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INTERVIEW

Japanese

みじんこらっく

2025年10月号掲載

みじんこらっく

Member:豆粒(Gt/Vo) ゆるく(Ba/Cho) 塩(Dr/Cho)

東京 下北沢を拠点に活動する3ピース・ガールズ・バンド みじんこらっく。今年3月24日に現体制での活動をスタートし、強烈な異彩を放つその存在感にライヴハウス・シーンからは熱い視線が注がれ始めている。明日10月10日にバンドのテーゼを冠した代表曲「ラックミュージック」をリリースする彼女たちに、メールで話を訊いた。

-今回Skream!初登場ということで、自己紹介をお願いいたします。

一同:東京を拠点に活動している、3ピース・ガールズ・バンドのみじんこらっくです! ギター/ヴォーカル 豆粒、ドラム/コーラス 塩、ベース/コーラス ゆるくです。日常にある、"どこか埋まらない小さな隙間"を埋めるような音楽がしたい! という想いで活動しています。

-どういった経緯でこのバンドを始めることになったのでしょうか?

豆粒:私は2年程前から弾き語り動画をSNSにチラチラ載せていました。でもだんだんとバンドがやりたくなって、プロフィールのところに"バンドがやりたい!"と書きました。募集する程の自信はなくて......。そんなとき、ある私の弾き語り動画を観た塩が"一緒にバンドをやりたい"と連絡をくれました。同じ動画を観てゆるくも連絡をくれ、現体制3人での活動が2025年3月24日にスタートしました。

塩:ぼーっとSNSを見ていたらたまたま豆(豆粒)の弾き語り動画が流れてきて、それまでは外でオリジナル・バンドをやろうとは一度も考えたことがなかったのに、曲を聴いた瞬間に"この人の後ろでドラムを叩きたい"と思いました。私に務まるのか、というところで声を掛けるか少し悩みましたが、こんなに衝動に駆られることはきっとこの先ないなと思い、連絡しました。

ゆるく:私もオリジナル・バンドをやるつもりはなかったところに、豆ちゃんの引き語り動画が流れてきて、豆ちゃんもバンドがしたいって書いてあって。これだー! って思って衝動的に連絡しました。結果として遅れての加入にはなったんですが、声掛けたのは早かったと思います(笑)。

-メンバーそれぞれの音楽的ルーツや、影響を受けたアーティストについて教えてください。

豆粒:小学生のときにピアノを習っており、また音楽プレイヤー、CDプレイヤーからよく音楽を聴いていました。私が初めてハマり、買ったCDはSEKAI NO OWARIでした。その後は特に演奏することよりも聴くことが多かったのですが、大学生になり、コロナ禍で暇だったときにギターを始めました。ギターを始めたきっかけは、RADWIMPSの「me me she」を弾きたかったからです。中学生のときに、この曲を友達に教えてもらって、もう毎日毎日聴いていました。
その後、YouTubeの"THE FIRST TAKE"で観た、マカロニえんぴつのはっとり(Vo/Gt)さんの動画がきっかけで、バンドがやりたいと思うようになりました。高校生のときからマカロニえんぴつは好きだったのですが、この動画のはっとりさんの表情や歌い方、歌声に特に魅了されて、この曲をこんなふうに歌いたい! と思って、弾き語りを始めました。そこからバンドにどんどんハマっていったように思います。

塩:私は小学校3年生のときに金管楽器に触れる機会があり、そこからずっと様々な形で音楽を続けています。バンドを始めたきっかけは、高校見学で軽音楽部を見に行ったときにそこで歌っていた先輩がとってもカッコ良かったから(笑)。高校1年生から大学2年生まではギターを弾いていましたが、大学サークル内で深刻なドラマー不足に陥ったことをきっかけにドラムを始めることになり、今ではみじんこらっくのドラマーとして日々頑張っています。音楽をずっと続けてきたことに明確な理由はありませんが、小学生のときから大好きなAAA、Nissyの存在は大きいかな、と思います。バンドで言うと、TETORAの音楽には何度も救われています。

ゆるく:中学生のときに、初めてスマホを持って、ボカロと出会ったのが音楽を好きになったきっかけです。そこから歌い手さんにどハマりして、特にそらるさんを追いかけていろんなライヴに行きました。このときにライヴがすごーく好きになりました! 高校生でギターを始めて、バンドを聴くようになっていって。その中でヤバイTシャツ屋さんに今度はどハマりして、ベースを始めました。ありぼぼちゃんリスペクトです!

