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INTERVIEW

Japanese

folca

2014年09月号掲載

folca

Member:山下 英将 (Vo/Gt) 為川 裕也 (Gt) 藤田 健二 (Ba)

Interviewer:沖 さやこ

-一本筋は通しつつも、80年代のハード・ロックや、2000年代のギター・ロック、現在のオルタナの要素、90年代のグランジ、歌謡曲の風味などなど、いろんな時代のいろんな音楽の影響を感じさせるところも特徴的だと思います。

山下:そういう音楽にしたいという気持ちもあるんですけど、結局出るのは自分たちなので。インプットしたものを自分たちで消化して出さないと嘘っぽくなるし。でもそれができるのは、もともと自分たちが進んできた道があるからですし。だから自分たちで聴いても面白いし、いいなあと思いますね。今までの日々に間違いはなかったと思います。

-ちなみに曲はどのように作っていくのでしょう?

山下:元ネタがあって、それをセッションで広げていったり、もう全部完成している状態でそれをバンドで演奏するとか......いろいろあるんで、これですというのはないんですけど。曲も歌詞もみんな作ってるんで。今回、曲の元ネタは健二が多いんですが、出す時期によっていろいろ変わっていくのも面白いなと思ってます。

藤田:歌詞も曲も俺らは全員で作ってるんです。全員でジャッジして"これは違うんやないか"みたいな感じで、3人で作ってるんですよね。全曲ライヴでちゃんと演奏できるものを作っていきました。

-今回は"GLAMOROUS"というテーマを念頭に置いた曲作りを?

山下:いや、単純に"いい曲作ろ"と(笑)。もともと9曲入れることは決まっていて、それに向けて曲を作り、それを並べて総称して『GLAMOROUS』になったんです。タイトルもそうですけど、言葉や音にも"俺たちの生きかた"みたいなものが自然と出るかもしれないですね。今回の8曲目「Gradient」に"喜びも悲しみさえ心飾る"という歌詞があって、そこがそれを象徴するんかなと思います。

-歌詞だけでいうとこの曲だけ少し違う表情を持っていますよね。他の曲はわかりやすく対人で描かれているけれど、この曲だけパーソナルな面が強いと思いました。

山下:自分の心のなかで蠢くものというか、自分で消化して......という場面ですね。喜びも悲しみもいろんなことがあるけれど、生きていかなきゃいけない。日々を自分のなかで消化して、重々しいかもしれないけど次の1歩へ行こうという想いを込めて。

-どの曲も言葉だけでなくサウンドも生々しさがあります。

山下:どうしても年齢を重ねてるせいか、嘘くさいものを見抜いてしまうんです。だからやっぱり生々しさを求めてます。CDの出来上がりが本当にそういうものになったので、嬉しかったですね。

-特にそれが音に出ているのがドラムだと思ったんですよね。奥行きがある。

山下:お、そうなんですよ。音に奥行きが出るように、エンジニアさんが楽器を置く位置を作ってくれて。時代によってマスタリングの流行があるんですけど、僕らは最近ではなくてちょっと昔の――僕らが10代のころに憧れていた90年代や80年代の音楽、NIRVANAみたいな、奥行きのある録りかたをしたんです。そっちの方が臨場感も得られるので、3Dになって自分もライヴ会場にいるような感じがイメージできると思います。

-それに加えて躍動的な曲間もあって。ドラマティックで完璧なライヴ感です。

山下:やっぱりドラマ性が欲しいんですよね。曲は3、4分という短い時間ですけど、ドラマやと思うんですよね。そのドラマが繋がって、アルバムという1個の映画になると思うんです。だから間も取りかたも、ちょっとの違いで心の入りかたが違うというか。作るときには聴く人をイメージしたりもしているので、そういうところはこだわりというか、当たり前にやってることですね。聴いている人の心に届くことは大事にしているので。

-紙資料にも"色気""大人っぽさ"という言葉がありますが、そういうところも私自身が10代に聴いてきた90年代の音楽を思い出しました。"大人の世界はわからないけど深いぞ、もっと知りたい"と思うというか。若い世代のきっかけになる気がします。

山下:ああ、10代のときに危ないものに憧れる、惹かれる......そういうのはちょっと出てるかもしれないですね。曲に関しても自分のヴォーカルに関しても、もうこれしかできないから(笑)、これでいくしかないんじゃないかなと思ってます。そういうところが今回のCDでしっかり認識できたというか。

為川:今までやってきたことをしっかり濾過して出てきた濃縮されたものが今回のアルバムで。今のfolcaはグラマラスです、という曲が集まってるし。アプローチもいろいろみんな経験してきてるけど"何でもできる"じゃなくて"これがこいつには合ってるし、俺はこれやりたい"というところから出てきているから。詞的なところもそうですし、音楽的な向き合いかたも――音楽聴いてる人ややっている人も楽しめるとは思います。

-こういう腰にくるグルーヴのある艶感もどっしりしていて。

藤田:あ、それは狙ってる部分でもありますね。

山下:結成当時僕25歳やったんですけど、その年上の人たちでも楽しめる音楽――世代関係なく"音楽"として何年も楽しめることをやりたいんで、それが形になっていることを表す発言が聞けて嬉しいですね(笑)。なんやろ。"どこにでも親子丼はあるけど、ここにある親子丼はちゃうねん!"て感じですかね。そういうちょっとの差ァやと思うんですよ。特別難しいこともしてないし。でも、みんなができそうやけどできないみたいな感じかなと思います。