Japanese
SWANKY DOGS
2017年05月号掲載
Member:洞口 隆志(Vo/Gt)
Interviewer:秦 理絵
-あと、「心模様」(Track.3)は、テレビ東京系"さまスポ"のエンディング・テーマ曲にもなってますけど、ちょっと和っぽいメロディの雰囲気が他の曲とは違いますね。
それも世代だと思うんですけど、僕らが聴いてきた日本のロック・バンドは、こういうメロディのバンドが多いので、その影響ですね。いままでも音源になってない曲で、こういう曲があったんですけど、今回は昔の感じに戻ったので、1回こういう曲も出してみようぜって。それも、やけくその流れです。跳ねてるリズムを使ったり、メロディもクサいくらい和っぽくハメていく、みたいな感じはやってても楽しかったですね。
-自分たちの中で、やりたいことを取り戻していく曲作りとか、レコーディングっていうのは、それこそ自分たちに染みついているノウハウを使う感じだったんですか?
そうですね。僕らのバックボーンにないものは、当たり前だけど、生み出せないので。僕らは聴いてきたもの、好きなものが限定されてないんですよ。あれも良ければ、これも良い、みたいなバンドなので。吐き出すものがロックであれば、なんでもいいんです。例えば、「siren/t」はメロコアに近かったり、「心模様」はヘヴィだけど、メロディは日本のものになってる。「君が泣いてる夢をみた」はポップスに近いメロディだとか。前のアルバムでは比較的コンセプトに沿って作っていったんですけど、そういう制限もなく、いろいろなパターンで、全方位で作っていったんです。
-それが、最終的にはSWANKY DOGSになっちゃう、ということですよね。
それはスタッフにも言われました。僕らの中では何も考えないようにしてたら、そういうふうに感じてもらえるんだなっていう。結局、自分らがやったら、まったく新しい別物にはなれなかったっていうのが、結果良かったですね。
-あと、今作を聴いてて気になったのは、これは洞口さんの性格なのか、"孤独"というワードがよく出てくるんですよね。「パレード」(Track.7)では"一人で歩いてきた"とか、「siren/t」では、"こうして生まれたけど/孤独な僕らだから"とか。
あぁ、本当ですね(笑)。もちろん実生活の中では、力を貸してくれる人はいますし、地元に友達もいるんですけど、自分の深いところの気持ちとしては、なんかこう......誰と接してても、自分が思ってることは自分にしかわからないと思うんです。自分が弱ってるときに、自分が言ってほしいことは誰も言ってくれなかった。でも、自分の思ってることの欠片でもわかってくれる人がいれば、それでいいかなって思うんですね。
-根深いですね。
それを拭おうとした時期もあったんですよ。ちゃんと支えてくれる人がいるのに、そういうことを考えてる自分が嫌だったし。でも、それも振り切れたときに、そういうものも自分の中で本当に劇的な何かがない限り拭えないものだし、それが曲を作るうえでのモチベーションになってたりもするのも事実なんです。矛盾ですよね。自分としてはよくないなって思ってる部分だけど、それがないと歌詞も書けないし、歌も歌えないし、いまの段階だとバンドをやってる意味もないとすら思うので。
-そもそも悪いことじゃないと思いますけどね。自分の痛みが他人にわからないのはそのとおりだし。だから、わかり合いたいって歌うのが「パレード」ですもんね。
そうやって孤独を抱えながら人と接するからこそ、孤独な人同士が共鳴する瞬間があって、それが大きなエネルギーになるっていうのを、一番信じてると思います。
-そうやってやけくそになって、いろんな自分に決着をつけたあと、最後の最後に"ためらわずに踏み出せる"って歌う「Hello」(Track.8)がくるのが良い流れですね。
そうなんです。いろいろあってのこの曲なんですよね。脈略がないように聴こえるかもしれないですけど、全曲通して自分の中ではストーリーがあって。それを踏まえたうえで、孤独な人たちに"それでも世界は続いていく、きっと大丈夫だから"って言いたかったんです。その気持ちは長くは続かないかもしれないけど、聴いた瞬間、次の日まででもいいから、ちょっとやってみようかなって思ってもらえたらいいですよね。
-わかりました。まさにやり切ったアルバムだと思いますけど、作り終えた心境は?
本当にやり切ったっていう気持ちではいるんですけど、力をすべて使い果たした、みたいな感じではなくて。まだまだ新しい曲が作れそうだし、次回作を見据えていける感覚があるんです。そういうのはよかったなって思ってます。
-アルバムを出したあとは、また100本ぐらいツアーをやったりするんですか?
本数はわからないですけど、やっぱりライヴ・バンドではいたいんですよね。それも考え方的に古いバンドマンの風習なのかもしれないですけど、ドサ回りしてなんぼ、みたいな。もちろんCDを出すので、CDは売れてほしいんですけど。ライヴハウスで音楽を聴く人っていうのは、ハッピーじゃない人たちの方が多いと思うんです。そういう人たちに、このアルバムを肌で感じてほしいんですよね。僕らもライヴハウスで人生を変えられてきたバンドマンなので。そういうものを見せられたらと思ってます。
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