Japanese
おいしくるメロンパン
2022年05月号掲載
Member:ナカシマ(Vo/Gt) 峯岸 翔雪(Ba) 原 駿太郎(Dr)
Interviewer:秦 理絵
海、あるいは水をメタファーとして、言葉では言い表すことができない心の在り様を音楽という媒介を通して表現し続けるおいしくるメロンパン。昨年バンドのすべてを注ぎ込んで完成させた傑作『theory』を経て、約1年4ヶ月ぶりにリリースされる最新ミニ・アルバム『cubism』は、これまでと同じように海や水をモチーフに、人と人との別れや命の循環を表現するというナカシマ独特の詞世界を貫きながら、より多くのリスナーに届くことを意識したポップな作品に仕上がった。バンド結成から約7年。新たなフェーズへと突き進もうとするおいしくるメロンパンが目指すものはなんなのか。以下のインタビューから、ひとつひとつの作品を点ではなく線で繋いでいくバンドの今が伝わればと思う。
-前作『theory』(2021年リリースの5thミニ・アルバム)が、おいしくるメロンパンの世界観を深く追求するような傑作だったぶん、今作をどうするかは難しかったんじゃないかと思うんですけど、どうでしょう?
ナカシマ:そうですね。『theory』を出したあと、次は何を作ればいいのかな? みたいな感覚ではありました。『theory』はかなり理想に近いかたちでリリースできたんですよ。作品を作るたびに、"自分の曲はこうありたい"とか、"こうであるべき"みたいな制約がどんどん増えていってたんですけど、それが最大限に達した作品だったんですね。ただ、そのぶん、がんじがらめになりすぎちゃって、これ以上深くはいけないっていう感覚もあって。今回の『cubism』はそこのこだわりを全部取り払って、もっと開けた感じで作ろうってなれた。今までの流れとは違うものができたなって思いますね。
-おいしくるメロンパンが求めていた理想ってどういうものだったんですか?
ナカシマ:うーん......すごく複雑なので言語化が難しいんですけど。音楽的な構成とかメロディの細部にこだわり抜いて作りたいっていうのがあったんですよ。
-作品としての構築美を突き詰めたいというか?
ナカシマ:うん、そういう表現が近いかもしれない。今までは自分の中で思い描いてる、こういうふうに表現したいっていうものの純度が高かったんです。でも、純度を上げれば上げるほど伝わりにくくなってしまうところがあって。人と人とのフィルターを越えられないところがあるというか。届きにくさがあった。それで今回はできるだけそこを抽象化することで、人と人とのフィルターを越えられるんじゃないかって思ったんです。
-それで、今作『cubism』はより広く聴きやすい作品にしたかったんですね。
ナカシマ:そのとおりです。
峯岸:今、ナカシマの話を聞きながら思ったのが、ナカシマの歌詞ってすごく深いんですよ。ワードが強いんです。自分はそれを音楽にするうえで、その歌詞を100パーセント表現しないといけないって思ってたんですね。でも、今回は歌詞に任せるというか。音楽の純度を上げすぎない。今振り返ると、そういう作り方をしてましたね。
-結果として、どこかバンドの原点回帰っぽいところに向かったのかなとも思いました。ポスト・ロックのざらっとした荒々しさにポップなメロディが乗ってるという。
ナカシマ:たしかに。いろいろな経験を経て選択肢は増えたけど、その鎧を1回脱いでっていう意味では原点回帰なのかな。今回はもっと衝動で良かったから。
-今作に収録されてない楽曲の話になっちゃうんですけど、去年の12月に、「夕立と魚」っていうバンドの初期曲を再録して配信リリースしたじゃないですか。それが『cubism』の制作のヒントになったところはありましたか?
ナカシマ:影響はあったかなと思いますね。去年は"リフレイン・ブルー(おいしくるメロンパン Chronicle Tour 2021~リフレイン・ブルー~)"っていう過去の作品の再現ライヴもやったんですよ。僕らは昔の曲も大切にしたいと思っていて。作品は更新していくけど、1曲目からずっと繋がっているっていう感覚でやってるんです。で、そのときに(楽曲が)あっさりしてるなと思ったんですよね。今の曲と比べて凝ってないところが多い。それでも"いい曲だな"って思いながら演奏できてたので。それで、今回はあんまり凝りすぎずに作れたところはあるのかなと思います。
-今ナカシマさんが言っていた"ずっと繋がっている"というのは、おいしくるメロンパンのディスコグラフィを辿るとすごく感じることです。
峯岸:それは毎日話してますね、3人で。
-え、毎日!?
