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INTERVIEW

Japanese

FUNKIST

2011年02月号掲載

FUNKIST

Member:染谷 西郷(Vo) 春日井 陽子(Flute)

Interviewer:沖 さやこ


-春日井さんがいないことで、いつも噛み合っていた歯車がうまく動かなくなってしまったのかもしれませんね。

染谷:そうですね、そういうことだと思います。多分6人で行く中でひとりひとりが“自分がもっとやんなきゃ”って方向に向かって。逆にそこまで追い込んでるがゆえに「何でここ理解されないんだ?」とか、各々戦ってた感じが凄くあったんですよね。

-そして「もみあげ」……染谷さんとヨシロウさんのツインヴォーカルがめちゃくちゃクールなレゲエ・チューンですが、歌詞が「もみあげある奴ぁゆるさねぇ」という(笑)。

染谷:(笑)。今回はミニ・アルバムなんですけど、自分達の中ではフル・アルバムを作るつもりで行こうっていう思いが強くて。今まで過去に作って来たアルバムって、必ずインスト曲1曲と、遊び曲が1曲入っていて。

-そうですね、過去のアルバムには下條アトムさんが参加されたり、メンバー応援歌が入っていたり。

染谷:今回もアルバムって自分達で定義付けたんで“じゃあ馬鹿もやろうぜ!”って。多分馬鹿なこともやらないと表現仕切れないんですよ、FUNKISTって。この曲は馬鹿やってる楽しさだけは凄いありましたねー。今回エンジニアさんも悪ノリして、「マイク1本でいいよな」って言い出して(笑)。それぞれの楽器にマイク立てずに、マイク1本スタジオにぽんって置いて「せーの!」っつって録って。

-そんなラフな空気がアルバムのど真ん中にあるのも自信の表れだと思います。「Re」はお友達を思って作られた曲だそうですね。

染谷:僕らが結成した時からずっと一緒にやってきた、一番古いバンド仲間のRED JETSってバンドが、僕らの自主企画イヴェントに出てくれた帰りに事故にあって。もしかしたら命が……っていう状況が何日か続いたんですね。かと言って僕らが治せるわけではないし、あいつらのために何をしよう?って思った時に、「1曲書こう」って。「こんなとこで終わらせんなよ」って思いを込めて。この曲を書いてた時に、意識が戻ったって話を聞いて、しかもこれを録り終えた直後にRED JETSから電話で「今日スタジオに半年振りに入れたんだ」って言われて。あっちもこっちも泣いていて。「俺らお前らのために今日録ってたんだよ」っていう話をして。

-だから力強くて情熱的な曲なんですね。

染谷:そこがないと音楽やる意味もなくなってくると思う。例えば今まで、日本以外のいろんな国でライヴしてきて、でもどこの会場でも一緒に笑い合って来たし、みんな手を挙げて一緒に踊ってくれたし。言葉とか文化とか凄く大事なことだけど、でも音楽はそれを飛び越えてくれると強く実感してて。自分達が舞台の上で「俺ら分かり合えるよな」って発信するんだったら、アーティストとしてじゃなく個の人間として身近な奴と分かり合えなくてどうすんだっていうのが凄くある。それが出来てなかったら舞台の上で表現出来ないと思います。

-「いつまでも」はとても尊くて優しい歌ですね。もがいてる感じが人間らしくて、ありのままで、嘘が無い。だから説得力もあって。

染谷:今までまっすぐにある一人に向けたラヴソングって書いたことが無かったんですけど、でももし書くとしたらここしかないだろうなと思って。俺がギター始めた頃にウルフルズが『バンザイ~好きでよかった~』を出したんです。あの曲は出会って10年目に結婚した奥さんに向けて書いた曲なんですよね。10年経ってあんなにまっすぐ「君を好きで良かった」って歌うってすげー素敵だなぁ!っていうのがずっとあって。僕なりのそういう曲だと思います。

-ラスト2曲が12月のライヴでの音源ですね。インスト・メドレーと「愛のうた」。対極な内容で。

染谷:インスト曲は絶対入れたかった。8月から陽子ちゃんが復帰して、お客さんも陽子ちゃんの帰りを待ってくれてたし。7人でやっと見せれたツアーだったんで、その時のお客さんの拍手とか熱とかも全部込みで入るライヴ音源にしようっていうのがありました。

-長崎公演で披露された「愛のうた」は、もともと5分くらいの曲が12分にも渡り演奏されていますね。

染谷:毎年ライヴで8月6日に広島、8月9日に長崎を回っていて。「愛のうた」を初めてお客さんの前で歌ったのも長崎だったんですよね。この長崎公演はツアーの終盤で、声はガラガラだし高い音も届いてなかったりしていて、結構コンディション的には収録向きではないんですけど、長崎でこの歌を歌って、それを残すっていうのは自分たちにとってはすごい意味のあることだった。即興で歌詞もどんどん変わっていくし、増えていくし。メンバーもそれをまったく……ヴォーカルがこう言ったからついていこうじゃなくて、一緒にみんなで描いた感じが凄くあったんです。それがさっき言ってた半年間の間で出来なかったことで。このライヴの時って、何歌おうがどのセクション行こうが全員がついてきた。ありのままですね。

-この2曲は “今年のFUNKISTはライヴ三昧になるぞ”という意思表示にも見えました。

春日井:皆さんと楽しい時間を共有できるのが素敵だなと思うんで身体に気を付けつつ、今年もライヴを沢山頑張っていきたいです!

染谷:新しい音源も出来て、ライヴ出来る曲も増えて来てるので、それでまた日本中で表現していきたいのもあるし。それと同時に、CDのために音楽を作っていくんじゃなくて、ライヴのために音楽を作っていってライヴの中でどんどんそれが磨かれ、変化していって、また次のCD作品がライヴ発信で生まれたらいいなと思ってます。今年はまたツアーがっつり回って、チャンスがあればまたどっかの国でまたライヴして。裸のまんまでいけたらいいなと思っています。