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INTERVIEW

Japanese

B.R.T(Blue Rock Thrush)

 

B.R.T(Blue Rock Thrush)

Member:G1(Vo) GON(Gt) 8K(Ba) SAY(Dr) IKU(Key)

Interviewer:山口 哲生

韓国の音楽と言えばK-POPであり、ボーイズ/ガールズ・グループを自然と思い浮かべることが多いと思うが、もちろん、韓国でも多くのバンドが活動をしている。しかもその中に、本国ではなく、日本で暮らしながら活動しているバンドがいるのをご存知だろうか。それが、B.R.T(Blue Rock Thrush)だ。韓国でミュージカル俳優として10年以上のキャリアを持つメンバーを擁したこのバンドは、2019年に来日し、2021年4月から本格的に活動をスタート。先日、2ndシングルとしてバラード・ナンバー「Forever」をリリースしている。今回の取材では、最新曲はもちろん、バンド結成の経緯やメンバーのフェイヴァリットについて訊いた。なお、取材時には通訳を介さず、メンバー5人がすべて日本語で丁寧に答えてくれている。故郷を離れ、日本で奮闘する5人の初インタビュー。

-B.R.Tはいつ結成されたんですか?

G1:2018年の10月です。最初は僕と8KとSAYの3人で、みんなミュージカル俳優をやっていたんですけど、日本に行ってバンドをやろうということになって。そこから1年ぐらい練習して、2019年の6月に日本に来ました。IKUとGONには日本に来てから会いました。ふたりは日本の音楽の専門学校で勉強しているんですけど、そのコメントはふたりがします(笑)。

-ありがとうございます(笑)。結成するときにどういうバンドになりたいと考えていましたか?

8K:最初はONE OK ROCKを目指して練習していたんですよね。

SAY:来る前に、今の日本はパンク・ロックが流行っていると聞いて、速い曲を作ったりしていたんですけど、日本に来て、新宿に大きな(街頭)ヴィジョンがあるじゃないですか。あのランキングの1位がヒゲダン(Official髭男dism)の「Pretender」で。

G1:そのときは(米津玄師の)「Lemon」もありました。

SAY:それを見て"あれ?"と思って。それからは自分たちにとって似合う色を見つけるように頑張っています。

IKU:最初のときと今の曲の構成とかスタイルは全然違いますね。今はミュージカル俳優だったメンバーがいることを生かして、ストーリーがある曲をメインでやっています。

G1:例えば、韓国の曲はサビが全部同じなんです。でも、日本の曲は全部ではないんですけど、サビのところが違うじゃないですか。それを聴いていたら、日本の曲はストーリーを繋げていくところがあるんだと思って。僕はミュージカル俳優をやっていたので、演技とか感情を繋げていくことを音楽に入れたらいいんじゃないかと考えたんです。そうすると韓国人でもJ-POPの雰囲気が出るんじゃないかなと思っています。

-ミュージカル俳優としてのキャリアがしっかりあるなかで、それでもバンドをやってみようと思ったのはなぜだったんですか?

G1:僕は子供の頃からJ-POPを聴いて育っていて、バンドをやるのが子供の頃からの夢でした。ミュージカル俳優になる前に、弘大(ホンデ)という韓国でバンドが多くて有名なところがあって、そこで少しだけやっていた経験もあったんですけど、韓国ではバンドでご飯を食べることが難しくて。僕は長男でもあるので、家族のためにもミュージカル俳優をやるのがいいんじゃないかと思ったんです。でも、自分の人生、死ぬ前に"1回でもやってみたらよかった"と思ったら失敗じゃないですか。だからやってみようと思ったんですけど、せっかくやるのであれば、日本でやってみたかったんです。日本の文化も好きなところが多かったので、日本語を勉強しながら、ここでやってみたいと思って。

-なるほど。

G1:でも、最初は1年の予定だったんです。自分の仕事も韓国であるので、留学生として1年頑張ってみようというプランだったんですけど、来てみたら、これは1年でできることじゃないと思って。半年ぐらい経ったときに、もっと長くやってみたいという話をしたら、メンバーが全部OKしてくれて、もう3年になりました。

-まだ何もできていないと思って、もっと続けようと。

G1:はい。行きたいところまで絶対に1年では行けないと思って。軽く経験しただけで帰るというのはしたくないと。

-8Kさんもバンドをやってみたい気持ちがあったんですか?