ナカシマ:毎日は話してないよ(笑)。気持ち悪いでしょ、そんなの。
峯岸:でも、ことあるごとにその話は出るんですよ。"全部が繋がってるね"って。
ナカシマ:たぶん僕らは作品ごとに変化してるからこそ、そこに繋がりを感じられると思うんですよね。ずっと同じようなことをやってるバンドもいるじゃないですか。それもかっこいいけど、僕らはそうじゃない。どんどん変わってるんだけど、そこに核の部分があるみたいな感じなんです。
-わかります。先行シングルでリリースされていた「Utopia」(2022年2月)が一番最初にできた曲だったんですか?
原:いや、最初は「トロイメライ」かな。
ナカシマ:そのあとに「Utopia」ができて。こっちのほうが届きそうだなっていうので、「Utopia」を先に出すことにしたんです。
-「トロイメライ」は軽快なビートが心地よいミディアム・テンポですね。瑞々しいギターのアルペジオが全体をリードするような構成になっていて。
ナカシマ:そう、あのギターが出てきたときに"これでいいじゃん"と思えて、そこから一瞬でできた気がします。ワンコーラス2時間ぐらいかな。『theory』を作ったあと、"次、どうしよう?"って考えてたときだったんですけど、この曲ができて、こだわらずにやってみようって吹っ切れましたね。
-峯岸さん、原さんは「トロイメライ」のデモを聴いて、ナカシマさんのソングライティングのモードが変わったなっていうのは感じましたか?
峯岸:うん、これは悪い意味じゃなくて、ナカシマがこの状態でいいと思って渡してくるんだってびっくりしました。シンプルだったんですよ。それは『theory』のころを考えると、あり得なかった。じゃあ、僕らもこういうモードで作るわってなったんです。
原:ま、それでも複雑なことはやってるんですけどね。100じゃなくて80ぐらいの感覚かな。そういう『theory』からの変遷は感じましたね。
-歌詞はひと言で言うと、別れのラヴ・ソング。
ナカシマ:歌詞のテーマにも普遍性が欲しかったんですよ。"別れ"を歌うことでフィルターを越えやすくなるのかなっていうのがあって。
-みんなが経験することですからね。
峯岸:ただ書き上がってみたら、あんまり普遍的な歌詞にならなかったんですけど(笑)。
-ええ、"たとえば海が乾いたら/婚約者にしてほしいんだ"はさすがだなと思いました。海が乾くなんてありえないことだから、あきらめの意味で受け取ったんだけど。
ナカシマ:そうですね、そこ、僕もめっちゃ気に入ってるので嬉しいです。
峯岸:ナカシマが"婚約者"って言った! って感じですけどね。大丈夫か? みたいな(笑)。
ナカシマ:今までじゃ絶対に言わなかったですからね。
-「トロイメライ」は"水に指を滑らせて手紙を書く"という歌い出しも印象的ですけど、おいしくるメロンパンの歌には水がよく描かれますね。
ナカシマ:何かしらのメタファーとして水を使うことが多いですね。このアルバムでは、生命を海とか水で表したいなと思ってましたね。ただ、「灰羽」っていう曲だけ、水とか海を出してないんですよ。生き物じゃない、人工的に作られた天使が主人公だから、無機質にしたくて。これは"灰羽連盟"っていうアニメからとってるんです。
-なるほど。今作で水が強く打ち出されている曲と言うと、「水びたしの国」です。『theory』の「亡き王女のための水域」と似た世界観を感じますね。
ナカシマ:それは意識して作ってます。なんて言うんですかね......生まれ変わりっていう概念がすごく好きなんですよ。何度死んでも、またこの世界に産み落とされるみたいなテーマですよね。何回も何回も同じ人が生まれ変わって、あるときは「亡き王女のための水域」みたいな経験をして、ある人生では「水びたしの国」みたいな経験をして、みたいなイメージで僕は捉えていますね。
-人の運命であるとか輪廻転生みたいなものは、前作『theory』でも描かれていましたけど、ナカシマさんは、どうしてそういった考え方に惹かれるんだと思いますか?
