Japanese
いきものがかり
2023年12月号掲載
Member:吉岡 聖恵(Vo) 水野 良樹(Gt/Pf)
Interviewer:藤坂 綾 Photographer:Kanda Yukiya
-信じて歌えるって、素敵ですね。水野さんは"こういう想いを曲にしたんだよ"っていうことは吉岡さんにお伝えするんですか?
水野:あんましないね。
吉岡:しないね。
水野:お互いそうだと思うんですけど、お互いの持ち場に対するリスペクトみたいなものがあって、そこは聖恵の解釈で歌ってほしいし、聖恵もあえて聞いてこないというか、聞きたいところももちろんたくさんあると思うんですけどね。嬉しいのは、歌入れが終わってから感想戦みたいなのがあるんですよ。感想戦ってわかる?
吉岡:わかんない。
水野:将棋とかやったあとに、勝った人と負けた人がどんな試合だったかを話し合うことを感想戦って言うんだけど。
吉岡:へー。
水野:僕らは歌い終わったあとに、これってこういう曲だねみたいな、例えば柔らかい曲かと思ったら意外とエモい部分もあるねとか、ここで私ちょっとホロっときちゃったとかってことを言うんですよ。言うよね。
吉岡:たしかに言うかも。
水野:ほんと雑談レベルなんですけど、それが自分の熱量と同じだとすごく嬉しいというか、"あー、汲み取ってくれたんだな"って。
吉岡:今回で言うと「○」とか。
水野:そうそうそう。
吉岡:Bメロとかね。
水野:いつも結構アバウトな感じだから、実際にはよくわかんないんだけど(笑)。
吉岡:こんなに重要なメッセージが入ってそうな曲なのにね。
-「○」は歌詞が抽象的で、でも私はなんとなく、遠くに行ってしまった大切な人たちのことを思い出してしまいました。
吉岡:私も結構抽象的に捉えてるんですけど。
水野:そんな感じですよ。そんな感じでいいんじゃないですか。
吉岡:"そんな感じ"じゃなくてちゃんと言って。教えて。
水野:冒頭の「誰か」も、この「○」も、結局極限まで行っちゃった人をどう肯定するかみたいなことを考えてたんですよ。この3年間特にそういう悲しい出来事が多くて、自身で悲しい決断をされていく人が多かったじゃないですか。それがいくつか重なったとき、中途半端な肯定とか、こっちが良く思われたいからの肯定は逆に相手を追い込むんで、それをどうにか優しく書けないだろうかと思って、「○」を書いたっていうのもあるかもしれないです。ストレートに言うと、死さえも肯定するっていう、いったんそこまでいかないとっていうことを考えて書いてました。""しるし"は消えない/"ぼく"が消えても"っていうのも、"死んでも残るから大丈夫だよ"って言ってあげてるというか。だけど孤独も、ひとりでいるっていうこともちゃんと肯定したいから、"一緒にいるよ"みたいなことはあまり言わないというかね。結局ひとりで生きないといけないんだよって、だから手を離しちゃったり、そういうイメージを形にしていった感じです。
吉岡:うん、なるほどね。
水野:僕がこうやって喋ると堅苦しいんですけど、これを吉岡の声で歌うと、不思議と広くなっていくんですよね。やっぱり彼女の声の力というのが、歌詞に抽象性を持たせてくれるというか。
-たしかに、一気に軽くなるというか、変にしんみりするだけの曲ではなくなります。
吉岡:この曲を貰ったとき、ずっしり重さがあるなって思ったんですけど、メロディに乗せて歌うと軽やかに響いてくれるので、結果良かったかなと。めちゃくちゃ重い曲ですよって感じで歌いたくもないし、とは言っても気になる部分もいっぱいあるじゃないですか、それこそ芯があるというか。その重みがすごく重要な曲ではあるけど、コーラスの厚さとか、アレンジの温度感でどこか爽やかに聴こえたり、明るくキラッと聴こえたり、いろんな見方ができる曲で、重いだけじゃないし、楽しいだけじゃないし、その複雑さがいい曲だし、ちゃんと救いがあるんですよ。この曲もそうだけど、寂しさややるせなさもそのまま放置されるんじゃなくて、全曲ちゃんと救いがあるんですよね。だからそういうところまで伝わればいいなと。
-すべてを肯定する、すべてに"〇"をつけるということは難しいことでもあるけど、それだけで心の底から救われますもんね。
吉岡:このアルバム、実は11曲で終わるかっていう話もあったんです。スケジュール的なところもあって。でもどうしても12曲目を入れたくて、最初"○"ってタイトルは決めないで作っていったんだよね。
