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LIVE REPORT

Overseas

THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION vs ギターウルフ

Skream! マガジン 2012年12月号掲載

2012.11.17 @下北沢SHELTER

Writer 伊藤 洋輔

THE JON SPENCER BLUES EXPLOSIONとギターウルフ。デビュー時から変わらず熱きロケンロー野郎で驀進する、また10年来の盟友(戦友?)同士でもあるこの両者が、まさかキャパ250ほどの下北沢SHELTERで対バンが実現するとは夢にも思ってなかった。というか対バンではなく、“天下分け目のロックンロール頂上決戦”である。チケットはもちろん即完、ライヴ当日は猛烈な雨が降りしきるきびしいコンディションで寒さを痛感する日だったが、SHELTERの空間内では猛烈な雨の如き汗が降りしきる熱帯地帯のような、激しいパフォーマンスが繰り広げられた。先攻はギターウルフだったが、もう良くも悪くも変わらん!……いや、悪いことなんてなにもないんだ。いつ見ても最高のステージを披露してくれる。セイジさんがステージでビール一気を決めれば準備OK、“ロックンロールベイビー”と叫びそこから怒濤のステージが展開された。「オールナイトでぶっとばせ!!」~「ワイルドゼロ」~「ジェットジェネレーション」と、お馴染みのナンバーが爆発的な盛り上がりをみせる。セイジさんのダイブ、オーディエンスをステージに上げ念を込めたピックを授け強制的にギターを弾かせる演出も変わらない。そんなパフォーマンスを文字通り全身全霊でぶつけてきてくれるから、本当に最高のライヴ・バンドだ。早くも勝敗はついてしまったか!? そんな熱いステージの余韻が冷めないまま、後攻THE JON SPENCER BLUES EXPLOSIONが登場した。

その繰り広げられたパフォーマンスとは、まるで直球勝負のようだった。同じ3ピース・バンドとして、ギターウルフの直球にこちらも負けじと剛速球を投げ返す。完全復活と謳われる新作『Meat And Bone』リリース後だけに、改めてその充実振りが伺える。Russell Siminsのタイトなドラムにクール・ギタリストJudah Bauerのシャープかつブルージーなプレイ、そしてJon Spencerの強烈な雄叫び! マイクくわえるしテルミン炸裂するし、アグレッシブルな90年代に戻ったような若々しさが漲り、駆け抜けるようにステージが続く。ギターウルフに敬意を表してから突入したのは「Black mold」! オーディエンスの反応も良く、ジョンスペの新たなアンセムを予感させたのも印象的な1シーン。「2 Kindsa Love」や「Black Thoughts」、「Sweat」に「Soul Typecast」と新旧織り交ぜたセットで終始楽しませてくれる。アンコールではセイジさんを呼び寄せ「Bellbottoms」でまさかの共演! ここでなぜかRussellからドラム・スティックを渡され戸惑うセイジさんは萌えポイントだったが……ギターに持ち替えアドリブであろうリフを刻み、熱狂的なトリプル・ギターでロックンロール頂上決戦は幕を閉じた。終了後も多くの手拍子と笑顔が浮かんでいたが、どちらも最高のステージを繰り広げてくれたことに勝敗など関係ない。共にベテラン・バンドと呼べるキャリアだが、こうしていつもまでも変わらぬ“魂のロケンロー(馬鹿)野郎”のステージを続けてくれることがなにより嬉しい。多くの笑顔とは、そんな感情が込み上げてきたことだったのではないか。まだまだ両者のロケンロー魂はサビちゃいない。そう確信できたステージだった。今後の活動も期待しつつ、サンキュー! THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION&ギターウルフ!

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