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INTERVIEW

Japanese

おいしくるメロンパン

2024年05月号掲載

おいしくるメロンパン

Member:ナカシマ(Vo/Gt) 峯岸 翔雪(Ba) 原 駿太郎(Dr)

Interviewer:石角 友香

外に開かれた直近の2作、『cubism』(2022年リリースの6thミニ・アルバム)と『answer』(2023年リリースの7thミニ・アルバム)を経てきた今年のおいしくるメロンパンは、また新たなフェーズに入り、そもそものソリッドなバンドの志向をニュー・ミニ・アルバム『eyes』で顕在化させてきた。この8thミニ・アルバムと同時に初回生産限定盤Aには8.5thミニ・アルバム『phenomenon』も付帯するのだが、いわゆる特典的な存在ではなく、こちらも合わせて今のバンドを全方位で知ることができる。ライヴ・バンドとしても前回ツアー"おいしくるメロンパン answer tour - 結ぶリボンの方程式 -"ファイナルのLINE CUBE SHIBUYAの成功を消化し、新作『eyes』のツアー"おいしくるメロンパン eyes tour - 春夏秋冬レイトショー -"はさらにキャパシティも大きくなる。現在のバンドの志向を、『eyes』を軸にメンバー全員に訊いてみた。

-前回のミニ・アルバム『answer』とツアーを経て、どんな手応えが残りましたか?

ナカシマ:『answer』では自分たちの開けた一面、外側に向かっていく一面みたいなものを追求できて、行くところまでは行けたかなって感じがしたので、今回はもう一度内側にというか、原点に立ち返った気持ちでやりたいことをやった作品になりましたね。

-行くとこまで行けたっていうのは?

ナカシマ:聴いてくれる人たちとの付き合い方みたいなものの正しいところ? 着地点に辿り着けたかなっていう感じですね。

原:"answer tour(おいしくるメロンパン answer tour - 結ぶリボンの方程式 -)"がすごい良かったなっていう感覚があって。お客さんが聴いたとき、観たときにどう感じてもらえるかみたいなのをすごく気にしてセットリストからいろいろ考えてやってたんですね。で、ちゃんと思った通りに盛り上がってくれたというか、喜んでもらえたなって印象で、すごくいいツアーだったなと思います。次のツアーでこういうことしたら逆にちょっとやりすぎかもとか、ここはこうしたらいいねとかもあるので、次のツアーのためにも糧になったツアーだなっていう感覚です。

峯岸:ナカシマがさっき言った通り、お客さんと我々の関わり方、一番いい場所を探しつつ、探りつつライヴを作っていった、そういうツアーだったなという感覚がありますね。で、最終的にはすごくいいところを見つけられたんじゃないかな。ファイナルでとてもいいライヴができたので。"成功したぞ! ツアー"です。

-今回のミニ・アルバムのきっかけになった曲は?

ナカシマ:先にできたのは「シンメトリー」なんですけど、「五つ目の季節」や、『phenomenon』に入ってる「砂の王女」っていう曲もツアーのアンコールでやってたりしたんで、その3曲が軸になって。まぁ「五つ目の季節」が結構軸ではある感じですね。

-今回どの曲もソリッドでフィジカルに訴える曲が多いなと思ったんですけど、そうしたイメージはありましたか?

ナカシマ:そうですね。そういうのをやりたい時期なのかなって感じはあります。特に『eyes』はそういう曲が多いですね。

-「シンメトリー」の着想はどういうものでした?

ナカシマ:あんまり深いことを考えずに作ったって感じはありますね。毎年夏の曲を作りたいなと思いながらやってるんですけど、この曲もそういう気分で、まぁ今年の夏こんな感じかな? みたいな(笑)、そのときの夏のイメージみたいなのをそのまま曲にした感じでした。

-交わることがなかった線対称みたいな感じがすごくするんですよ。それはミニ・アルバム全体にも関係してくるのかなと思って。

ナカシマ:うんうん、たしかに。

-アレンジもシンプルな考え方でしたか?