水野:最初は"きっとそれでいい"っていうタイトルにしようかと思って。でもできあがっていくうちに、これはもしかしたらアルバムの最後に持っていって、"○"っていうタイトルにしたらいいかもしれないねって、現場でみんなで話し合って。曲順も現場で相談し合うんで、その相談も経たうえでやっぱこれは"○"ですかねって。でもそこで軸が1本通ったかなって、そんな気はしてます。
-じゃあこの曲ができてアルバム・タイトルになったんですか。
水野:これはね、アルバム・タイトルが先だったんですよ。ある程度曲が揃ったときにアルバム・タイトル会議をやって、やっぱり"肯定"がイメージなんで、それをどう柔らかく言おうかって。それでみんなで案を出し合ってたら、スタッフのひとりが"サークル"っていう案を出してくれたんですよ。寛容な感じがするじゃないですか、"サークル"って。だからそういうイメージですよねって"〇"をイメージしたら、"あれ、これは「〇」じゃねぇか?"って(笑)。そこでホワイトボードに"〇"を書いてね。
吉岡:そう。ホワイトボードに"〇"を書き始めて。
水野:"〇"を指して"これでどうですか?"ってスティーブ・ジョブズみたいに言って(笑)、みんな"あー!"みたいな感じでね。より抽象性も高まるし、いろんなイメージができるよねって。
吉岡:それこそジャケットに"〇"入れたくない? って話をしてね。きれいな"〇"じゃなくてもいいし、歪んでても、潰れてても、ごつごつしててもいい。そういう自分や周りを肯定できるのが"〇"だよなって。受け止めてくれるし、受け入れてあげられるし、自分のことも肯定できるし、人のことも肯定できるし、二重丸じゃないし、そうじゃなくていいし、でもバツじゃないし、今に"〇"をするっていうイメージがしっくりきて、"〇"になりました。
-全部に"〇"、素敵なタイトルです。今回のアルバムもそうですが、25年経ってもいきものがかりの音楽って常に瑞々しいなと思うんです。それは曲の力や吉岡さんの歌の力ももちろんあるんでしょうが、やっぱりご本人たちの本質がそうじゃないと、瑞々しさとか感じられないと思うのですが。
水野:いやー、瑞々しさ、ないですよ。乾燥しまくりで(笑)。でも、これは答えになるかわからないですけど、やっぱり楽しんでやってますね。もちろん大変なんですよ。歌だって大変だし、曲作るのも大変だけど、今回のアルバムもわくわくする瞬間はやっぱり何度もあったよね。
吉岡:あったね。
水野:来年結成25年で、デビュー18年なんですけど、まだまだ知らないこともたくさんあるし、経験してないこともたくさんあるから、まだまだ見つけていけるものがあるというのは幸せなことだと思います。
吉岡:まさにこのアルバムのことですけど、新しいアレンジャーの方たちとやったり、リーダーが録ってくれたり、そういった刺激がちゃんと入ってるので、そこに向かってるときに今までのようにはやっぱりできないし、どっしり構えるわけにもいかないから、わたわたしながらなところもあるんですけど、それが新鮮だし、それをやることでまた次にいけるし、成長になると思うので、むしろわたわたすることも楽しいのかなって。そうやってできあがった曲を新鮮に受け止めてもらえれば、私たちはまたそれを繰り返していける気がしてて、楽しさを感じながら常にやれているので、そこはすごくありがたいことだし、これからもきっとそういう感じでやっていくんじゃないかと思います。
水野:生きてるとやっぱり何かしらあるじゃないですか。そういうこともあるし、年齢や経験も重ねて、小手先で何かをやれるフェーズではなくなっちゃったんですよね。そういうところのネタ出しはもう終わっちゃったんで、本質という部分にせざるを得ないというか。そういう意味で今回のアルバムに関して言えば、わりと芯のところで作らざるを得ないというか、そういうところもあったのかと思います。
-なるほど。来年は12年ぶりのホール・ツアー"いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2024 ~あなたと!わたしと!みんなで!歌いまSHOW!!~"も開催されます。
吉岡:コロナ禍に、27本のツアー("Yakult ミルミル Presents
いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2020 ~結成20周年だよ!! WE DO!!!~")がなくなっちゃったんですよ。
水野:ゲネプロ前日に緊急事態宣言でね。
吉岡:そう。それもホール・ツアーだったから、今になってしまったんですけど、そのときに行きたかった土地もあるし、楽しみだね。