ナカシマ:生きることの美しさは死ぬことの美しさと表裏一体だと思うんですよね。「dry flower」(2018年リリースの3rdミニ・アルバム『hameln』収録)っていう曲でも、そういう生と死の均衡みたいなもののことを歌ってるんですけど。梶井基次郎の"櫻の樹の下には"がすごく好きで。桜がめちゃくちゃ美しいのって、それだけの存在ではありえないっていう考え方なんです。桜の木の下には死体が埋まっていて、その汚らわしさと釣り合ってるから、桜の美しさとか生命力が初めて存在しうるんだ、みたいな仮説を立てていて。それを読んだときに妙に納得できたんです。生命だけの美しさじゃ、生命の美しさを語れないんですよね。
-「水びたしの国」のサウンド・アプローチはカントリーっぽいですね。ローファイな音作りにこだわったんじゃないかなと思いましたが。
原:温かみのある感じにしてますね。雨を感じるけど、強い雨じゃない。優しい感じが欲しいなと思って、ブラシを使って叩いてます。
ナカシマ:この曲はざらっとした感じにしたかったんですよ。「亡き王女のための水域」でもノイズを入れたり、レコーディングのときに、"ざらついた印象にしたいです"ってエンジニアさんと話をしていて。そのイメージに近い世界観ですね。ミス・タッチとかも味にできるかなっていうのがあって、普段は録り直すようなところもそのまま使ってるんです。
峯岸:フレットレス(ベース)を使ってるので、どうしてもピッチが甘くなるところがあるんですけど。それもラフな感じの味になってるなぁって思います。
LIVE INFO
- 2025.06.24
-
にしな
星野源
ビッケブランカ
キノコホテル
きのホ。×POLYSICS
ExWHYZ
リュックと添い寝ごはん
Devil ANTHEM.
"LIVEHOLIC 10th Anniversary series~Miracle PON☆〜"
- 2025.06.25
-
オレンジスパイニクラブ
ザ・シスターズハイ
SHE'S
星野源
TenTwenty
Czecho No Republic
PEDRO×詩羽
People In The Box
斉藤和義
岡崎体育
- 2025.06.26
-
Creepy Nuts
ザ・シスターズハイ
ヤングスキニー
怒髪天
ドミコ
TENDOUJI
the dadadadys
斉藤和義
WANIMA
岡崎体育
にしな
プルスタンス / Navy HERETIC / cherie / ライティライト
- 2025.06.27
-
四星球
Creepy Nuts
GOOD ON THE REEL
Subway Daydream
東京スカパラダイスオーケストラ
ビッケブランカ
the shes gone
The Slumbers
GLIM SPANKY
オレンジスパイニクラブ
女王蜂
ポルカドットスティングレイ
ドミコ
フリージアン
サイダーガール
TENDOUJI
Nothing's Carved In Stone
荒谷翔大
yama × 群馬交響楽団
chilldspot
WHISPER OUT LOUD / Good Grief / CrowsAlive / UNMASK aLIVE
Amber's × シズクノメ
空白ごっこ
WANIMA
岡崎体育
"LIVEHOLIC 10th Anniversary series~ナニカシラ presents sunriseeee!!!!〜"
- 2025.06.28
-
眉村ちあき
女王蜂
鶴
LOCAL CONNECT
竹内アンナ
GRAPEVINE
怒髪天
[Alexandros]
Lucky Kilimanjaro
Organic Call
浅井健一
"CRAFTLAND"
チリヌルヲワカ
the shes gone
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
OKAMOTO'S / w.o.d. / MONO NO AWARE / Laura day romance ほか
いゔどっと
いきものがかり
ASP
コレサワ
ドレスコーズ
神はサイコロを振らない
Laughing Hick
荒谷翔大
福永浩平(雨のパレード)
FINLANDS
the dadadadys
私立恵比寿中学
スカート
ゴキゲン帝国
礼賛
ORCALAND
"World DJ Festival Japan 2025"
ネクライトーキー
FIVE NEW OLD
斉藤和義
sumika
"TAKASAKI CITY ROCK FES.2025"
忘れらんねえよ / BLUE ENCOUNT / ヒトリエ / 打首獄門同好会 ほか
Halo at 四畳半
TGMX(FRONTIER BACKYARD etc.)
