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INTERVIEW

Japanese

キマグレン

2025年09月号掲載

キマグレン

Member:ISEKI(Vo/Gt) KUREI(Vo)

Interviewer:石角 友香

2024年に再結成を果たしたキマグレン。いくつかのライヴを重ねるなかで、ISEKIとKUREIが出会った頃の音楽的衝動を、2025年の今ならではのアプローチで具体化した11年ぶりの新曲「それ夏のせい」、そして代表曲「LIFE」を大胆にオマージュした新曲「アンコール」をリリースした。さらにリアレンジ曲等のリリースも控える2人。音楽好きのピュアな情熱と人生経験の両面が楽曲の端々から窺える、今のキマグレンに話を訊いた。

-再結成後、新曲のリリースまで約1年経過しましたね。

KUREI:そもそも明確な目的を持って再結成をしたわけじゃなく、僕の亡くなった母親が"キマグレンを聴きたい"と言っていて、それをISEKIに"どうかな?"って相談をして、そこが原点にあるので、その時点では新曲は気が向いたら作ろうかぐらいの感じだったよね?

ISEKI:そうですね。自分たちの活動がどういうふうに広がっていくのかは、ライヴで決めようって話が最初にあったので、それに準じた感じですね。

-改めて再結成の一番大きな意味はなんでしたか。

ISEKI:音楽は2人共やめていなかったので、ソロはソロの楽しみ方は別であるとして、やはりキマグレンでしかできないことがあって。KUREIのお母さんの一言がきっかけではあるんですけれども、2人でしか出せないオーラや空気みたいなものはやはり存在するよなというのは、ライヴを通してすごく感じました。その意味では、去年やった(材木座)海水浴場のワンマン・ライヴ("-再会と再開-")は次のステップの一歩にはなった感じで、だから今は何をやりたいのかというよりも、今この瞬間をどう楽しむかにフィーチャーしてるイメージですかね。

-キマグレンには正真正銘2人だけのライヴのイメージがあります。

KUREI:メジャー・デビューしたときにはバンドがいたんですけど、もとはISEKIのギター1本で曲作りをして2人でライヴができたはずで。だけど、当時は自分たちが作った曲でやりたいことや表現したいことに技術が追いついてなくて、できなかったことが、今だったら表現できる。なおかつバンドで演奏する場合はプラスアルファの表現ができるっていう状態に、今やっとなれてきてるので、もちろん2人が原点にあるんじゃないですかね。

-今バンド形態でやるときは以前とは違う手応えがありますか?

ISEKI:僕自身まだOCEANS(KUREIプロデュースのバンド)とちゃんとライヴをしたことがなくて。去年出た"THE FIRST TAKE"で初めてやったんですけど、それぞれが独立したミュージシャンなのでやっぱり洗練されているというか。それにKUREIと長い時間を一緒に過ごしてグルーヴがしっかりできあがっているなかで、僕はそこに乗っかったので、その意味でやりやすかったなという印象がありますね。

KUREI:僕もISEKIもそうですけど、実は、音楽を一緒にやってる時間より雑談してる時間のほうが大事なんじゃないかなと思っていて。練習すればするだけもちろん音楽は上手くなるけど、お客さんに届けるっていうのはまた違った次元の話なんです。だから、会話をしたり飯を食ったりっていうのをバンド・メンバーとも同じくやっているので、みんなが温かい気持ちになれるライヴを今後もやっていけるんじゃないかなと思います。

-20代や30代前半の頃と感じは違いますか?

