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INTERVIEW

Japanese

成山 剛

成山 剛

Interviewer:白崎 未穂

-危ないので、絶対に止めてくださいね(笑)、でもそういうところがリンクする部分でもあったんでしょうね。そして、Track.7「街路樹」、Track.8「in the pool」と、どんどん音が深くなっていく印象がありますね。「in the pool」は8分を超える大作で、"不確かな 明日を そのままに待ち続けよう"が特に、明日どうなるかわからない不安な心情を振り払い、今を生きているような歌詞だなと。

実は、何を歌おうとか、そういうのってあんまりないんですよね。特に「in the pool」に関しては、自然に音の響きに委ねるというか、どんどん水中の深いところに落ちていく感じ。光がどんどん遠くになっていくような。でもそれは何かから解放されていくような感じでもあるんだけど。

-あぁ、いいですね。ということは、曲先なんですね。

滅多にないですね、詞先って。滅多にというか、1曲もないですね(笑)。詞先はできないかなぁ......。

-そうなんですね。いつもどういうときに作詞作曲をしてるんですか? すごくたくさん旅をしているイメージが成山さんにはあるので、移動時間も有効的に使っているのかなと、勝手に想像しちゃいましたが、実際のところは?

曲は夜中にポロポロやって作りますね。ギターは基本的に触らないし、練習もしない。曲を作るときだけ触ってます。作詞は、曲が全部できて最後の最後にやる作業。なんとなく口ずさんでいたキーワードを並べて、つじつまを合わせていくっていうのが多いですね。「アンドロメダ」(sleepy.abの2012年リリースの3rdシングル表題曲)は、サビの"アンドロメダみたい"って言葉だけがあったんです。"アンドロメダみたいってなんだろう"って自分でも思いつつ、すごく舞い降りてきた感じがあって。こうやってポッと思い浮かんだ言葉って面白いなと。逆に考え込んでしまうと、ハマるというか。理由をいろいろ説明しちゃうとつまんなくなっちゃうなと。

-メッセージ性云々というより、言葉も楽器のひとつなんですね。

そうですね、名詞とか具体性のあるものを使わないっていうことを決めていたりします。

-成山さん自身、今作の中で一番思い入れがあるのはどの曲ですか?

どの曲も好きなんですけど、今回は「ladifone」から始まってどんどん他の曲もできていったんです。バンドでは英詞の曲はやっていなかったんですけど、それも「ladifone」と「high low」(Track.6)の2曲ぐらいやってみたり。あと、最後にできた「ヒトリキリギリス」(Track.1)は、これを収録させたくて、今回のリリースが伸びたんです。だから、一番最新となる曲は「ヒトリキリギリス」です。

-最後に録音した曲を1曲目に持ってきていたんですね。

たぶん、新鮮だったんでしょうね(笑)。1曲目っていつも、sleepy.abでもそうなんですけど、これが好きじゃなければ"まぁいっか"って。好きじゃなければ、1曲目を飛ばしてもらってもかまわないという覚悟で1曲目にしました。

-でも「ヒトリキリギリス」が1曲目だからこそ、『novelette』が収まっているなという印象がありました。

そうなんですよね、1曲目っぽい曲がなかったんで。他はすべて後半みたいな曲ばかりだし(笑)、全部クライマックス感があるので、そういう意味でもちょっとライトな曲だし。でも、世界観は深い。

-それに、この曲があるからこそ他の曲も映える。なくてはならない1曲目ですね。こうやって話を聞いてると、産みの苦しみみたいなものはなかったようですね。

まったくなかったですね。バンドだと、いろいろフィルターがあるんでちょっと考えますけど。そのフィルターがない状態って一番わかりやすいかもしれませんね。あと、"メジャー"というフィルターも。バンドだといろんな人が介入するので、勝手に自分でフィルターを作ってしまうところがあって、それを一度解除してみたらどうかな?という気持ちもソロ・アルバムを作るきっかけのひとつでしょうね。

-そういえば、今年はギターの山内さんもソロ・アルバムをリリースされるんですよね? 今年のsleepy.abはソロの年ですか?

sleepy.abはもともとインスト寄りなところを強めたいって話をしてて、それで"山内、1回アルバム出したら?"って話になって。sleepy.abって歌が多いなと思っていて、もうちょっとインスト的な割合を、半分ぐらいにしてもいいんじゃないかって。英詞もそうですけど、少しグローバルなイメージ。まぁ、そういう話をしていたときに"出してみたら?"に発展したと。で、"山内が最初にソロ出して、その次に俺が出す"って言ってたんですけど、山内がちょっと遅れるって言うもんだから、"じゃ、同時発売しよう"と。でも、山内がもっと遅れてて、結局俺が先に出す感じになりました(笑)。山内は夏に出す予定で、そのあとsleepy.abも年内に出せたらなと思っています。この3作が出たときに、"sleepy.abってこんな形なんだ"っていうのが見えるといいなって思っていて、それを知ることで改めてソロも理解してもらえるんじゃないかと。

-なるほど、ピースがハマるイメージですね。でも、sleepy.abがアルバムをリリースするのって、すごく久しぶりじゃないですか? 『neuron』(2013年リリースの8thアルバム)以来?

そうですね。メジャーでやってたころは1〜2年のスパンがありますけど。メジャーでは、すごく良くしてくれてたし、自分たちの力だけでは行けないところにも広がってくれたんですけど、そのメジャーのスタンスやスピード感が一番合わなくて、明らかにアウトだったんです。"あ、むいてないな"って(笑)。

-ちょっと早いんですかね。

このスピード感は無理ってなって。今はわりと良いスピードでやれてるなと。無理矢理出してもねって感じで、それこそCDができても、良いものじゃなかったら意味がないし。バンドを続けるためにはどうするべきかなと考えた結果が今だと思います。だから札幌にいるんだろうなと。

-なくなってほしくない音のひとつなので、ゆっくり、マイペースにお願いします。

マイペース(笑)......だから飛行機乗り遅れるんです。(※半年で4回飛行機に乗り遅れている)