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INTERVIEW

Japanese

SWANKY DOGS

2017年05月号掲載

SWANKY DOGS

Member:洞口 隆志(Vo/Gt)

Interviewer:秦 理絵

-ロック・バンドとしてのかっこよさを取り戻すっていうこと以外に、今作を作るうえでのテーマは何かありましたか?

メッセージの部分では、ずっと人間としての葛藤をテーマにしてるんですけど、いままでとはアウトプットの仕方がちょっと違うんです。

-というのは?

葛藤の中で、自分がこう考えてるっていう哲学みたいなものがあったときに、それをちゃんと人に言ってあげるのは、着地点がある歌詞だって思うんですね。光が見えるような歌詞というか。なんですけど、今回は「彷徨っていた」(Track.5)みたいな、着地点がない歌詞もあるんです。前のアルバムでは、たとえ自分がどういう状況であっても、光が見えるものだったり、先が見えるものであるべきだと、頑なに思ってたんですけど。それも振り切れたんですよね。やけくそと言うか。

-あぁ、やけくそ感。それは作品全体によく表れてますよね。「siren/t」(Track.4)では、そのまま"どうなったっていい"って歌ってるし。

そうなんですよ。この作品を作るまではCDも出せなければ、ライヴの状況が良くない時期もあったりして。自分らが好きなようにやってても、良いときも悪いときもあるし。やりたくないことをやってても、良いときはあるじゃないですか。どんなに自分がひとりで悩んでも、死ぬときは死ぬし、死ねないときは死ねない。そういう、どうなったってよくない? っていうのが、僕の中の全体のテーマとしてあって。

-それこそ「彷徨っていた」とか「君が泣いてる夢をみた」(Track.6)で歌ってるように。

ずっと自分の人生を歩んでいれば、大丈夫だよって言い切りたかったんです。

-やけくそはやけくそでも、ポジティヴなやけくそなんですよね。

そうですね。全部を投げ出すんじゃなくて、もう何をやっても大丈夫だから、とりあえずやろっかな、みたいな。僕は基本、明るい人間ではないし、ポジティヴな人間ではないから、いままではそういうふうには考えられなかったんです。高校生とか中学生のときに友達がいなくて、教室でひとりでイヤフォンして(音楽を)聴いてたタイプの人間だったので。でも、僕と同じように、人に何も言えずに日々何かを抱えてるであろう人とか、極端な話ですけど、自分から死んじゃう人たちもいたりとか。そういう元気がない人たちに向けた曲にしたかったんですよね。僕らの音楽に役割があるとしたら、そうでありたいというか。こういうふうに考えてみたら? っていう指針にしたかったんです。

-そこまで、振り切ってやけくそになれたのは原因があったんですか?

原因は結構あって......。さっき言った、バンドの状況もありつつ、個人的にも大事な人と会えなくなる瞬間があったりとか。それこそ30歳手前で、バンドをやめていく先輩がいたり、後輩が売れていったり。そういうのが重なったときに、バンドが、自分が一番やりたいことなのかもわからない時期もあって。でも、きっとそのなかでやってる意味を無理矢理でも見つけ出すとしたら、おこがましいかもしれないけど、弱ってる人たちに歌ってあげることかなって考えたときに、急にやけくそになれたんですよね。

-その悩みを曲にすることで、自分の存在意義を見つけようとしたんですかね。

そうかもしれないです。僕の歌詞のスタイルだとフィクションは書けないんですね。物語として良いものを想像で書ける人もいますけど、そうではなくて。僕、1回言われたことがあるんですけど、桑田佳祐と玉置浩二が同じ世代にいて、桑田佳祐は想像で曲を書ける人、玉置浩二は自分の身に起こったことしか書けない人だとしたら、"お前は玉置浩二だから、良い経験も悪い経験もいっぱいしなさい"って。僕も、玉置浩二さんの、人生総じてロックンロールみたいな感じが大好きだから。そういうものでありたいんです。

-アルバム・タイトルの"イデア"というのは、「彷徨っていた」の歌詞にも出てくるワードですけども、どういう意味でつけたんですか。

これは心理とか真実みたいな哲学用語なんです。さっき言ったような、"何があっても大丈夫"みたいなことが、このアルバムの真実というか。本当のことは自分の心で見るものだし、周りが、"これがいい"って言ってても、最終的には自分の中にある哲学で判断するしかない。各々のイデアがあると思うんです。それを言いたくて。字面的にも強いし、パワーを持ってる言葉だなっていうイメージはありましたね。

-「君が泣いてる夢をみた」がリード曲になるそうですけど、爽やかなサウンドに乗せて、"そこにいれば大丈夫"っていうシンプルなことしか歌ってなくて。

この曲が一番メッセージがギュッと詰まってたりするんですよね。僕が言いたいことは"大丈夫さ"のところに全部詰まってたりするんです。誰かに忘れられたり、誰かを忘れてたりしても、各々がいれば大丈夫、みたいなことですよね。

『何もない地平線の上から』(2014年リリースの1stフル・アルバム)のときには、歌詞は自分のために書くって言ってましたけど、この曲では聴き手の方に向いてる気がしました。変化はありましたか?

それは意図的ではないんですよ。この曲ができたときは、実生活でもいろいろなことがあったので、すごくパーソナルなものにはなってるんです。でも、この曲をチームに聴かせたときに、各々の人生に重なるとか、自分の子供とか離れてる友達に対しての気持にもハマるよって言ってくれて。やけくそになったことで、"あ、外に向いてるんだな"っていうのは感じましたね。少しは大人になったんじゃないかな(笑)。