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INTERVIEW

Japanese

SUNDAYS

2014年05月号掲載

SUNDAYS

Member:冬実(Vo) 宮田 誠(Gt)

Interviewer:沖 さやこ

-それで宮田さんとふーちゃんのおふたりで弾き語りを始めるようになるんですね。

冬実:宮田くんはゆずくらいのストリート・ミュージシャンになる気でいたんですよ(笑)。"路上で200人集める!"って。

宮田:お世話になってるライヴハウスの店長さんにも"僕らは400人弾き語りでお客さんを集められるようになったらバンドを組む"とマジで言っていて(笑)。その店長さんも"こいつ頭おかしいな、でも目がマジだから......そうか~"みたいに思ってたみたいで。

-(笑)宮田さんは、前のバンドが解散したときにとてもつらい思いをしたから、別の文脈でのし上がっていこうと思われたのかもしれないですね。

宮田:それもありますね。あと、前のバンドを解散したときに、どういう音楽をやりたいとか、そういうものが固まっていないときに音楽業界の人に関わるとつらい思いするなと思ったんです。だからしっかりコンセプトとか演奏力とか動員とか、バンドの力というか、自力というか......そういうものをちゃんとつけてから進んでいきたいというのがそのときあって。だからバンドに踏み込めなかったというのはありますね。

冬実:宮ちゃんは路上で400人集められるような実力があればすぐバンドもできる!って思ったんだよね。弾き語りはギターと歌のそれぞれ1本でやっていくから、ギターや歌の実力が、ものすごくあからさまになるでしょう? だから弾き語りでめちゃくちゃ人気が出るってすごいことだと思うんですよ。でもわたしは"その道のり長くない?"って思っちゃって。お客さんは集まらないのに、変な人とかヤバい人ばっかり寄ってきちゃったから怖かったし。

宮田:あと弾き語りしてると他の弾き語りの人と一緒に警察に怒られたりすることもあって。そうやって活動していくなかで......2人で練習中にふーちゃんが"バンドがやりたい"って号泣しちゃったんですよ。それで渡辺に連絡して、友達のベーシストの子にサポートを頼んで、SUNDAYSを結成することになったのが、2007年の秋ですね。

-ふーちゃんと宮田さんには、そういう苦悩を共に乗り越えているがゆえの信頼関係やグルーヴが存在するんですね。結成時にはSUNDAYSのバンド・コンセプトは決まっていたのですか?

宮田:そうですね。前にふーちゃんとやっていたバンドが、オルタナというかエモというか......その頃は凛として時雨とかRADWIMPSとか、テクニカルな若手バンドが増えてきている時期だったんです。僕もそういうバンドが好きだったし、そういうバンドに憧れてたんだけど......自分らでやっていて面白味は感じられなくて。バンドを解散させたあとに"新しく何をしよう?"と思ったけど、やりたいことが特になくて......そのときにいっぱいCDを聴いたんです。そのなかにSEX PISTOLSのCDがあったんですよね。今までも何回も聴いたことあるCDだけど、20歳のときに改めて聴いたとき、僕はすごく衝撃を受けたんです。

-どんな衝撃を?

宮田:誰も考えつかないようなことで人を驚かせることばっかり考えていた僕にとって、SEX PISTOLSは――今聴くとちゃんと考えられた音作りだと思うけど、当時の僕は"こんなに簡単な音楽で、歌もうまいとは言い難いし、音も良くないのに、なんでこんなにかっこいいんだ!"と衝撃を受けて。言葉はわからないけど、当時の70年代のロンドンの空気が伝わってくるというか......。音楽は構成の緻密さも面白味のひとつでもあると思うんだけど、やっぱり空気感や歌から発せられてるエネルギーとか、生命力、人間力そういうものに感動するんだなと思って。だから僕らもそういうもので人を圧倒するバンドをやろうと、初期パンクをいっぱい聴いて勉強して。いわゆる使い古された定番のものでオリジナリティを出そう!というのがSUNDAYSのコンセプトになっていきました。誰でもできることで、誰よりもかっこいいことをやりたい。

冬実:その当時は"超かっこいい一般庶民になろう!"と言っていて。全国民の友達になるバンドって言ってたよね?

宮田:それは今でも一緒だよね。

-だからメジャー・デビュー・アルバムのタイトルも『普通の人間』なんですね。

宮田:パンクは労働者階級の音楽で......一般庶民でもギター持って、マイク持って、ドラムやベースを持ってステージに上がったら、誰もスターになれる。ジャズやプログレだと敷居が高いけど、ロックンロールやパンクは誰でもできる。"フリーターだろうと、女子高生だろうと、サラリーマンだろうと、いつだって輝けるんだぜ"というのをすごくパンクに感じたし、僕らもそういうバンドをやりたいなと思ったんですよね。

冬実:パンクはもともと体制に対する反抗だと思うんですけど、この日本という国でそんなに大それたことできないし、みんなそんなに恵まれていない生活はしていないと思うから......"じゃあ何に対して反抗する?"という話をしたら"じゃあ俺たちは普通の暮らしのなかにある憂鬱に対して反抗していこうよ、絶望に対するパンクをやろう"と宮ちゃんが言ったんです。

宮田:日本は豊かだし、公園で蛇口ひねれば水出てくるし、ご飯にもそこまで困らないし。みんな余裕があるからハングリーじゃないなと思って。明日は今日よりもっといい日になる、という当たり前のことをみんな感じられなくなってる気がしたんです。閉塞的な雰囲気を打破していくのが、この日本におけるパンクの意義なんじゃないかなと思ったんですよね。僕らもこれから年齢を重ねて知識が増えていったりしたら、いろんなものに対して疑問を持って音楽をやっていくのかもしれないけど......いま僕らができることややりたいことは――これはSUNDAYSというバンド名にこめた意味でもあるんですけど、自分の限界を決めないとか、考えかたひとつで自由になれるとか、そういうことをみんなにステージの上から音楽で伝えたい。なんとなーく面倒くさいとか、なんとなーく憂鬱とか、そういうものを全部楽しんで、エネルギーをもらえるようなバンドがやりたかったんですよね。