Japanese
sleepy.ac
2013.11.27 @キリスト品川教会グローリア・チャペル
Writer 沖 さやこ
sleepy.abがアコースティック編成で送るsleepy.ac。セミ・ファイナルの東京公演とファイナルの札幌公演はストリングス・ダブル・カルテットを招いて行われ、東京公演の会場は品川教会グローリア・チャペルという非常にプレミアムなシチュエーション。勿論チケットはソールド・アウトである。ステージの両脇にはパイプ・オルガンのパイプがそびえたち、中央には細い木製の十字架が。思わず感嘆の溜息をついて見上げてしまう高い天井。薄暗い会場内に、期待に胸を膨らませる観客たちの高揚が満ちる。
定刻、ステージにはまず女性8人による弦楽隊が登場。その調律が済んだ頃、山内憲介(Gt)が現れ、オートハープを合わせる。5人の荘厳な音色に圧倒されていると、成山剛(Vo/Gt)、田中秀幸(Ba)、サポートの鈴木浩之(Per)がステージに。観客の拍手がやわらかく響く。弦楽隊の音色のなか、鈴木が膝を叩いて刻むカウントで「アンドロメダ」へ。成山の透明感のある浮遊する歌声、カホンの音、深く編み込まれるストリングス......水が零れ落ちるように、無重力的な心地よい空間が広がる。その崇高な空間には陶酔せずにいられない。"札幌から来ました、スリーピーです"と成山が一言挨拶し「earth」。山内の幻想的なムーグ・ギターに、成山の素朴なアコギのストロークが重なる。変調が取り入れられたメロディは心の奥底まで沁み渡り、触れると崩れてしまいそうに繊細だ。観客も音に聴き入っているのだろう。曲が終わり、しばらく間があいてから成山が"ありがとうございます"と言うと、ふと我に返ったように拍手をする。漂う沈黙。イントロに優しくチェロが重なる「街」は田中と鈴木のコーラスも優雅に響き、山内がアコギを構えた「darkness」は物悲しいマイナー・コードが高く突き抜ける。すべての音色が美しく、その空気に魂が抜かれるようでもあった。
田中はダブル・カルテットを招いてのライヴは東京で初めて行う旨を伝えると、少々緊張気味の客席に"かしこまった感じじゃなくて、ゆったり聴いてくれたら嬉しいです"と告げた。成山も"寝てても気にしないんで"と言い、観客を笑わせる。ここから一旦カルテットは袖へ。4人でのアコースティックを披露する。とはいえ鈴木がリズム・パッドを用いたりと、一般的なアコースティックの解釈とは一味違うところを見せてくれるのはさすがだ。特に「パレット」では山内がマトリョミンを奏でながら客席の中央まで歩いていくという一幕が。その異様な光景に観客も驚きを隠せず、成山の"皆さん怖がらないでください"という言葉には笑いが起こる。すると山内が客席の真ん中で聖歌隊の衣装を被り、指揮棒でステージ上の3人を指揮するという、山内がメンバーにも内緒にしているユーモラスな即興演出。山内に"一緒の人だと思われたくないから戻ってこないで(笑)"と言い放つ成山の毒舌に、会場も笑いを堪えきれない。こんなメンバーのキャラクターもスリーピーの魅力である。
山内が吹奏鍵盤笛を用いる「幻日」では田中のベースが陽だまりのような優しい空気を作る。鈴木も複数のパーカッションを駆使し、ウインドチャイムを足で弾くなどのパフォーマンスも。sleepy.acのライヴの定番である"みんなのうた"のカヴァーは堀下さゆりの「カゼノトオリミチ」。演奏し終えた成山は"いい曲"としみじみ呟く。"あくびしてるお客さんを見ていると嬉しい"と続けた彼は"これから手ごわい感じになっていくんで、先におやすみなさいと言っておきます(笑)"と告げ、「メリーゴーランド」「around」「メロディ」「ハーメルン」と続けた。山内が扱っていた小さい箱にも見える楽器(カリンバ)はグロッケンのような音色が鳴る。この世にはいろんな楽器があるのだなぁ......とアコースティック、否、音楽の奥深さをひしひしと感じた。"品川教会でやるとなって真っ先にやりたいと思った"と語られ、再び弦楽隊を招き演奏された「賛歌」は、ダブル・カルテット8人の同期した所作にも見惚れる。"冬が近いので冬の曲を"とアンコールとしてラストに演奏されたのは「雪中花」。映画のエンドロールのように、丁寧に現実世界に還してくれるような空間だった。総勢12人による、血の通ったしとやかな音色が止むと、大きな拍手が湧き起こる。"もう終わってしまうの? もっとここにいたいのに"――しばらく椅子から立てないままでいたが、時計を見ると開演から2時間経とうとしていた。それはまさしく特別幸せな夢を見たときと同等の感情。名残惜しい気持ちも強いが、気分は晴れやかだ。帰路もその余韻にしばらく酔いしれた。
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