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LIVE REPORT

Japanese

Laughing Hick

2025.11.11 @渋谷CLUB QUATTRO

Writer : 藤坂 綾 Photographer:イデタリク

約2年ぶりとなるLaughing Hickの対バン企画ライヴ"Laughing Hick Presents Voyager"。メンバー自身が共演を熱望するアーティストを1組迎え、ツーマン・イベントとして東京/大阪の2都市で開催されたこの企画の東京公演が、11月11日に渋谷CLUB QUATTROにて、the shes goneを迎え行われた。

まずはthe shes goneからスタート。"Laughing Hick、呼んでくれてありがとう!"と「タイムトラベラーと恋人」で幕を開け、"最高の1日にしようぜ"と「ガールフレンド」、「想いあい」へと続く。初っ端から惜しみなく鳴らされるグッド・メロディにまんまと巻き込まれてゆくフロア、そのフロアに対して"俺等のツアーじゃないよな?"と嬉しそうに返す兼丸(Vo/Gt)。共にライヴを、共にこの"Voyager"を創り上げていくという意思がどちらからともなく感じられ、言葉にしなくとも伝わる想いはあるんだなと改めて。MCではLaughing Hickとの出会いのきっかけや思い出を語り、"最高の日にしたい"とまっすぐな気持ちを述べる。

"あなたらしい楽しみ方で、最後までよろしくお願いします"と「まぼろし」、「ラベンダー」をじっくり聴かせた後は、"「もう大丈夫だよ」とは言わない。でも、一人一人の目を見て、あなたと対話するように歌うから、共に闘うために歌おう、共に頑張るために歌おう、共に大丈夫になれるように歌おう"と「エイド」。そんな想いを込めて歌われたこの曲で、静かに突き上げられた拳がとても美しかったことは言うまでもない。その想いと勢いのままこの日一番大きな手拍子が鳴り響いた「化物」へと続き、ラストは「シーズンワン」。熱い想いと共に、Laughing Hickへと完璧なバトンを繋いだ。

the shes goneからのバトンを受け取って登場したLaughing Hick。1曲目は「Local Hero」。すでに十分すぎるほどのフロアの熱気も相まって、1曲目にしてクライマックスかのような勢いだ。全身全霊フルスロットル。これぞ対バンの醍醐味。そのクライマックスを更新していくかのような勢いで、「ホンネ」、「マラカイト」へと続く。あかり(Ba)とTAICHI(Dr)のリズムがいつも以上に力強くて頼もしく、そこに全てを委ねたかのようなホリウチコウタの歌が今まで以上に自由奔放で、それでいて艶やかで、気持ちいい。

忘れないうちにとホリウチが、"the shes goneのときのフロアが最高にかっこ良かったのが、めちゃめちゃ誇らしかったです"と言うと、ますます熱くなるフロア。その熱を少し落ち着けるかのように、「ふたりの恋」、「さよなら恋人、おかえり恋心」、「カシスオレンジ」を披露。一音一音、一つ一つの言葉が全ての気持ちに寄り添い、全ての気持ちを包み込み、切ない曲のはずなのに、すごくすごく温かい。

オフィシャル・ファンクラブの開設の発表で再び熱くなった後は、「愛してるって」で後半戦へと突入。Laughing Hickのライヴを彩ると同時に、ライヴで演奏することにより曲の深みが増し続ける「休憩と宿泊」、聴くたびにクールさが増し、その反面バンドの華やかさが色濃く表れる「愛なんて嘘は置いといて」(この日の「休憩と宿泊」からの「愛なんて嘘は置いといて」の繋ぎがめちゃめちゃかっこ良かった)へと続き、"今日一番デカい声出す準備はできてるか?"と「女だから」。この曲はファンと一緒に成長してきた曲と言っても過言ではないでしょ、ということでホリウチから"たいへん良くできました"をいただき、もうどっちが演者か分からない。頼もしすぎるよ、みんな。

ここで来年行われるワンマン・ツアーと、そのファイナルがZepp DiverCity(TOKYO)であることを発表すると、割れんばかりの拍手と歓声が。喜びを隠し切れないのは3人もファンも同じだけど、"一旦ワンマン・ツアーのことは置いといて、「Voyager」を最高に盛り上げて帰るのはいかがでしょうか?"と「ランプ」を演奏。これまで観てきたどのライヴの「ランプ」よりもリアルでたくましくて、足跡はどんなときも嘘をつかないし、歩いてきた道のりは何があっても裏切らないんだって、勇気を貰えたような気がした。

改めてthe shes goneとの思い出を語り、彼等へ感謝を伝えるホリウチ。そしてファンへの感謝も述べ、"君のためだったら、このバンドのためだったら命をかけてもいいなと今日思いました。ラスト3分半、ここに集まってくれた君の、あなたのためだけを想って歌って帰ります。約束の歌を聴いてください」とラストは「オリオン」。ドラマチックで、でも人間臭くて。そんな場面を幾度となく観せてくれた"Voyager"東京公演。バンド仲間への信頼とリスペクト、そしてバトンを受け取ったLaughing Hickのこの先への覚悟をはっきりと感じた夜だった。

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