Japanese
Saku
2015年05月号掲載
Interviewer:沖 さやこ
TOWER RECORDS渋谷店の外販部の店員として働いている"シンガー&ワーカー"Sakuが、1stフル・アルバム『FIGHT LIKE A GIRL』をリリース。そして映画"ビリギャル"の劇中歌に新曲「START ME UP」が大抜擢されたことを受けて、同曲を表題にしたシングルをSony Music Associated Recordsからリリースすることが決定し、4月29日にアルバムとシングルを同時リリースした。様々な音楽性を取り入れたキャパシティの広さと、ネオ渋谷系ともいえる豪華アーティストによってさらに強力になった楽曲は、新たな渋谷系の誕生を予感させる。まだまだ謎が多い彼女に迫った。
-Sakuさんの公式サイトのバイオグラフィを拝見したのですが、小中学校時代にホームステイの受け入れ先であったり、中学3年生で路上デビューをなさっていたりなどなど、幼少期からなかなか普通ではできない経験をたくさんしてらして、とても興味深かったです。シンガーとしての第一歩は中学2年生のときにお友達と組んだアコースティック・ユニットでしょうか。
最初は中学1年生のときにベースを始めて、中学2年生で友達とアコギのユニットを組んで。わたしが作曲で、友達が作詞をしてオリジナル曲を作って、オーディションを受けたりよみうりランドのステージで歌ったりしてたんですけど、中学3年生のときに友達が受験の関係で辞めることになったんです。じゃあひとりで曲を作ってみようかな......と思って。小さいころからごはんを食べたり水を飲む感覚で音楽が身近な存在だったので、そのときは"夢を追いかける"というよりは、なんとなくずっと音楽をやっていくんだろうなって感じだったんですよね。
-そんなときに地元の駅で路上ライヴをしているミュージシャンに出会うんですね。
その人はアンプを通さずに生歌で歌っていて。弾き語りだけでこれだけ人を感動させられるんだ!と思って、その人のライヴに通うようになったんです。そしたらそのうち、その人がトイレに行っている間とかに1曲2曲歌わせてもらうようになって(笑)。それで自分でも毎週水曜日に路上ライヴをやるようになったんです。
-その後、高校3年生の夏に、RADWIMPSが初代グランプリでも知られる"Yokohama High School Music Festival"の決勝に勝ち残り、横浜アリーナにて5000人の前で弾き語りを披露なさって、ここで初めてプロ・ミュージシャンへの願望が芽生えたとのことで。
横浜アリーナの空気感が、歌っていてすごく気持ちよくて。"こんなに多くの人に聴いてもらえたらすごくいいな、地元の横浜でいつか単独でやりたいな"という気持ちが強くなったきっかけでしたね。高校1年生のときにソニーのオーディションを受けて決勝まで残ったので面倒を見てもらってはいたんですけど、自分の意識としてよりプロ意識が芽生えたのは"Yokohama High School Music Festival"ですね。
-そして大学に入学してレコード会社のオーディションに出場なさって、大学2年生の春にTOWER RECORDS渋谷店で働くようになるんですね。
そのオーディションでいろんなレコード会社さんに声を掛けてもらって、そのなかでSony Music Associated Recordsに決まって。"10代のうちにデビューを目指しましょう!"という話もあって、毎日のように地下スタジオにこもって曲を書く日々が続いたんですけど、新しい曲を聴かずにただただ曲を書いてたので"それじゃだめだ! もっといっぱい音楽を吸収して、勉強しないといい曲が書けない!"と思って。それでずっと働きたいと思っていたTOWER RECORDSに履歴書を持っていったんですよね。TOWER RECORDSで音楽の勉強をして、洋楽テイストのものやインディー・ロックがすごく好きになって。それをもっとアウトプットできるようになったり、その要素をポップの中に取り入れるという音楽性が固まってきたのも、この2年くらいだと思います。
-履歴書を直接渋谷店にお持ちになるという行動力(笑)。
本当は郵送しなきゃいけないんで、レジの店員さんにポカーンとされましたけど(笑)、無事に部長に届いたみたいで面接をしていただくことになって。......普通にレジで働くものだと思っていたんですけど、面接のときに"外販部"だということを知ったんです(笑)。都内に出張販売をしに行く部署だったんですよね。
-ああ、外販部ってそういうお仕事をするところなんですね! いろんな現場に行けるから楽しそう。
外販部に入ったことが自分の音楽ライフにも影響を与えていて。普段自分が行かないジャンルのアーティストさんのライヴに行くことも刺激になったし、お客さんもアーティストによって全然違うし......勉強になりましたね。その日のライヴをいちから作る段階から見ているので、自分も音楽業界の裏方として働くことでより裏方さんの気持ちもわかるようになって。アーティストさんに"TOWERさん今日はよろしくお願いします!"と言ってもらえると、それだけで"応援する!"って気持ちになるし(笑)。自分がライヴをするときも、自主企画なら絶対出演者さんには楽しんでもらいたいし、スタッフのかたも同じ温度感で楽しんでもらいたいという気持ちも強くなりました。実際にライヴハウスに足を運ぶことで、目で判断する力を養われたのかな......と思いますね。
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