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INTERVIEW

Japanese

B.R.T(Blue Rock Thrush)

 

B.R.T(Blue Rock Thrush)

Member:G1(Vo) GON(Gt) 8K(Ba) SAY(Dr) IKU(Key)

Interviewer:山口 哲生

韓国発、日本在住のロック・バンド、B.R.T(Blue Rock Thrush)が3rdシングル『花粉症』をリリースする。タイトルを見ただけでは、いったいどんな雰囲気の楽曲なのか、なかなかイメージが湧きにくい人も多いだろう。本曲は、日本の国民病とも言われている花粉症になぞらえて、失恋の喪失感や苦しさを描いたミディアム・ナンバー。ミュージカル俳優出身であるヴォーカル、G1の美麗且つ切なげな歌声と、エモーショナルなバンド・サウンドが胸に迫るラヴ・バラードに仕上がっている。曲が生まれた経緯はもちろん、様々なエピソードについて幅広く5人に話を訊いた。


このタイトルにしたとき、みんな笑ってました。薬局のCMみたいだから


-この前、渋谷のスクランブル交差点の街頭ヴィジョンで、前シングルの「Forever」(2022年6月リリース)が流れているところを観たんですよ。みなさんはご覧になりました?

G1:はい! 流れてるところを写真に撮ってきました(笑)。

8K:あと、知り合いとか仲のいいバンドが動画を撮ってくれたりして。

-嬉しいですね。

8K:本当に光栄でした。渋谷のスクランブル交差点は韓国でもすごく有名な観光地だから、あそこで僕らの曲と顔が出ることはめちゃくちゃ嬉しかったです。

-映像が流れているときに周りを見渡したら、結構いろんな人がヴィジョンを見上げていたんですよ。パっと曲が流れてきたときに、G1さんの声って耳に入ってくるんだなと思いました。

G1:逆に、歩いているときに見つけてくれてありがとうございます。"おぉ! BRT!"ってなったっていうことですよね?

-そうですね(笑)。でも、それぐらい印象に残る声と曲だったんだと思います。

一同:ありがとうございます!

-その「Forever」から3ヶ月で早くも新曲「花粉症」をリリースされます。最初にタイトルを聞いたときに、どんな曲なのかまったく想像できなかったんですが、すごくセンチメンタルでエモーショナルな曲になっていて。前回のインタビューで、G1さんはメンバーのみなさんが持っていない感覚から曲を作ってくるというお話をされていましたけど、まさにその感じだなと思いました。この曲はどういうところから作り出したんですか?

G1:YouTubeで配信をしていたときに、観ている方から"曲はどうやって作っているんですか?"という質問が来たんです。それで、どうやって曲を作っていくのか一緒にやってみようと思ったんですけど、そのときにちょうど僕の花粉症が始まったので、花粉症をテーマにして曲を作ろうと思ったんです。でも、たしかに"花粉症"をタイトルにしたときに、みんな笑ってました。薬局のCMみたいだから。

一同:はははははは(笑)。

8K:CMのお話、いつでも待ってます!

G1:(笑)花粉症って韓国にはないんです。だから、初めて花粉症になったときは、とにかく本当につらかったんですけど、それは新しい経験じゃないですか。なので、その経験から曲を作ろうと思ったんですけど、花粉症っていつから始まるかわからないですよね。僕は日本に来て2年で花粉症になったんですけど、周りの日本人じゃない人を見ると、10年経ってから始まったり、7年ぐらいで始まったり、いろんな人がいて。それに朝からずっとつらいし、薬を飲めば大丈夫だけど薬を飲むと眠くなるし(笑)、いいところと悪いところがいろいろあるんです。

-そうですね。新しい経験ができることはいいことだけど、ずっと鼻が詰まったり、しかもそれが突然始まったり、悪いことも多くて。

G1:そういうことをいろいろ考えていたんですけど、なんか花粉症って、恋愛の悲しいところとちょっと似ているのかもなと思って。例えば、恋人と別れたあとに、まだ付き合っていたころに一緒に行ったお店の前を通ったとき、"あ、つらいな"って突然思う気持ちと同じなのかもなと。そういうところから作り始めました。

-その着眼点が面白いですね。そのテーマをもとに、まずはG1さんがメロディと歌詞を考えたと。

G1:はい。メロディと歌詞を作って、編曲はGONちゃんに任せました。コードも自由に変えていいからとお願いして、そこからまたみんなで一緒に編曲しながら完成しましたね。

-GONさんは、G1さんが「花粉症」という曲を持ってきたときにどういう印象を持ちましたか?

GON:最初にタイトルを聞いたときはあまりイメージが湧かなかったんですが、歌詞を見ながら説明を聞いていたら、こうやって感じられるものなんだと思って。僕は花粉症にかかったことがなかったので、恋愛のほうをイメージしながらアレンジしていったんですけど、何パターンか土台を作って、いろいろ話をして、最終形態の土台になったのが4番目のアレンジでした。

-いろいろ考えたんですね。

GON:半年かかりましたね。少しずつみんなで作り上げていった感じでした。

-他にどんなパターンがあったんですか?

GON:普通のロックのパターンと、弾き語りでアコギをメインにしたパターンと、めちゃくちゃストリングスを入れているパターンがあって。最終的に、その全部を混ぜ合せた形にしました。

-いいとこ取りをしたと。イントロのギターもきれいですね。

GON:アレンジを始めたときに、アンビエントにハマっていて。それを少し導入したら、清涼感のある曲になるんじゃないかなと思って入れてみました。ギターに関してはとにかく重ねていくのを繰り返していた感じでしたね。あと、みんなで一緒に歌えるところがあったらいいなというのと、フックが欲しかったので合唱みたいなものを入れたんですけど、それの評判も良かったです。

-まだなかなかコロナの問題が尾を引いていますけど、早くお客さんとライヴで歌えるようになったらいいですね。

G1:そうですね。ライヴ・ホールだけじゃなくても、家では声を出して歌えるし、ライヴのときも"心で歌ってください"といつも言っていて。心の中でも一緒に歌えたら、それはエネルギーになると思うんですよ。それだけでも少し嬉しくなるはずなので。

-たしかに。G1さんはこれまでの曲とはまた少し違う歌い方をされてますよね。切な苦しい感じというか。

G1:この曲だけ特別な発声をしているわけではないんですけど、1番は普通の生活というか、朝起きて仕事をして帰るという感じなのであまり強く歌っていないんですけど、なんていうか、つらいことが長く続くと、ちょっとムカついてくるじゃないですか。

-あぁ(笑)。イライラしてきますよね。

G1:そうです。1日、2日ぐらいだったらいいけど、ずっと続いていると"もう嫌だ!"って。それで、2番の歌詞は雨が降っていて、雨が降ったら花粉症(の症状)は出てこないけど、それなのに相手のことを忘れられずに考えてしまっている自分に腹が立っている。そこで発声を変えて、ちょっと強めに歌っていたりしますね。

-感情の起伏をしっかりと表そうと。あと、女性ヴォーカルの方を招かれていますが、そういうアイディアやイメージもすぐに浮かんだんですか?

G1:女性に歌ってもらっているブリッジのところも、最初は僕が全部歌おうと思っていたんですけど、サビとくっついているからどうしようと思って。それなら、例えば別れた女の子の本当の気持ちが風に乗って運ばれてくるような感じにしたら、もっとつらくなるんじゃないかなと。花粉症もだんだん(症状が)弱くなってくるときがあるじゃないですか。ちょっとラクになってきて、もう薬がなくても大丈夫なんじゃないかなって思っているようなところに、女の子の声が聞こえてきて恋しくなるというか。