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INTERVIEW

Japanese

空きっ腹に酒

2016年07月号掲載

空きっ腹に酒

Member:田中 幸輝(Vo) 西田 竜大(Gt) いのまた(Dr)

Interviewer:松井 恵梨菜

-たしかに。歌に構わずそれぞれの楽器が主張してくる感じはありますね(笑)。ライヴにおいて変化はありましたか?

幸輝:シンディはライヴで結構はしゃぐんで、ホンマに年上かな?って思う子供っぽさはあるんですけど(笑)。でも、単純に自分が気持ちよくなりたくて暴れてるんじゃなくて、ちゃんとエンターテイメントとしてライヴできる人なんですよ。サポートのときから僕より前に出てきたりしてたんで、最初は見ててハラハラしたんですけど(笑)。

西田:ステージ上で相手してくれるのがいいよね。

幸輝:そうそう、普通にライヴ中に話しかけてくるんですよ。ギター・ソロのときにシンディと向き合ってたら、"幸輝ちょっと口臭うで"って(笑)。俺も普通に"ごめん、歯磨くの忘れてた"って。

西田:お客さんは気づいてないと思うけど、うちのバンド、ライヴ中にめっちゃ会話するんです。"邪魔!"とか。しかも何回"邪魔"って言っても同じとこにくるんですよ(笑)。"またかー!"って叫んでます。

幸輝:僕もそこに行きたいポイントなんやと思うな、本能的に。

-そんなふうにシンディさんとの関係を築いたうえで今作ができたわけですね。"しあわせ"というタイトルですが、歌詞の内容が幸せに満ちているわけでもなく。どういった理由でこのタイトルをつけられたんですか?

幸輝:最初はホンマに適当やったんですけど――自分がなんで歌ってんのかなっていうことを考えたときに、不幸になりたいから歌ってる人間っていないと思うんですよ。たとえ不幸なことを歌っていたとしても。マイナスの楽曲のイメージが強い人ほど、プラスに向かって演奏してるんじゃないかなって僕は思うんです。今思えば、そういう意味を込めて"しあわせ"っていうタイトルにしたんかなって。例えば歌詞のオチがバッド・エンドやったとしても、その人が最終的に求めているものが"幸せ"になっていたら僕はいいかなというか。あと、アルバム・タイトルは日本語にしたいっていうのが昔からあって、ずっと文章みたいなんばっかりやったんで、今回はわかりやすくしたいと思って"しあわせ"にしました。

-ちなみに、今作は木曜日の7月7日リリースですが、七夕にしたのはあえてですか?

西田:あえてです。でも決めたのは僕らじゃなくて、マネージャーなんですよ。

幸輝:たぶん"しあわせ"にかけたかったんだと思います。

-キャッチとしては、"七夕に『しあわせ』をリリース"っていいですよね。

西田:CDが織姫様で、それを買ってくれるお客さんが彦星。

幸輝:なんやそれ、どうでもええわ(笑)! 空きっ腹に酒のメンバーはそういうサプライズ的なことを考えられないんですよ。曲を作る、ライヴをやる、それだけで精一杯で。"七夕やからいいやん!"みたいな発想はメンバーにはないですね(笑)。

-たしかに、記念日とかにも疎そうですね(笑)。曲についても聞いていきたいと思うんですが、Track.1「音楽と才能」はイントロからすごいインパクトですよね。毎作1曲目はかなり攻めている印象ですが、意識されているのでしょうか?

西田:1曲目はやっぱり、CDを流した瞬間に"おっ!"ってなる感じにはしておきたいですね。

幸輝:エネルギーをドンと注入して、先にボルテージを上げておきたい感じはあります。1曲目が、"空きっ腹に酒"っていうバンドが持つ正面やと思うんですよね。側面はあとから見せていけばいいけど、1曲目は一番パワーがある曲で、真正面からぶつかりたいなって。

西田:リード曲とはまた違うんですよね。"1曲目!!"っていうか。

幸輝:その言い方、文字じゃ伝わらんからな(笑)。

西田:筆ペンみたいな感じで太文字にしといてください(笑)。

-(笑)今回、全体を通して、幸輝さんのラップが以前より遊び心も効いていて表情が豊かになった印象があったのですが、その自覚やご自身で意識されていることはありますか?

幸輝:メンバーの意見は結構聞くようにしましたね。ラップって、メロディに乗せることもできるし、フロウで抑揚をつけたりもできるんですけど、やり方を間違えたら一辺倒に聞こえちゃうと思うんですよ。でもプリプロをしてるときに、"ここはもうちょっとこうやって歌った方がいいんじゃないか"とか、"お前のこういう歌い方好きやで"ってメンバーが言ってくれたんで、それが結構ヒントになって。"じゃあここはこうやって歌ってみようかな"とか、"韻はあえて消してフロウに持っていこう"とか、今回歌い方に関しては知恵を絞って考えました。

-歌詞の内容に合わせて歌い方を変えている感じはしましたね。

幸輝:最近は作曲者が"この曲はこういう印象やねん、こういうふうに歌ってほしい"って言ってくれるようになったんで、結構助かってるんですよ。実際、今までは僕の詞がどれくらい曲とマッチしてるかっていうのがわからんままリリースすることもあって、それはそれで面白いことやと思ってるんですけど、もうフル・アルバムも5枚目なんで、イメージの共有は必要不可欠になっていったんかなって。お互いがお互いのことをもっと意識してやるようになったから、僕のフロウも変化していったんかなって思いますね。

-作曲者という話が出ましたが、曲によって違うんですか?

西田:今回のアルバムは史上最高にいろんな奴が作曲している感じですね。

-ちなみに、誰がどの曲を作曲されたのでしょうか?

西田:「音楽と才能」と「夢の裾」(Track.2)は西田、「ブス」(Track.3)がシンディ......シンディがブスみたいな感じになってしまったけど(笑)、「宇宙で独り」(Track.4)もシンディ、「ALC」と「青にかまけて」(Track.6)も西田、「ゼロ」(Track.7)がいのまた、「ミラーボールロマンス」がシンディ、「トラッシュ」(Track.9)が幸輝、「グルーヴ問題」(Track.10)がシンディです。

幸輝:今回、シンディが結構意欲的に参加してくれたんです。昔は、"作曲は全部西田、作詞は僕"っていう役割分担やったんですけど、メンバーが変わるごとにバンドの雰囲気も変わるし、やっぱり面白い人間が入ってきたらそいつにもやらせたいというか。最近はあまりやってないんですけど、セッションをするのが好きやって。セッションはやっているうちに誰がリードするかによって曲が変わってくるから、面白いなと思ってたんですよね。