ISEKI:だいぶ違うんじゃないですかね?でもしかしたら音楽を始めた頃に感覚としてはちょっと近いです。全部が手探りだし。もちろんキャリアはあるんですけど、純粋に音楽をどう楽しむか?というか。もちろん売れる売れないみたいな話はやる以上出てくることはあるんですけど、そっちよりもどう長い人生の中で音楽を楽しむかということの方が今は重要ですね。

-作りたいものを作る上で、ミュージシャンが専業じゃない人も増えましたね。

KUREI:音楽が昔より身近になってるんじゃないですかね。SNSのおかげでもあるし。昔も楽器屋さんもあれば地元の飲み屋で演奏できる場所もあったんだけど、今は全国じゃなく全世界に届くじゃないですか。実は音楽人口自体は変わってないんじゃないかなと思いますけど、ツールが増えてますね。

-サブスクが興隆する今、届いているリスナーの変化は感じますか?

KUREI:音楽の聴き方が変わっていて、昔だったら1曲がいろんなところで流れて街鳴りして聴くようになって、"じゃあアルバムを買ってみよう"となっていたものが、今はプレイリスト的な聴き方になっていて。"夏の瞬間に聴きたい曲たち"のプレイリストにどう入れてもらうか、そこからさらに繋がって"じゃあこのアーティストのプレイリスト聴いてみたい"、さらにその中の気になる曲がまた違うプレイリストに繋がって、違うアーティストに出会うみたいな。なので僕等はそこのどこかに刺さるようにこの夏をかけて13、14曲作ったので、あとは時間をかけて届くように頑張るしかないですね。

-6月に新曲「それ夏のせい」がリリースされましたが結構驚きました。すごく2025年っぽいですし、こんな攻め方なんだ? という驚きがあって。どんな発生の仕方だったんですか?

KUREI:スタジオに入ってグルーヴやビートから考えようと思いました。歌詞に関しては遊びながら"こういう言葉聴こえてくるよね"と。口ずさんでくれやすそうな歌詞をAメロに置くんだったら、対比としてBメロやサビは情景だったりきれいなものに振り切ったほうが、曲として面白いよねっていう感じです。Aメロはみんなから"なんであんな歌詞書いたの"ってよく言われますけどね(笑)。

ISEKI:まずは自分たちがワクワクするものを作ろうってのが基本なので、それが受け入れられるかどうかは置いといてという感じなんです。こういうアーティストが出てきたら我々が企画するイベントに声掛けるかもなって、そんな目線もあったりします。

-今回はファンクもヒップホップもダンス・ロックも交差している感じがあって。特段お2人が聴くものが変わったわけではない?

KUREI:それでいうと全然変わってないんじゃないですか? むしろメジャー・デビューする前にやってたバンドも、「LIFE」(2008年リリースのシングル表題曲)のもともとのアレンジも、ロックだったのをプロデューサーがオーガニックに持ってったんで。

ISEKI:今は純粋に2人だけでまず考えるっていうのが基本にあるので。前はプロデューサーやレコード会社の人がいて、全体でイメージを固めていくことはありましたけど、今は2人だけなので、今まで2人が培ってきたものはなんだろうかってことの答えというか。もちろん今までキマグレンを好きだったファンの方々からは賛否両論ありますけど。

KUREI:ははは!

ISEKI:そこはもう否めないというか。今後いろんなものを作っていく上で気に入ったものもあれば、気に入らないものもあるのは芸術の世界で当たり前の話なんで、どちらかと言えばそれを作り続けられる環境を、俺等がどう作っていくかのほうが重要かなとは思ってます。

-今お2人が好きなものはなんなのか単純に音楽好きとしての興味が湧きましたけど。

KUREI:聴いてる音楽とか好きなジャンルに関しては全く変わってないんじゃないですか? もともとGREEN DAYが好きだしRED HOT CHILI PEPPERSが好きだし、この間、ISEKIに"FUN.ってバンド知ってる? こういう音楽があるんだよ"みたいな話をしてて。"これ知ってる? 聴いたことある?"という話は今も変わらずしてますね。

ISEKI:KUREIのほうが洋楽は詳しいですよ。僕はどちらかといえば歌謡が好きで、CHAGE and ASKAとか玉置浩二さんとかがめっちゃ好きなんで、そこのドッキングって感じなんですよね。どこかで昭和感もメロディの中に入ってるし、でも洋楽っぽさもある。