-そういったアーティストや音楽と出会ったきっかけはなんだったのでしょうか?

豆粒:私が音楽にハマったきっかけのSEKAI NO OWARIは、父親がカラオケで歌っていたことで知りました。また小学生のときは、3DSに入っていた音楽ソフトや"うごくメモ帳"といったゲーム・ツールで音楽を見つけて聴いたり、CDショップでなんか良さそうなものをレンタルして聴いたりもしていました。その後は、YouTubeや友達からのおすすめでした。

塩:AAA、Nissyは私が小学生の頃に人気爆発中で、どこからともなく、気付いたらのめり込んでいました。さっきから曖昧な回答ばかりで申し訳ないです(笑)。当時はスマホを持っていなかったのでCDを購入したりレンタルしたりして、3DSに取り込んで聴いていました。TETORAはYouTubeのおすすめで流れてきたような......おすすめ機能に大感謝です!

ゆるく:出会ったのは友達に勧められたニコニコ動画ですね。初めてインターネットに触れて、こんな音楽があるんだ! と衝撃を受けたのを覚えています。ヤバイTシャツ屋さんは、軽音学部でコピーバンドを組んだりコピーバンドしているのを聴いて、好きになっていきましたね。でも一番はライヴに行ったときの楽しさに惹かれました!

-バンド名"みじんこらっく"の由来を教えてください。

一同:幸せだったり生活だったりを音楽だけでは満たせないと思っていて。けれど日常にあるどこか埋まらない小さな隙間、気持ちを"音楽"に私たちは助けてもらって。そんな、隙間や気持ちを埋めるような音楽がしたいと思って付けたのが"みじんこらっく"です。みじんこらっくには"みじんこLuck"=小さな幸せ、喜び、"みじんこLack"=小さな隙間、欠けたものという2つの意味が交ざっています。私たちの小さいラック(Luck)ミュージックで、どこか満たされない、埋まらない欠けた隙間(Lack)を、そっと埋めたいと思って付けました。名前の付かない感情やざらつきを言葉にして、日常、その隙間を掬い上げたいと思っています。

-8月1日にサブスク解禁されたとのことで、現在(※インタビューは9月中旬)4曲(2025年8月1日リリースの「つまんない」、「チケット」、2025年8月22日リリースの「もんじゃ」、2025年9月リリースの「あなたの寝顔を食べにゆく」)が配信されておりますが、満たされない感情を心地よいゆるさで表現されている印象を受けました。ぜひ、それぞれの楽曲に込めたエピソードや聴きどころを教えてください。

豆粒:どれも日常にふと落ちている気持ちを言葉にしたものです。なんら特別でないことも、特別にできる。言葉にできない気持ちを代弁されているような気持ちになって聴いてもらえたら嬉しいです。
「つまんない」は"つまんない/かわいくない/やりたくない"、"暑いねって笑ったり/寒いねって笑ったり"と、誰もが思ったことのあること、感じたことのあること。そんな、どこか満たされない気持ちをだらだら言い合って、くだらないことで笑ってればいいんだよって。だらだら聴いてください。