水野:来てほしい以外の言葉が見つからないです。
吉岡:ホールは距離感も近いので、アリーナでもない、ライヴハウスでもないホールならではの温かい空間にしたいです。自分たちも久しぶりだからどうなるんだろう、どうだったっけ? っていうのもあるけど、絶対みんなの顔は見えると思うので、アットホームな感じにしたいなって。なので、楽しみにしててください。
水野:ふたり体制で初めてのツアーで、きっとまた新しい感覚を得たりするので、その新鮮な感覚でまた観ていただきたいですね。今までの曲も新しい曲も、今までのいきものがかりも新しいいきものがかりもどっちも感じてもらえるライヴになると思うんで、このタイミングでいきものがかり観ておいたほうがいいですよって、これから売り出すみたいな感じですけど(笑)、観ておいたほうがいいです。
吉岡:久しぶりにお会いしましょうね! 待ってまーす!
LIVE INFO
- 2025.11.27
-
打首獄門同好会
MONOEYES
Cody・Lee(李)
moon drop
桃色ドロシー
オレンジスパイニクラブ
OKAMOTO'S
ザ・クロマニヨンズ
TENDRE
Another Diary
cakebox(シノダ/ヒトリエ)
PEDRO
Tempalay
あたらよ
- 2025.11.28
-
Galileo Galilei
優里
BLUE ENCOUNT
go!go!vanillas
怒髪天
DJ後藤まりこ × クリトリック・リス
VII DAYS REASON
Dios
崎山蒼志
凛として時雨
ズーカラデル
コレサワ
SHERBETS
Another Diary
cakebox(シノダ/ヒトリエ)
ポルカドットスティングレイ
おいしくるメロンパン
sajou no hana
NEK!
CENT
OKAMOTO'S
meiyo
RAY
reGretGirl
- 2025.11.29
-
ビレッジマンズストア
Appare!
YOASOBI
NEE
暴動クラブ
brainchild's
Cody・Lee(李)
キタニタツヤ
優里
くるり
TOKYOてふてふ
MONOEYES
キュウソネコカミ
moon drop
THE BACK HORN
androp
The Biscats
フレデリック
チリヌルヲワカ
怒髪天
eill
LOCAL CONNECT
wacci
LACCO TOWER
大橋ちっぽけ
BLUE ENCOUNT
ドラマチックアラスカ
アーバンギャルド
ねぐせ。
ExWHYZ
UVERworld
フラワーカンパニーズ
愛美
浪漫革命
東京スカパラダイスオーケストラ
BACK LIFT / 魔法少女になり隊 / LEEVELLES / パピプペポは難しい ほか
Bentham
MONO NO AWARE
NANIMONO
カミナリグモ
9mm Parabellum Bullet
PIGGS
- 2025.11.30
-
ビレッジマンズストア
YOASOBI
NEE
TOKYOてふてふ
凛として時雨
キタニタツヤ
崎山蒼志
くるり
キュウソネコカミ
moon drop
SHERBETS
THE BACK HORN
TENDRE
アーバンギャルド
the paddles
秋山黄色
TOMOO
LACCO TOWER
ドラマチックアラスカ
LUCY
ExWHYZ
Maki / SIX LOUNGE / w.o.d. / KUZIRA / TETORA
UVERworld
フラワーカンパニーズ
ポルカドットスティングレイ
NANIMONO
ズーカラデル
ぼっちぼろまる×ポップしなないで×ぜったくん
コレサワ / ヒグチアイ / のん / ひぐちけい
miwa
MONO NO AWARE
Conton Candy
JYOCHO
離婚伝説
- 2025.12.02
-
RADWIMPS
LONGMAN
Dios
RAY
マカロニえんぴつ × DISH//
私立恵比寿中学
GLIM SPANKY
SUPER BEAVER
IneedS
- 2025.12.04
-
TENDRE
LEGO BIG MORL
私立恵比寿中学
SHERBETS
Homecomings
アーバンギャルド
キュウソネコカミ
吉井和哉
Hakubi
- 2025.12.05
-
桃色ドロシー
私立恵比寿中学
moon drop
ポルカドットスティングレイ
ザ・クロマニヨンズ
NANIMONO
eill
Laughing Hick
崎山蒼志
さかいゆう / 望月敬史 / L'OSMOSE(O.A.)