ナカシマ:わりとそうですね。僕がデモを作った段階ではさらにシンプルで、あんまりいろんなことを詰め込むよりはメロの良さで押していきたいなっていう曲想でしたね。で、メンバーに投げてちょっとずつギミックがプラスされていって今の形になったっていう感じです。

-ナカシマさんの書く歌詞の登場人物の成長した現在という印象を受けました。

ナカシマ:最近は初期に書いてた曲から時間軸を進めて、もう一度そのことについて書いてみるみたいな試みはしていて。そもそもそのバンドが進んでいくにつれて曲も時間軸が進んでいったら面白いなと思ってるんで、そういう曲が増えてる気がしますね。

-「五つ目の季節」は『eyes』というミニ・アルバムの軸だということで、曲調も内容もミニ・アルバムをひとつ象徴してるのかなと。着想はどういうとこだったんですか?

ナカシマ:今までは結構明るい流れで来てたんで、それをガラッと変えたいなというか、もうちょっと憂いのある感じも僕たちの色としてあるので、そこを前面に押し出した曲が欲しいなぁってことでこれを作りましたね。

-これまでの楽曲に登場していた人物に重なるワーディングが多くて。女の子の服装であったりとか景色であったりとか。でも"泥のついた頬を拭った季節が/もう二度とはこないと/気づいていく"んですね。

ナカシマ:うん。そういう一度過ぎ去ってもう絶対に来ないみたいな、絶対に手に入らないものみたいなのは僕たちの曲のテーマとしてずっとありますね。

-プレイヤーとしてアレンジの注目点で言うと?

峯岸:この曲に限らないですけど、ずっと動いているので、自分の中でベースのチャレンジとしてシームレスに流れていくことを大切にしがち。大切にしないときもあるんですけど、この曲は、曲のストーリーに、流れていくようなベースを添えることを意識して作ったので、ライヴで弾いてるときも川の流れのようにやってますね。だから心地いいです。

-この主人公がどこに向かってるかわからないけど、走ってるっていう感じがしました。

峯岸:はい。そんな感じがします。

-この曲がなぜ"五つ目の季節"なのかっていうことなんですよ。一応日本では四季って言われてるので。"五つ目"ってなんですかね?

ナカシマ:(笑)なんですかね。

-若い時代にだけ春夏秋冬以外があるのかなと。

ナカシマ:まさしく。

-4月になる手前って何者でもない時期ってあるし、若い頃のある時期なんでしょうか。

ナカシマ:あの頃には戻れないなみたいな感じはずっとありますね。高校生ぐらいのときから"もう中学生に戻れないんだな"みたいに思ってたし(笑)、普通にずっと感じ続けていたことかなっていうのがあります。そういうモヤモヤ、喪失感みたいなものを曲にしたのかなって感じですね。

-たしかに高校生になったら中学生のときにやってたバカなことができないですよね。

ナカシマ:してましたけど(笑)。単純に絶対に戻れないという絶望感みたいなのはあるのかなって。別に戻って何がしたいとかじゃないですけど、進んでいくことしかできないことって人類共通の悲しみみたいなものなのかなと思ってて。

-「空腹な動物のための」は珍しく誰かを断罪してるなと思ったんですけど、どうなんでしょう。

ナカシマ:どうなんですかね。でもこれも内向きに尖っているつもりではあります。歌詞もなんか言ってるようであんまり届けようとしてないのかなというか、ちゃんとは理解させないように決定的な言葉は避けてるし。でもメッセージ性は他の曲に比べたら強いんです。サウンドもそうですけど結構キツい感じに作ったんで、この曲で僕たちの新しい扉みたいなものは開けたかなって思います。

-この曲は間奏が面白いですね。2サビのあとのセクションは誰のアイディアですか?

ナカシマ:これは僕が作りましたね。

-ちょっとブルージーですね。これはブルースと何のハイブリッドなんだろうと思いながら。ソリッドな曲になればなるほどすごい楽しそうなんですけど。

峯岸:あぁ、我々が? 楽しいですよ。ライヴでまだやってないですけど、とにかくめちゃくちゃカッコいいなと思うんで、ライヴ・サウンドにすごい映えると思いますね。デカい空間に。ベースはフレーズが動いてなくて、ずっと同じフレーズ、リズムを刻む、跳ねる、みたいな感じなので新境地です。