8K:僕はもともとダンサーをしていて、音楽を身体で表現することがとても好きでした。ダンサーをしていたときに、もっと感動を伝えたい気持ちが出てきて、演技を習うようになって、そこからドラマに出たりして、ミュージカル俳優になりました。ミュージカルは8年ぐらいやっていたんですけど、G1が"バンドどう?"って誘ってくれたときに、新しい経験ができるし、音楽を表現するのも好きだし、海外で生活することも楽しそうだなと思って。それで日本に来たんですけど、自分らしい音楽、自分が心を込めた音楽をやるようになって、もっと音楽が好きになりました。ミュージカルも音楽はありますけど、監督さんも音楽監督さんもいるから、そのなかで自分の気持ちを込めてやることはできても、アレンジとかはできないんですよね。だから、今バンドをやりながら、自分らしく音楽で表現できるのがめっちゃ楽しいです。

-それまでベースをされたことは?

8K:なかったです。結成したときは、ミュージカル"シカゴ"の国内(韓国)ツアーの途中だったんですけど、いつどこに行ってもベースを持ってずっと練習していました。

-SAYさんもバンドに興味があったんですか?

SAY:僕はクリスチャンで、中学生のときから教会でドラムを学べる機会がありました。ドラマーとして人生を賭けようと思ったことはなかったんですけど、僕がミュージカル・デビューをしたときにG1さんと出会って、誘ってくれたんですよ。他にもドラムがうまく叩ける方も結構知っているし、いろんな人がいると思うけど、僕のことを信じて誘ってくれれたので、頑張ってみようと思って日本に来ました。

-ドラム経験はあったんですね。

SAY:はい。僕のお父さんは音楽の先生で、お姉さんは韓国で作曲家として活動していたんです。音楽のことなので、お姉さんにバンドのことを相談してみたんですけど、"このチャンスは人生でそんなにあるものじゃないから、絶対に掴まなきゃいけない"と言われて、そのときは1年の予定でしたから(笑)、行ってみよう! と思って。そのときからずっと頑張っている感じです。

-IKUさんとGONさんは日本の音楽の専門学校に通っていて、バンドに加入されたと。

IKU:僕たちは作曲家を目指して日本に留学してきたんですけど、僕はピアノ・レッスンを知り合いにやっていて。その知り合いの紹介で、8Kさんに教えることになったんです。最初は8Kさんがバンドでキーボードを弾くつもりだったんですけど、僕がやることになって(笑)。

-いつの間にか加入していたと(笑)。

G1:という作戦でした(笑)。

-(笑)日本で音楽を勉強したいと思った理由というと?

IKU:J-POPが好きだからです。J-POPは、K-POPよりも感性が前に出る特徴があると思います。K-POPはある程度成型されていて、テクニックがすごく前に出るんです。それはそれでいいと思うんですけど、僕は感性を表現したい。感性を広げられる、多様性が認められる音楽をやりたくて、日本に来ました。

-GONさんはどういう経緯で加入されたんですか?

GON:韓国でスタジオ・ミュージシャンとして活動していたんですが、自分のやりたかったことをやってみようと思って、日本で音楽の学校に通おうと思いました。(バンドに)入ったきっかけは、なんとなくというか(笑)。最初は曲をちょこちょこ聴きながら、ここはこういうギターにしたらどう? っていうアドバイスをするぐらいだったんですけど、どんどん染まり始めて(笑)。

-そうだったんですね(笑)。日本で音楽の勉強をしようと思ったのは、それこそ日本の音楽が好きだったから?

