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INTERVIEW

Overseas

Jon Spencer

2018年11月号掲載

Jon Spencer

Member:山口 智男

-他にも参加メンバーがいますよね。「Beetle Boots」の女性コーラスは誰なのでしょうか?

すごい観察力だね(笑)。そうそう、バッキング・ヴォーカルが入っている曲がいくつかあるんだ。SORDが歌っているのもあるし、あとはJessica Ruffins。Jessica RuffinsはKey Clubの共同オーナーなんだ。

-他の曲と比べると、ストレートなバンド・サウンドを聴かせる「I Got The Hits」は、アルバムの中では逆に異色と言える曲になりましたが、なぜ、他の曲のようにジャンクなサウンドにならなかったのでしょうか?

違うといえば、あの曲にはリズム・ギターが入っていることかな。多くの曲はコードをちゃんと弾いてなくて、単弦で弾いているからね。あの曲は伝統的というか、リズムが入っている唯一の曲なんじゃないかな。メインのギターが単弦のメロディを弾く代わりにコードを弾いているんだ。

-あぁ、だからストレートなバンド・サウンドに聴こえたのかも知れませんね。

たしかに、そうするとよりストレートでトラディショナルな感じになるよね。

-最後の「Cape」はTHE CRAMPSを彷彿とさせますが、Jonは彼らのファンですよね。

あぁ、THE CRAMPSは大好きだよ。と言ってもTHE CRAMPS風の曲を書こうというつもりはなかったけどね。ただ、"THE CRAMPSっぽい"と言われるのは理解できるな。それは構わないよ(笑)。

-この曲のギター・プレイはやはりPoison Ivy(THE CRAMPS)を意識しているんでしょうか?

Poison Ivyのことはいつも考えてるよ。ギターを弾いてないときだってね!

-そんなに大きな影響を受けているんですか。ギタリストとしての成長過程の中で。

うーん、若いころより最近の方が影響が大きいかな。

-それは今回昔の自分に立ち戻ってみて感じたのですか?

まぁ、Poison Ivyは間違いなく大きな影響源だけど、さっき"ギターを弾いてないときも彼女のことを考えている"と言ったのはジョークだから(笑)。クールな人だからね。真面目に答えると、たしかにTHE CRAMPSの影響は大きいし、中でもIvyの影響は大きい。パンク・ロック・シーンでも指折りの素晴らしいギタリストだったと思うよ。

-さっきツアーの話が出ていましたね。ヨーロッパに行くと。それはSamとSORDと行くのでしょうか?

SamとSORDと、あと4人目のメンバーとしてBob Bert(PUSSY GALORE/ex-SONIC YOUTH etc)が行くよ。パーカッションをやるんだ。スタジオではパーカッションの部分をオーバー・ダブしたけど、ライヴではもうひとり必要だった。それで、この前の夏、全米ツアーをしたとき、それから秋にヨーロッパをツアーするときは、パーカッションをBob Bertにやってもらうことにしたんだ。Bobは俺のニューヨークの旧友で、言うまでもなくPUSSY GALOREで一緒だったからね。

-これから日本に来る可能性はありますか?

そうなることを願っているよ。今、ヨーロッパ・ツアー後のプランを検討しているところでね。2019年には実現したいというのが俺の願いなんだ。

-HEAVY TRASHの来日公演(2008年1月に東阪で開催)も評判でしたものね。いろいろなプロジェクトであなたを観たいというファンは多いですよ。BLUES EXPLOSIONのみならず、HEAVY TRASH、そしてソロと。

それは嬉しいね。俺もぜひ行きたいと思っているよ。

-最後にJonが考えるソロ・アルバムの聴きどころと、日本のファンにメッセージをお願いします。

聴きどころ? うーん、わからないなぁ。音楽とはちょっと離れた話にしようか。パッケージを手掛けたのは、地元ニューヨークのコミック・アーティストでKatie Skellyという人なんだ。彼女がアルバムのために絵を描き下ろしてくれてとても嬉しいよ。ジャケットも作ってくれたし、パッケージも。俺がとても惚れ込んでいるアーティストだから、手掛けてもらえたのはとても嬉しかったね。美しいアートワークと素敵なパッケージに気づいてもらえることを願っているよ。それから写真は俺の旧友、Michael Lavineが撮ってくれたものなんだけど、MichaelはPUSSY GALORE時代にも写真を撮ってくれた人なんだ。PUSSY GALOREがアルバム『Right Now!』(1987年リリース)を作ったときに、ジャケット用の写真を撮ってくれたのが彼だった。当時ガールフレンドだったCristinaが地元の美術学校に"フォトグラファーが必要なんです"って電話してくれたんだ。それで、電話を取った教授が"今側にひとりいるよ"と言って、Michaelに電話を代わってくれた。当時彼はまだ学生だったね。彼とはそうやって出会って、それ以来長年の付き合いなんだ。彼とのフォト・セッションはいつも楽しいし、彼がフォトグラファーとして成長していくのを見ているのも素晴らしかったよ。彼はパンク・ロックやインディー、グランジのミュージシャンだけじゃなくて、たくさんの有名人を撮ってきたんだ。ポップやヒップホップのミュージシャンもね。Michaelのそういうキャリアを見てこられたのは大きな喜びだよ。それから日本のファンへのメッセージとしては、まずはなんと言っても"ありがとう"だね。俺が『Spencer Sings The Hits』のアルバム作りを楽しんだのと同じくらい、みんなにも楽しく聴いてもらえることを願っているよ。心から喜びを感じられた作業だったからね。日本でのツアーが実現するのを楽しみにしているよ!