flumpool
とまとくらぶ
Another Diary
岡崎体育
Rei
ズーカラデル
打首獄門同好会
- 2025.12.06
-
キュウソネコカミ
AIRFLIP
ザ・クロマニヨンズ
凛として時雨
OKAMOTO'S
BLUE ENCOUNT
indigo la End / a flood of circle / Galileo Galilei / go!go!vanillas ほか
Cody・Lee(李)
brainchild's
LEGO BIG MORL
NANIMONO
怒髪天
ねぐせ。
CVLTE
UVERworld
eastern youth
キタニタツヤ
優里
Kroi / Jeremy Quartus(Nulbarich) / BREIMEN / luv
flumpool
チリヌルヲワカ
Aooo
Mirror,Mirror
心愛 -KOKONA-
THEラブ人間 / ビレッジマンズストア / 忘れらんねえよ / KALMA ほか
フラワーカンパニーズ
Ryu Matsuyama
MyGO!!!!!
- 2025.12.07
-
ぜんぶ君のせいだ。
崎山蒼志
キュウソネコカミ
MOSHIMO
moon drop
ポルカドットスティングレイ
凛として時雨
BLUE ENCOUNT
AIRFLIP
OKAMOTO'S
sumika / マカロニえんぴつ / Kroi / ズーカラデル ほか
NANIMONO
怒髪天
Devil ANTHEM.
ACIDMAN
eastern youth
小林私
UVERworld
優里
秋野 温(鶴)
LACCO TOWER
OAU
the telephones
BIGMAMA
フラワーカンパニーズ
9mm Parabellum Bullet
PENGUIN RESEARCH
トゲナシトゲアリ × RAISE A SUILEN
- 2025.12.08
-
ザ・クロマニヨンズ
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
RAY × きのホ。
ドラマチックアラスカ
PACIFICA
シベリアンハスキー
雨のパレード
never young beach
- 2025.12.09
-
キュウソネコカミ
天女神樂
ザ・クロマニヨンズ
FRANZ FERDINAND
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
ドラマチックアラスカ
TENDRE
PACIFICA
Galileo Galilei
Dios
ザ・シスターズハイ
ストレイテナー
PEDRO
モーモールルギャバン
- 2025.12.10
-
PACIFICA
Galileo Galilei
山本彩
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
くるり
森 翼
Wez Atlas
すなお
ストレイテナー
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
RELEASE INFO
- 2025.11.27
- 2025.11.28
- 2025.11.29
- 2025.12.01
- 2025.12.03
- 2025.12.05
- 2025.12.06
- 2025.12.09
- 2025.12.10
- 2025.12.12
- 2025.12.17
- 2025.12.19
- 2025.12.20
- 2025.12.21
- 2025.12.24
- 2026.01.01
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
ザ・クロマニヨンズ
Skream! 2025年11月号









