったです。
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