Japanese
LUNKHEAD
2015年04月号掲載
Member:小高 芳太朗 (Vo/Gt)
Interviewer:沖 さやこ
-『家』と『メメントモリ』と通ずるものはあるけれど、あのアルバムは"死に向き合ったうえでの生きるという概念"だったと思うんです。でも『家』は"とにかく生きようともがいているアルバム"だと思いました。
そうですね、それは自分でも思ったなあ。『メメントモリ』のもうひとつ先というか、あのアルバムは"いつか死ぬことを忘れない"というコンセプトで......ずっと自分が死んじゃった人と生き残っちゃった人を見てきて、それをテーマにしたアルバムだったんですけど、この1年は割と"どうせ生き残っちゃったんだったら、楽しく生きていかないとな"というのを考えていて。生きることは幸せに向かって進んでいくことだとはずっと思ってたんですけど、その漠然としたテーマに対して、より具体的な描写で歌詞を書いていったから、今回それが強く出てるのかもしれないです。「僕たちには時間がない」(Track.3)の"明日食べたい物がある"とか、普段からすっごい思いますもんね。"まだ俺あのラーメン食ってねえ......死ねねえな~!"とか(笑)。
-ははは。生きるうえで欠かせないものといえば衣食住で、『家』は"住"と"食"が表現されているところにも、"生"を強く印象づけていると思いました。特に小高さんはよくお料理なさるし、生きている理由のひとつに音楽をやることがあると思いますし、食と音楽が結びつくところには意味がある気がしていて。
震災のころに"音楽でお腹が膨れないから、音楽をやるなんて不謹慎だ"っていう発言がネットでよく流れてて。当時ブログにも書いたけど"バカじゃないの?"と思って。でも......音楽に救われてきましたよね。沖さんが言ったみたいに、食べ物と音楽は生きるということに繋がると思うんです。音楽のない人生は、生命を維持するだけのために食事をとってるのと同じやし。人生にとっての音楽は、料理で言ったら......味がする感じだと思うんですよね。やっぱり音楽があるから俺らは豊かな人生を送れると思うし、今までもこれからも救われてたっていいんじゃないかなって。
-"救われたっていいんだ"。Track.4「シンフォニア」を筆頭に、『家』には"救い"という言葉がたくさん出てきますね。
ああ、そうですね。もうすぐ35になるけど――まだ積極的に死のうとは思わないけど、生きててもそんなにいいこともないし、"生きてるのってなんか虚しいな"と思うときがあるんですよね。でもそういう気持ちを前向きにさせてくれるというか、自分にとってはそれが"救われる"って感じだと思っていて。でも、「神様なんていない」(Track.7)では"救いなんか 騙し合いだ"って言ってますけどね(笑)。......そういうときもありますよね。
-(笑)「神様なんていない」を書いたころ、どういう心境だったのでしょう?
んー......プライベートでいろいろあって、うつみたいな状態だった時期があって。ご飯が全然食べられなくなって体重も55kgくらいになったんですよ。そのときに感じた気持ちで曲を作っていって......。
-ああ、そうだったんですか......。小高さんの曲や歌詞ができるタイミングは逆境が多いですね。お財布を落としたときや、時間をかけてつくっためんつゆを零したときや――。
――事故ったときだったり。事故ったお陰で「僕たちには時間がない」の歌詞が書けたから(※LUNKHEADは2014年12月に、ツアーの移動中に交通事故に遭った)。事故って良かったとは言わないけど、"全部食いものにしてやる! 全部ネタにしてやる!"つって(笑)。もともとあんまり時間がなくて、ツアーから帰ったらすぐ曲を作らなきゃって状況だったのに、事故ったせいで2日くらい時間が取られて、もっと時間がなくなって。"ああ、もう今回は絶対に無理だ、間に合わない。無理だ。時間がない......ぼ~く~たちには~♪"ってできた(笑)。2番のBメロも、書いてたときにまだ事故で打った胸が痛かったから"胸が痛い今も胸が痛い――あ、これは生きようとしているサインだな、オッケオッケ!"つって。"生きてるだけで丸儲け""生きてるってことは全部があるってことじゃん!"と思ったから"なんにもないようでなんでもある"という歌詞を書いて。
-思ったことそのままなんですね。
そうそう。歌詞の"なんにもないこの手の中にはああなんにもないと君は言う"も、なんにもない!? バカヤロー生きてれば掴めるじゃん!!と思ったから、"なんにもないのならなんでもほら/掴めるってことだろう"と書いた。
-本当にご無事で良かったです。まだ死ねないですよ、LUNKHEADは。
まだ死ねない。ラーメン食い足りない。
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