岡崎体育
Novelbright
- 2025.06.29
-
眉村ちあき
アルコサイト
ヤングスキニー
ブランデー戦記
鶴
竹内アンナ
GRAPEVINE
[Alexandros]
HEP BURN
GLIM SPANKY
怒髪天
FINLANDS
Lucky Kilimanjaro
ネクライトーキー
東京スカパラダイスオーケストラ
浅井健一
Chimothy→
SVEN(fox capture plan)
いゔどっと
大原櫻子
荒谷翔大
reGretGirl
ドレスコーズ
VOI SQUARE CAT
終活クラブ
サイダーガール
ポルカドットスティングレイ
いきものがかり
ASP
コレサワ
清 竜人25
私立恵比寿中学
"World DJ Festival Japan 2025"
おいしくるメロンパン
斉藤和義
sumika
"TAKASAKI CITY ROCK FES.2025"
yutori
岡崎体育
Nothing's Carved In Stone
Novelbright
- 2025.06.30
-
Dear Chambers
清 竜人TOWN
浜崎容子(アーバンギャルド)
Hump Back
岡崎体育
- 2025.07.01
-
ビレッジマンズストア
Mirror,Mirror
岡崎体育
- 2025.07.02
-
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
SHE'S
Saucy Dog
Hump Back
Laura day romance × Billyrrom
Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)/ 寺中友将(KEYTALK)/ 谷口 鮪(KANA-BOON)/ アユニ・D(PEDRO)
ドミコ
岡崎体育
- 2025.07.03
-
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
斉藤和義
go!go!vanillas
蒼山幸子
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
PK shampoo
TenTwenty
Saucy Dog
ビレッジマンズストア
クジラ夜の街
KALMA
the dadadadys
神聖かまってちゃん
サカナクション
フィロソフィーのダンス×清 竜人25
岡崎体育
- 2025.07.04
-
Nothing's Carved In Stone
MAN WITH A MISSION
斉藤和義
ExWHYZ
GRAPEVINE
SAKANAMON
LOCAL CONNECT
the shes gone
ビレッジマンズストア
蒼山幸子
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
女王蜂
ザ・シスターズハイ
DOLL PARTS
カナタタケヒロ(LEGO BIG MORL)
GANG PARADE
佐々木亮介(a flood of circle)
大原櫻子
緑黄色社会
ポルカドットスティングレイ
リーガルリリー
浅井健一
サカナクション
Mom
- 2025.07.05
-
Nothing's Carved In Stone
SAKANAMON
鶴
THE ORAL CIGARETTES / ヤングスキニー / 水曜日のカンパネラ ほか
reGretGirl
GLIM SPANKY
チリヌルヲワカ
キュウソネコカミ
ART-SCHOOL
コレサワ
[Alexandros]
フラワーカンパニーズ
shallm
go!go!vanillas
アーバンギャルド
ExWHYZ
FINLANDS
"見放題大阪2025"
GRAPEVINE
片平里菜
HY
SCOOBIE DO
the shes gone
怒髪天
荒谷翔大
the dadadadys
envy
サイダーガール
緑黄色社会
め組
Helsinki Lambda Club
androp
WtB
ASP
Conton Candy
The Slumbers
有村竜太朗
- 2025.07.06
-
PEDRO
Creepy Nuts
UVERworld
鶴
ビッケブランカ
sumika / Novelbright / Omoinotake ほか
荒谷翔大
reGretGirl
[Alexandros]
竹内アンナ
go!go!vanillas
ネクライトーキー
FIVE NEW OLD
DYGL × Newspeak × ANORAK!
片平里菜
PK shampoo
GLIM SPANKY
"見放題名古屋2025"
女王蜂
SCOOBIE DO
怒髪天
チリヌルヲワカ
ART-SCHOOL
Bimi
jizue
クレナズム
halca
HY
SIX LOUNGE
ドレスコーズ
LEGO BIG MORL
有村竜太朗
フラワーカンパニーズ
- 2025.07.07
-
ビレッジマンズストア
NakamuraEmi
浅井健一
- 2025.07.08
-
TENDOUJI
Hump Back
go!go!vanillas
ビレッジマンズストア
the dadadadys
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
銀杏BOYZ
- 2025.07.09
-
SHE'S
いきものがかり
Maki
山内総一郎(フジファブリック)
RELEASE INFO
- 2025.06.25
- 2025.06.27
- 2025.06.28
- 2025.07.02
- 2025.07.03
- 2025.07.04
- 2025.07.05
- 2025.07.06
- 2025.07.07
- 2025.07.08
- 2025.07.09
- 2025.07.11
- 2025.07.13
- 2025.07.15
- 2025.07.16
- 2025.07.20
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
音ノ乃のの
Skream! 2025年06月号