GON:子供の頃から日本の文化を見ながら育ったので、1回行ってみるのはどうだろうかと思って。アメリカに行こうかなとも考えたんですけど、かなり金額が高くて、日本で数年やってみてから考えようと思って、日本に来ました。

-日本の音楽が好きというお話もかなり出ていましたけど、みなさんがどんな音楽が好きなのか、おひとりずつお聞きできればと思います。

G1:僕は音楽を聴くときに、先に歌詞を見て、次に音楽を聴くタイプです。韓国の歌詞は表現がダイレクトなんですけど、日本の歌詞はイギリスの歌詞みたいというか、詩みたいな表現があって、それが面白いなと思います。好きな音楽は、最初に言ったワンオク(ONE OK ROCK)も好きですけど、RADWIMPSの歌詞も好きで、好きな音楽がどんどん増えていて楽しいです。

8K:僕はリズムが予想できない音楽が好きなので、ジャズがすごく好きです。踊るのはジャズが好きで、聴くのはバラードが好きなんですけど、歌うのはヒップホップが好きですね(笑)。

-本当にいろんな音楽が好きなんですね。

8K:音楽は全部好きですね。日本のトップ50を見ると、その中にジャズもあるし、ポップもあるし、ロックもパンクもあるし。それが楽しいし、日本の音楽の一番好きなところかなと思います。

SAY:僕はハマったらずっと同じ曲を聴くタイプなんですけど、あまり基準がないんです(笑)。僕の気持ちや感情を動かしてくれる曲が好きで、感性が深い曲にハマっちゃうタイプです。

-最近ハマった曲ってありますか?

SAY:最近は「ひまわりの約束」(秦 基博)ですね。ソロで歌っているんですけど、毎回歌いながら泣きそうになっています(笑)。歌詞の意味を完璧に理解しているわけではないんですけど、歌うごとに感情が深くなってきていますね。

IKU:僕はさっき言ったような、感性が前に出ている日本の音楽が好きで、その中でもヨルシカが好きです。日本に行こうか迷っていた時期があったんですけど、ヨルシカの曲を聴いて、こんな曲がたくさんあるなら行ってみたいと思いました。

GON:僕は弾くのが楽しい音楽が好きです。最近はMateus Asatoというブラジルのギタリストの曲をよく聴いています。楽器はギターだけじゃなくて、ベースもドラムも好きだし、弾くのも見るのも好きですね。

-みなさんは日本の音楽をレビューする動画をYouTubeにアップされていますが、印象的な曲はありましたか?

IKU:毎回印象的です!

8K:勉強すればするほど、めっちゃいい曲ばかりで。今ちょうど始めて1年半経ちました。

G1:YouTubeを撮るときは、みんなで一緒に曲を決めるんです。"これどう?"って。そこから撮る前に勉強します。曲を聴きながら、どんなところがいいか、どんなことを言ったら勉強できたことをちゃんと伝えられるか考えるので、印象的な曲というと、全部(笑)。

8K:これまで100曲くらいやってきたんですけど、印象に残ったのは100曲全部ですね(笑)。

-レビュー動画の準備をするときは、リスナーとして音楽を聴くのとはまた少し違う聴き方をされていたと思うんですよね。そこで勉強になるところも多かったですか?

G1:そうですね。もちろん歌詞は見ますし、できればコードも探してみて、短いフレーズをいつも歌うようにしています。あと、この人はいつデビューして、例えばいつ武道館に行ったとかいつメジャーに行ったとか、歴史も一緒に調べるんですけど、それを見ていたら似ているところがあったんです。そうやって僕らも同じようにしたらいいんじゃないかと思ったり、本当に勉強になっています。

8K:ただリアクションをするというよりは、音楽のことを話しているのがいいのかなと思っています。登録者の方たちからも"ちょっと違う感性だ"っていうコメントをいただいていますね。

-たしかに、いわゆるリアクション動画じゃなくて、みなさんが聴いた音楽を自分たちの視点を含めて解説しているから、観ている側もいろいろと勉強になるし、すごく面白かったです。そうやって様々なものを吸収しつつ、いつも曲を作るときは、どうやって作っていくんですか?

IKU:だいたいG1さんが最初に作詞作曲をします。G1さんが持っている感性はいろいろなものがあって。環境とか状況に影響を受けたり、それこそYouTubeで毎回勉強をしたりしているので、歌詞やメロディを吸い込んで、最初にアイディアを出す感じです。それで弾き語りを"こんなことについて書いてみたよ"という解説と一緒に、LINEグループに載せます。それに"ここはこうやったほうがいいんじゃないか"という意見をみんなで言い合って、アレンジを進める感じです。