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INTERVIEW

Japanese

TOKYOてふてふ

2023年05月号掲載

TOKYOてふてふ

Member:楪おうひ 十叶のんの めありらすと ちむら詩文 神狩こはく世會

Interviewer:吉羽 さおり

昨年3月に現5人体制となって、対バン・ツアー([TOKYOてふてふ 17都市19公演対バン全国ツアー "act 5 tour 2022"])を行いながらグループとしての一体感を増してきたTOKYOてふてふが、4作目となるニュー・シングル『LYCORisALIVE』をリリースする。日々の狭間で儚く瞬く繊細さや、小さき声を歌で、ダンスという身体表現で提示してきたTOKYOてふてふだが、今回は共にリアルな現実を生き抜いていこうと手を差し伸べて、引っ張り上げていくような力強さや覚悟を、歌に封じ込めている。ライヴを重ねながら力をつけてきた、今のTOKYOてふてふが歌えるアンセム。そんな5人の気概を感じる1曲だ。4月に約1年ぶりのワンマン・ライヴ("TOKYOてふてふ ONEMAN LIVE~シンメトリンク~")を経て、全国ワンマン・ツアー("TOKYOてふてふ IN&OUTSTORE&ONEMAN TOUR「GOLDADCT TOUR」")を控える(※取材は4月中旬)5人に、新曲について、今のモードについて話を訊いた。

-4月8日に恵比寿LIQUIDROOMでワンマン・ライヴ"ONEMAN LIVE~シンメトリンク~"を開催しましたが、ワンマンは久しぶりでしたよね。手応えはどうでしたか。

楪おうひ:対バン・ツアーをやらせていただいくことが中心で、封印してきたので、ワンマン・ライヴ自体が1年ぶりだったんです。バンド・セットでのライヴも久しぶりで、5人共めっちゃ楽しい! みたいな感じでした。

ちむら詩文:めっちゃ楽しかったね。あの規模のハコでライヴをやるのは、1年前のLIQUIDROOM("TOKYOてふてふ ONEMAN LIVE~insane soar~")以来だったから、壮大というか(笑)。リハも入念にやって、お客さんも以前よりもたくさん入ってくれて、満を持してという感じがあったと思います。

-お客さんをより入れられるようになったり、声出しが解禁になったりと、1年前とはライヴの状況も変わってきました。コロナ禍で活動をスタートしたTOKYOてふてふとしては歓声が上がるような、声出しがOKのライヴというのをあまり経験してない感じでもありますよね。

神狩こはく世會:昨年の全国対バン・ツアー中から徐々にいろんなことが解禁されていって、ワンマンで一気にたくさんの人からの"ワー"っていう声を聞いた感じだったので、感動しました。

ちむら詩文:ステージから、みんなが盛り上がってぴょんぴょん跳んでいる姿が見えたり、"ウォー"っていう叫びとか、"らすと(めありらすと)ー!"とか"のんの(十叶のんの)ー!"って呼ぶ声がすごく聞こえたりして。ライヴはこうでなくちゃねって思いました。

楪おうひ:昨年はまだフロアも立ち位置指定で動けなかったんですけど、今年は結構動けるスペースがあって、そこで遊んでる方たちがいたり、昨年とは見える景色が違うなって思いました。

神狩こはく世會:ちょうどデビューした時期がコロナ禍真っ只中だったから、お客さんとの間にもパーテーションがあったり──

ちむら詩文:閉じ込められてるみたいな感じでね(笑)。

神狩こはく世會:なので、徐々にいろんなことが解禁されているのに合わせて、ライヴの仕方も、お客さんが"観る"ことが中心だったところから、一緒に楽しむものに変えていって。

ちむら詩文:巻き込むステージにどんどん変わっていったなって。

神狩こはく世會:この2年間試行錯誤してきた集大成を、4月のLIQUIDROOMでは見せられたかなって思います。

-ツアーやワンマンを通して、この曲って意外とライヴで映えるなと改めて感じた曲や、ライヴで育ったなっていう曲はありましたか。

ちむら詩文:いっぱいあるんです。

神狩こはく世會:2ndアルバム『Hyperphantasia』(2022年10月リリース)が出たことで、昨年はなかった曲も増えたので。

楪おうひ:昨年のLIQUIDROOM公演の最後、ダブル・アンコールで、この5人体制での最初のステージということでリリース前の「ash.」(2022年4月リリースのシングル表題曲)を初披露したんです。そのときはお客さんも初めて聴く曲だし、まだ声が出せる状況じゃなかったんですけど、今回ワンマンの1曲目に「ash.」をやったときには、みんなが拳や声を上げてくれて、すごく感動しました。

-4月のワンマンは「ash.」をあえて1曲目に持ってきたんですか?