豆粒:「チケット」は、私と同じくらい好きでいてほしいという願いを込めた歌です。私は、恋人や友達、家族等と出かけたチケットを捨てずに取っておく性格です。あるお出かけをしたとき、カフェで記念のコースターを貰いました。私は、部屋の机に置いてありますが、きっと君は捨ててるんだろうな、と思ったところからできましたね。チケットに限らず、自分と相手との気持ちの差に少し悲しくなることがあると思います。でも、こちらから言って捨てないでもらうことや好きでいてもらうことは虚しいです。相手からの自主的な想いが欲しいという気持ちの歌です。こんな気持ちの人は聴いて、言う代わりにその人に"私こんな気持ち"と送りつけてください。
「もんじゃ」は、自分に言い聞かせている歌です。何度も何度も、比べるもんじゃないって思ってるし、人にもそうアドバイスするけれども、人間やっぱり、どこかで比べて生きています。一喜一憂し、自分で自分を振り回すし、人からの比較も逃れられません。もちろん、比べることで成長できることもあるし、頑張れることもたくさんあります。私はそんな中で自分が一番だって思っています。ここでの一番は、たくさんの中での一番でもありたいということも意味しますが、比べようのない私にしかない枠を作り、一番でありたいという気持ちです。 例えば、"みじんこらっく"という固有名詞は1つで、一番なんです。二番はありません。そんな比べようのないものを作り、それを一番だと言い張る。一番にしていきたい。バンド界ではビリでも。"もんじゃ"だけ見ると、おかしな曲を想像するかもしれないのですが、食べる"もんじゃ"は関係ないので。生活を歌っているのでぜひ聴いてください! 食べる"もんじゃ"も大好きです。
「あなたの寝顔を食べにゆく」を作ったエピソードは、捉え方が狭まるので言いませんが、あなた=ごはん。ごはんは生きる上で必要で、毎日食べるものです。そんなごはんみたいに、必要不可欠で大好きな存在を想って書いた曲です。空腹って、"寂しさ"に似ているなと思っていて。ペコペコのお腹にはなんでもおいしいと思いますが、美味しくないもの、嫌いなもの、身体に良くないものは後からお腹を壊します。みんなには美味しいものを食べてほしいです。あと、寝顔はなんだか愛おしいです。

-リフレインを多用しながら聴き手の感情に浸透するような豆粒さんの声、愉快で奔放なバンド・アレンジが印象的ですが、演奏や音作りのこだわりポイントを教えてください。

豆粒:全て気持ちのままがポイントですね。自分に言い聞かせる、投げ掛ける言葉が多いと思いますが、浮かんできた言葉の数そのままを使うことで、自分の心にも効きます。その思いをどこか間抜けでポップな音にできたらなとは思っています。

塩:私はドラムに対する知識も技術も優れているわけではないので、豆が送ってくれた弾き語り動画を聴いて、完全にフィーリングで作っています。よくそんなリズム思いつくね、と言ってもらえることが多いのですが、基本があまり分かっていないからというか、基礎がなっていないからというか......勉強したほうがいいとは思いますが、今の奔放さが豆の作る歌にハマっているのなら、まぁ、いいかな?(笑)

ゆるく:私自身が音楽の知識が全くゼロなので思いつくままって感じです。弾き語りを聴いて、コードで弾いて、自由な2人の音楽に引っ張ってもらって、アレンジを作っています!

-10月10日に「ラックミュージック」配信リリース、誠におめでとうございます。日々の物足りなさを抱えつつもポップに、まるで人生の在り方を映し出しているように感じました。タイトルに"ラック"という言葉を用いたことにも、何かこだわりや想いが込められているのでしょうか? 楽曲の聴きどころを踏まえて教えてください。

豆粒:ありがとうございます! この"ラック"はまさに、みじんこらっくの"ラック"です! バンド名の由来でもある、私たちの小さいラック(Luck)ミュージックで、どこか満たされない、埋まらない欠けた隙間(Lack)を、そっと埋めたいと思ってできた、とても大事な一曲です。日常に落ちているその欠けた部分ばかり拾ってしまいますが、そのかけらをこの曲に入れて、歌って、ハッピーに変えてしまいたいと思っています。でも、最初からハッピーでなくていいと思っていて。最後に在りついて、みんなで歌って同じ気持ちになれたらいいなと思う一曲です。

-10月18日の"Pororoca pre. HIGH FIVE CIRCUIT FES.2025"、翌19日には"『旬は巡る。-2025-』-supported by Eggs-"と、初遠征となる仙台での"#楽園収穫祭 杜ノ歌ゲ 〜リリカル2周年パーティー"のWヘッダー出演と、立て続けにイベント出演を控えています。これらのステージにどのような気持ちで臨まれるのか、意気込みを聞かせてください。

豆粒:約半年3人で活動をしてきて、2日間で3つのライヴ、また遠征ライヴも初めてということで、ハラハラしている部分もありますが、第一にとても楽しみです。どこでもいつでも、その場のお客さん、観てくれる人、ライヴハウスを丸め込めるライヴをしたいと思っています。けど、それぞれどこか違う顔も見せていきたいです。

塩:自分の体力に若干の不安はありつつ(笑)、本当に楽しみな気持ちでいっぱいです。足を運んでくださる方々、企画運営をしてくださった方々、ライヴハウスの方々、たくさんの人に感謝しながら、私たち3人の気持ちを音に乗せ全力でぶつけたいと思います。

ゆるく:たくさんライヴをやれるっていうワクワクが一番大きいです。なんといっても初遠征もあって、気合充分です! 聴いてくれる観てくれるみんなを楽しませたいです。私も楽しむ!

