Japanese
too basaraʼs people records
2015年08月号掲載
Writer 蜂須賀 ちなみ
国内最大級のCDショップ・チェーン、TOWER RECORDSが新たなロック・レーベル"too basaraʼs people records"を設立した。新しい才能を続々と発信していくという同レーベルからは、第1弾アーティスト"フィッシュライフ"、第2弾アーティスト"バンドごっこ"、第3弾アーティスト"climbgrow"という新進気鋭の3組のリリースが決定している。今回はこの3組に焦点をあて、バンドと新作について紹介する。
フィッシュライフ
"too basaraʼs people records"第1弾アーティストは大阪のフィッシュライフ。まだ学生の彼らだが2013年には10代限定オーディション"閃光ライオット"のグランプリを獲得するなど積極的な活動をしており、8月12日にリリースされる初の全国流通盤『バトルフォーユー』は自主盤収録曲+最新曲という現時点でのベスト盤ともいえる内容だ。「blue blue blue」(Track.4)という曲に"もっと語彙が豊富になったら/もっと歌が上手くなったら/時を改めて歌うから"というフレーズがある。それは、疾走感溢れるこのサウンドには"今"しか閉じ込められないという事実も、自らの若さゆえの青さも全肯定し、謳歌しているからこそ出てくる言葉であろう。そのロマンこそがこのバンドの強みだ。"ヒーローが死んだ"と歌う彼らがどういう過程を踏みながら聴き手のヒーローになっていくのか。物語はここから始まる。
バンドごっこ
フィッシュライフと同じく、こちらも大阪発の3ピース。ベーシストは何故かキツネのお面を被っているが、色物と思うことなかれ。火を噴きそうなベースのスラップで曲が始まれば、ドラムのリズムに乗っかって難解なギター・フレーズと言葉を多く詰めた歌が展開される......という「未練リフレイン」(Track.1)の冒頭だけでも、決してこのバンドが"ごっこ"ではなく本物であることは明らかだ。それぞれのパートがせわしなく五線譜上を動き回る情報量の多いサウンドでも、互いが打ち消し合わず、相乗効果を発揮している。"音楽×笑い"をコンセプトに活動する彼らだが、9月2日リリースの1stミニ・アルバム『うたそらごと』に関しては"普段は言えない絵空事も歌にすれば伝えられる。(中略)自信を持って言います、名盤です"と真面目にコメントしており、正直、音源と前情報だけではお笑い要素がどこにあるのかまったくわからない。もしやライヴがすごいのか......?
climbgrow
![](https://skream.jp/diskreview/assets_c/2015/07/now_printing-thumb-autox160-31757.jpg)
1st MINI ALBUM
『Enter Here』
2015.10.07 ON SALE
滋賀発の4ピース・バンド。中学時代の同級生を中心に結成し、2014年"閃光ライオット"にて準グランプリを獲得、この春高校を卒業したばかりだ。そんな彼らにとって初の全国流通盤となる10月7日リリースの1stミニ・アルバム『Enter Here』は、これまでライヴで披露してきた楽曲を主に収録。巻き舌を多用しながら叫ぶように、あるいは吐き捨てるように、あるいは噛みつくように唄うヴォーカルを始め、迫りくるように連打されるバスドラの音、螺旋を描きながらも前進を止めないギター&ベースの旋律......と、年齢的にはまだ若いフレッシュなバンドだがスタート時の清々しさではなく、まだまだ足りないと言わんばかりの渇望感の方がこのバンドのエネルギー源になっているようだ。とはいえ、音の余白に憂いをにじませた「過ぎてしまった」のように、切れ味と衝動だけで勝負しているわけではないことが随所から感じ取れる。その面での表現の深化にも今後注目していきたいところ。
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