Japanese
LASTGASP
2016年07月号掲載
Member:岡田 勇希(Vo/Gt) 小野田 稔(Gt/Cho) 成瀬 陽介(Dr/Cho)
Interviewer:吉羽 さおり
-アレンジャーさんとふたりでスタジオに入って詰めていくときに、岡田さん自身はどういうものをやりたいか、LASTGASPとしてどうしたいのかも伝えたんですか?
岡田:まず、ライヴで何をしたいかが大きかったですね。ライヴ映えする曲や、"これをライヴでやったらこうなるんじゃないか"とか、想像しながらやっていました。且つ、今までにない戦い方で盛り上げられる、楽しめる曲にしたいというのは一貫してありました。実際、最初にライヴでやったときはドッキドキでしたけどね。大阪だったっけ?
小野田:大阪だね。
岡田:3マン・ツアー(※2016年5~6月に開催した"STRUGGLE TOUR 2016")初日の大阪公演のアンコールで初披露だったんです。でも、なんか不思議だったのが、もっと前って"新曲をやります"って言っても、お客さんがそんなに盛り上がらなかった気がするんですよね。"へぇ"、くらいのリアクションで。でもその日は"新曲をやります"と言ったら、会場がウワーッと盛り上がったんです。"待ってました"という雰囲気で。それで、この「GO」を演奏するわけですけど、もちろんお客さんは知らない曲じゃないですか。今でこそ、僕らがパーソナリティをしているラジオ番組(※東海ラジオ"TOKAIRADIO × TSUTAYA LIFESTYLE MUSIC 929")でオンエアしているんですけど、まだCDも出てないし、ノり方もわからない中でお客さんが楽しそうにしているのを見て。それで、モヤッとしていたものがとれたんですよね。"大丈夫だ"って。受け入れてもらえるんだなって思いました。
-私もこうやって話していながら、なんでみんながそんなにモヤモヤしていたのかよくわからないので(笑)。
小野田:うん、そうなんですよね(笑)。
岡田:きっと僕らの感覚と、聴いてくれている人の感覚とはまた違うんだろうなって思いました。僕らの思う僕らの良さと、みんなの思う僕らの良さって、たぶん違うところもあると思うんです。みんなはここが好きで、"もっとこうしたらいいのに"って思っていることも意外とたくさんあったりして。それは僕らには気づけなかったり、どこか守りに入っていたりしていた部分もあったと思うんです。そういう中で、"お前ら、こういうことできそうだからやってみなよ、いいと思うよ"って言ってもらって。守りに入っていたのがひとつ外れた感じだったのが、ライヴで初めて披露したときにちゃんと繋がって。あぁ、そういうことね、こういうのも僕らの良さだったのかってわかったんです。
-作り方が違ったぶん、それぞれのこれまでの手癖のようなものはあえて封印した感覚もありますか。
岡田:そうですね。ずっとリフが鳴っているとか、わりとシンプルなサウンドになったので、それもまた良かったのかなって。今までもメロディやメッセージをしっかり届けようとは思ってたんですが、今回はより削ぎ落としていって、言葉もひとつの単語で意味がわかるくらいのわかりやすさで提示しようというのはありました。今までなら、ここはもっと色をつけて膨らませるだろうなという部分がスマートになっていたり。全体を通して洗練されたじゃないですけど、無駄のない曲になってるかなと思います。
-「GO」を聴いて最初に感じたのが、まっすぐなロックンロールなんだけど、その奥にブラック・ミュージックの香りがちゃんと残ってる曲だなと思ったんですよね。サウンドや全体のノリの面で、意識したことはありますか。
岡田:そうですね。今回の曲作りや歌を入れるうえで提案されていたのが、16分のノリだったんです。"裏の部分を意識してメロディをつけてみて"っていう宿題があったんですけど、最初は意味がわからなくて(笑)。まずは代表的なものを聴いてみようと思って、それこそブラック・ミュージックをいろいろ聴いてみたんです。Michael JacksonやBruno Marsとか。ああいう音楽って、ビートが遅い曲でも身体が動くものになっていて――というのを、これまではあまり意識して考えたことがなかったんですよね。最初はどうしたらいいかわからなかったし、今もできてるかわからないですけど、僕なりに解釈をして作り上げたのが今作なので。歌詞も入ったものを聴いたときに、すごく新しいなと思ったんです。そういう意味ではひとつ成長できたのかなと思うし。今までの歌も、そういう体感をしたことでちょっと変わってくるんだろうなっていう。その感覚を養えたのが良かったです。
-そのブラック・ミュージック、16分のノリということで、サウンド面でこだわったところはありますか。
成瀬:もともと洋楽が好きなんですけど、この曲を提示されたときに、自分もさっき言ってたブラック・ミュージック的なところは意識しましたね。僕はドラマーなので、ヴォーカルに一番寄り添わなければいけないと思うから。それこそMichael Jacksonも聴いたし、バンドではFALL OUT BOYも改めて意識しながら聴いてみたり、どんな感じかちょっとコピーもしたり。今回のレコーディングにはテックさんが入ったんですけど、ブラック・ミュージックをやってる人が使うような楽器を使ったり、サウンド面でも結構こだわっているんですよね。
岡田:そういう部分では、逆に今までよりも楽曲のイメージはしっかりしていたかもしれないですね。
小野田:テーマがしっかりしていたぶん、作る音も明確になっていて。ギターは、メインはファズでやっているんですけど、この組み合わせでこういう音を出すんだ、っていうのは勉強になりましたね。1回やってしまえば、次からはもうできちゃうじゃないですか。いいレコーディングだったなと思いますね。
岡田:それで機材を買うこともあったよね。
小野田:増えましたね。「GO」のギターはオクターブでハモっているんです。レコーディングでは重ねればいいですけど、ライヴではひとりでやらないといけないので、オクターバーを買わないといけないということで、"これ1曲のために買うのか......"と思ったんですけどね(笑)。でも、買いました。
岡田:挑戦という意味では、全員がいい経験になっているのかなと思います。
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