Japanese
Ryu Matsuyama
2018年05月号掲載
Member:Ryu(Pf/Vo) Tsuru(Ba/Cho) Jackson(Dr/Cho)
Interviewer:吉羽 さおり
-経験を踏まえた曲がある一方、「Return to Dust」はもっと壮大で普遍的な、大きさがある曲ですね。
Ryu:そうですね。経験談じゃなく、それを美化してオブラートに包んでさらに飴に包んだような感じというか。これは、いろんな捉え方をしてほしいですね。タイトルもそうですけど、死にまつわる言葉遣いなので。ポジティヴに捉えるのか、ネガティヴに捉えるのか、人それぞれだと思うんです。僕の感覚ではポジティヴなものでもありますけど、塵に戻るということをネガティヴにとる人もいると思うので、そこは委ねていますね。
-また、ラストの「Landscapes」は、自分に言い聞かせ叱咤するような曲。これには"A letter from me to me"というサブ・タイトルも付いています。
Ryu:サブ・タイトルがあったのをふたりは知らなかったんです。実はもともとはサブ・タイトルの"A letter from me to me"で書いていて。でもこれだとわかりやすすぎるなと思って、"Landscapes"にしたんです。このサブ・タイトルは、歌詞カードにしか書いていないんですよ。歌詞カードを読んだ瞬間に、"あぁ、そうなんだ"ってわかるという。
Tsuru:きゅんポイントですね。
Jackson:ちなみにこれ(※現物を取り出して)が、今回のブックレットなんですけど。歌詞がいろいろデザインされていて、隠れていたり、フォントが変わっていたり、例えば"Falling"という単語でデザイン的にも下に落ちていたりと、歌詞の世界が文字でも表現されているんです。
Ryu:これはデザイナーのkamikeneさんのアイディアですね。初めての試みで、52ページもあるブックレットはこれまでなかったので。手に取ってもらって、いろいろ見てもらいたいというのが希望ですね。英語詞の対訳を横に並べずに、最後のページに書いてあるのも、いったん英語で読んでいただいて、そのあとに日本語で理解してもらえたら、という想いからのものですね。
-音楽を深く聴いて、想像して、世界を広げる楽しみを、まさにこのCDを通してやっている感じですね。
Ryu:そうですね。僕ら自身がそうですからね。
-音の世界観もそうで、想像力を掻き立てるサウンドだなと思いました。でも、耳馴染みのいいポップ性もある。
Ryu:それは嬉しいですね。全部で9曲なので、ボリューム的にはそこまでないかなと最初は思っていたんですけど、改めて聴いてみると、確かに短くは感じますけど、それっていい感覚で。おいしいラーメンを食ったみたいな。いろいろ混ざった複雑さがあって、あっさりしてるけど、重い、そういう感覚です。
-メジャーでのリリースとしても、この作品を世の中に出すのは意味のあることだと思います。
Ryu:本音を言っちゃうと、これを世に出せるありがたみを感じていますね。このままで出せる、という意味合いで。英語で歌っていてもいい、今の時代に感謝しないといけないというのもありますしね。そういうタイミングがバッチリ合いました。
-バンドとしては5年ほど活動をしてきて、このタイミングでメジャーへというのは、何かきっかけがありましたか。
Ryu:僕は最初からこのタイミングだと思ってました。自分の感覚ではポップスをやっているつもりなので、いつでも出せると思っていたんですけど。やっぱり他者の感覚だと、最初に作っていた曲ってすごくオルタナだよっていうのはあったので。そこらへんが実感できてなかったんですよね。だから今になったのかもしれないですけど。でも、最初から音楽性は変わってないんです。やっていることはずっと一緒で。
Tsuru:一緒だね。
Ryu:変わってないんです。それをやらせてもらって、メジャーで出せるというのはね。
Jackson:マジ? っていう感じ。
Ryu:最初はメジャーは遠いなって思ってましたけどね。でもメジャーというものを求めていたわけではなくて。僕らはアルバムを出せるということが嬉しかったので。
Tsuru:たしかにね。一度契約が切れて野放しになってからは、別にどこからというのはなくて、CDを出せるようになればっていうのがあったから。
Ryu:CDを出すためにどうしようかっていうね。その瞬間をそのままを出したいというのがミュージシャンなんですよ。2年前に録ったものを今出してもどうかっていうのもありますし。過去には、アルバムを出せずにいたこともありましたけど。頑張って自主で出して、そこからは協力してくれる人がどんどん増えてきて。そのありがたみも今感じていますし。じゃあ、今後そのプレッシャーを背負ってやるのかって言ったら、それもまた違うんですけど。でもこの音楽性をずっと続ける自信はあるので。今のままをどんどん更新していく、自分たちの音楽としてどんどん新しいものを生み出していこうということですね。
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