ちむら詩文:そうです。昨年のLIQUIDROOMの最後がこの5人での「ash.」だったので、そこから繋がるストーリーという感じで。でも昨年と違って確実に進化してる感じを、1年前のことも思い出しながら楽しんでいただけたんじゃないかなって思います。

-改めてなんですが、ワンマン・ライヴをあえてしてこなかった理由というのはあるんですか。

楪おうひ:このTOKYOてふてふがスタートしたのがコロナ禍だったこともあって、なかなかたくさんの人に観てもらう環境が少なかったので、外に発信していく意味でも、自分たちの成長のためにも、もっといろんなものを見なきゃいけないなって思っていたんです。それで社長やスタッフさんに自分たちから、"外を見たいです。対バンでいろんなことを吸収したいです"ってお願いをしました。

神狩こはく世會:(対バン・ライヴを)やるなら、ワンマンを封印しようっていう。

ちむら詩文:これまで、事務所以外の方と対バンをしたことがなかったので。いろんなアーティストさんのステージを観て、上手にお客さんを巻き込んでいくアーティストさんや、逆についてこいよっていう感じで、お客さんを引き込んでいくアーティストさんもたくさんいて。すごいなって思うのと同時に、絶対負けたくない! って思ったし、いっぱい吸収ができたなと。

めありらすと:すごく勉強になりました。

十叶のんの:私は振付担当なので、対バンでいろんなアーティストのステージを観て、なるほどっていうことがたくさんありました。そこから、てふてふ(TOKYOてふてふ)の未来に繋がるようにたくさん吸収をしていって、振付を変えていくとか、試行錯誤ができた期間だったんです。それが4月のワンマンにすごく繋がったなって思います。

-振付こそ、まだ声が出せない時期に一番お客さんと一緒にできる、一体になれる部分でもありますよね。

十叶のんの:そうですね。真似して踊ってくれるのがいいなっていうか、一体感が生まれることもそのツアーをやっているなかで気づいたんです。より簡単なというか、みんながやりやすい、覚えやすい振りを心掛けるようになりました。

めありらすと:振付がない場所を増やしたりもしてね。

十叶のんの:フリーでできる場所を増やしました。振りが決まっていることで、お客さんと目を合わせられない部分もあったんですけど、ファンの人と、今絶対目が合ったよねみたいな瞬間を増やしたかったんです。これまではずっと振付を作り込んで"魅せたい派"だったんですけど、そこが変わりました。

神狩こはく世會:時代に合わせてね(笑)。

ちむら詩文:そこに「daybreak」(2021年リリースのシングル表題曲)とかバキバキに踊る曲がワンポイント入ることで、逆に目を惹きつけられるようになったというか。今まではTOKYOてふてふだから踊って当たり前っていう印象だったのが、よりいっそうダンスに、のんのが作ってくれた振付に引き込まれる構成にできたんじゃないかな。

十叶のんの:嬉しー(笑)。

-いいツアー、いい時間を過ごしましたね。その体感がニュー・シングル『LYCORisALIVE』に落とし込まれたんだなと、話を聞いていて思いました。観客、リスナーとしっかりと向き合って、さらに一緒に行くよって自分たちが引っ張っていく曲になっていますね。

神狩こはく世會:そうですね。これまでのTOKYOてふてふの曲は、聴く人によっていろんな解釈や思いがある感じだったと思うんですけど、この曲はTOKYOてふてふから蜃気楼(※TOKYOてふてふファン)に向けてのメッセージだなって感じます。

ちむら詩文:走馬灯を感じるっていうか──

一同:走馬灯って(笑)。

ちむら詩文:歌っていると、この2年とちょっとの思い出を全部思い出せるっていうのかな。いろんなことがあったけど、さぁ手を取って! っていう。のんののポエトリー・パートもすごく心に響くし。

めありらすと:めっちゃいいよね。グッとくる。

楪おうひ:レコーディングのとき、"もうちょっと抑えて歌って"とか言われたよね。

十叶のんの:感情が入りすぎちゃって。レコーディングしてくれたsyvaさんに、"もうちょっと抑えめで"って言われて(笑)。なのでこれは抑えた方なんですよ。

神狩こはく世會:でもめっちゃいいよね。

十叶のんの:気持ちが爆発しちゃいますよね。

ちむら詩文:あの声の震えというか、あれほど感情を爆発させているのんのの声を初めて聴いて、は~ってなっちゃった。

十叶のんの:これまでレコーディング中に泣きそうになったことなんてないんですけど、これは、ちょっと泣きました。

-先ほどの走馬灯じゃないですけど(笑)、いろんな思いが巡ったんですね。

十叶のんの:そういうことですね。まさに思い出が蘇る感じで。

楪おうひ:でも本当に手を引っ張っていくような曲だなって思う。蜃気楼のみんなを、行くよって引っ張っていける曲になって良かったなと。

ちむら詩文:歌詞に、"代わりはいない"ってあるんですけど、これまでGESSHI類さんが書いた歌詞でここまで言い切る表現はなかったらしいんです。でもこの歌詞を貰って、ちゃんとこんな人になろうって決意、ケジメを感じたというか。

神狩こはく世會:「ash.」もそうだったんですけど、神狩(神狩こはく世會)はこれを"言質取られる"と呼んでいるんです(笑)。

ちむら詩文:まさにそういう感じです(笑)。

神狩こはく世會:自分たちが、この歌詞に追いつける人にならなきゃいけないなって。こう歌ったからには、時間をかけてでも証明しなきゃなって思います。