-活動されているなかで、常にブレずに持ち続けている価値観を教えてください。

豆粒"楽しむこと"です。音楽は楽しいから始めました。それだけは忘れないでいたいと思っています。私の音楽は、誰かにというよりも大前提"自分"のためであって。その楽しいものに、誰かが乗っかって、誰かのものになったり楽しんでくれたりしたらなおなお、いいなという気持ちです。なので、どう思われるかよりも、自分たちが楽しいことをまずは一番大切にしています。

塩:"気の向くままに進んでみること"です。私はそれで今こうして2人と音楽ができているので! "こうじゃないかな?"と思ったことは口に出してみたり、"やってみたい"と思ったことは行動に移してみたり、そのとき感じたことに蓋をせず、なんとなくでも進んでいます。だからずっと、楽しいばっかりです(笑)!

ゆるく:"頑張りすぎないこと"! "ゆるく"っていう名前もそういうところから来ています(笑)。頑張りすぎて、楽しくなくなっちゃったら本当に嫌だと思ってて。でも私は結構頑張りたくなっちゃうタイプで、頑張りすぎて考え込んで......というのがあるあるです。なのでいつでもゆる〜く、と心掛けつつ、日々楽しんでいます。

-そのほか、今後予定されているライヴやイベントがあればお知らせください。

一同:10月24日に大塚MEETSにて、"CHAGA CHAGA ! vol.3"への出演を予定しています。

-今後の展望や目標を教えてください。

豆粒:3人で楽しい今を続けることです。あわよくば、それにもっとたくさんの人を巻き込みたいです。まずは、自分もメンバーもお客さんもその場にいた人が楽しいと思えるライヴをすることが目標です。私たちの曲が誰かの曲になったら幸せです。目標は、野外フェス、TVに出ることです。

塩:"◯◯っぽくていい"、"◯◯のバンドに似てて好き"といった言葉ではなく、"今回の曲もみじんこらっくっぽいなぁ"とそう言われるような、オリジナリティ溢れる? 自由奔放な? 強烈な? 音楽をやっていきたいです。野外フェスは本当に出たい!!!

ゆるく:やっぱりライヴが大好きなので、いろんなライヴに出たいです! あとはフェスにも出たい!! もっとたくさんの人たちと、一緒にライヴを楽しみたいです。あとは何よりも長く長く長く続けていきたいです。

-今後の作品や活動において、挑戦してみたいことやヴィジョンがあれば教えてください。

豆粒:いろいろな曲にチャレンジしたいです。曲を作っていて思うのは、言葉、曲調はそのときそのときでどんどん変わっていきます。その時の固有の曲を捨てずに、毎度形にしていきたいです。

塩:豆と重なりますが、いろいろな曲調にトライしていきたいです。たくさんの曲を聴いて、その人たちの色を味見させてもらったり、たまにいただいたりもしながら(笑)、自分色、みじんこ色を作っていきたいと思います。

ゆるく:個人的にはベース・ソロが目立つ!! みたいな曲はやっぱり挑戦してみたいですね(笑)。あとはもっともっとアップテンポな激しめの曲調とかやりたい!

-最後にSkream!読者にメッセージをお願いします。

一同:目に留め、読んでくださり、本当にありがとうございます! とびきりのラックミュージックを届けるので、どこかでぜひ耳にしてくれたら嬉しいです。

RELEASE INFORMATION

みじんこらっく
NEW SINGLE
「ラックミュージック」

[みじんこらっく]
2025.10.10 ON SALE

LIVE INFORMATION
"#楽園収穫祭 杜ノ歌ゲ 〜リリカル2周年パーティー"

10月19日(日)仙台 FLYING SON
OPEN 16:30 / START 17:00
出演:リリカル / とにもかくにも / ティプシーズ / みじんこらっく / 台所きっちん
[チケット]
¥2,500(D代別) ※22歳以下当日¥500バック
購入はこちら

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