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INTERVIEW

Overseas

THE SMASHING PUMPKINS

2012年07月号掲載

THE SMASHING PUMPKINS

Member:Billy Corgan (Vo&Gt)

Interviewer:伊藤 洋輔


-エレクトロ・サウンドのイントロが印象的な「Pinwheels」ですが、叙情的な詩世界も素晴らしく、あなたの繊細な想いがそのまま反映されているように感じますが、コメントをお願いします。

「Pinwheels」は、カントリー・ソングさ。でも、実際にレコーディングしてみるとあまりにもストレート過ぎて1972年のROLLING STONESみたいになったり、1969年のTHE BYRDSみたいになったりするんだ。カントリーやフォークっぽい曲を、みんなが気に入っている要素を損なわずにフレッシュにするためにはどうしたら出来るかなと考えたんだ。というわけで、テクノロジーとフォークの融合がこの曲を魅力的なものにしているんだと思うな。いかにも未来にありそうだけど、同時に懐かしくもあるんだ。

-次にこの質問の答えは、言葉では表現できないほどの深い想いがあると想像しますが、あなたの音楽活動はTHE SMASHING PUMPKINS→ZWAN→ソロ→再びTHE SMASHING PUMPKINSへ戻る流れがありましたね。現在のオリジナル・メンバーはBillyひとりとなってしまいましたが、あなたがこの“THE SMASHING PUMPKINS”として活動する拘りや理由、その情熱、愛を聞かせてください。

一番いい説明の仕方としては、このバンドが常にコンセプチュアルだったということだね。僕はTHE SMASHING PUMPKINSのコンセプトが大好きなんだ。僕にとって魅力的なんだよね。やり方が1つ以上あるバンドにいることに僕は魅力を感じるんだ。逆だと、音楽は死んでしまうと思う。3コードのパンク・バンドとか、キーボードしか使わないとか、そういうのを聞いているとおもわず寝ちゃうよ。僕は、超ヘヴィ・メタルな曲もやれば、すごく心地良い曲をやって、次はエレクトロニック・ソングをやるようなバンドが好きなんだ。その方がずっと面白いと思う。いろいろなスタイルを一緒にやるというチャレンジが、未来を示唆していると思うからだよ。ほとんどのミュージシャンはぬるま湯に浸かっていて、既に十分に開拓されたスタイルしかやっていない。危険な要素は全て排除してしまっているんだ。もちろん、一般大衆はその手の曲に反応するんだけどね。全ての問題が解決済みの曲だからだ。でも、さっき君が挙げた「Pinwheels」みたいな曲は、何と比較出来る?出来ないよね。だから、やって行くうちにスタイルを確立させないといけないんだ。僕は曲を作りながら、“これでいいのかな?ダメなのかな?”っていつも思っているけど、僕にはわからない。でもそこがポイントで、ぬるま湯に浸かってはいけない。直感が、エキサイティングで聴く価値のあるものを生み出させてくれるんだ。うまく行くこともあれば、うまく行かないこともあるけど、典型的なTHE SMASHING PUMPKINSのリフによるギター・ロックばかりやっていたら、危険な要素がなくなってしまう。さっき言ったように、同じ映画を繰り返し観るのと同じことになってしまうんだ。

-今年に入り初期の『Gish』と『Siamese Dream』がリマスターされましたね。ともに名盤として人気の高いアルバムですが、今現在振り返ると、Billyはこの2枚にどのような想いがあり、またどのような位置付けとして捉えていますか?

『Gish』はとても興味深いアルバムだと思う。楽曲の面では素晴らしいアルバムではないけど、サウンド面と、あと人に影響を与えたという点では素晴らしいアルバムだと思うよ。後にオルタナティヴ・ロックとなったあのダイナミックなアプローチは、多くの後続バンドのひな型になったよね。そしてもちろん、僕たちはその上にポップ・ミュージックを築いて行ったんだ。ヘヴィなグルーヴやフィーリングをポップ・ミュージックに解釈し直すことが出来たんだ。『Siamese Dream』は、クリーンにしたこのバンドの理想形だね。ある意味、完璧だ。リアルでないバンドだからね(笑)。目を閉じて、こういうバンドになれたらいいなと思った結果が『Siamese Dream』なんだ。現実のバンドの音じゃない。僕たちを理想化したもので、完璧な絵画のようなものだよ。だからこそ、あのアルバムはとても興味深いんだ。この2枚のアルバムの間に起こった急激な変化も不思議だよね。