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INTERVIEW

Japanese

東京初期衝動

2021年05月号掲載

東京初期衝動

Member:しーなちゃん(Vo/Gt) 希(まれ)(Gt/Cho) あさか(Ba/Cho) なお(Dr/Cho)

Interviewer:秦 理絵

-遊びだったバンド活動の意識が変わったのは、いつ頃だったんですか?

希:(所属事務所であるエイティーフィールドの)青木(勉)さんが関わってくれるようになってからですかね。振り返ると、1st ED(2019年4月リリースの『ヴァージン・スーサイズ』)までは、いえーいって感じでやってたけど、特にアルバム(2019年11月リリースの『SWEET 17 MONSTERS』)から、いろいろ考えるようになったんです。自分が行ってた店にCDが並んでたりして。

しーな:タワレコとかに置かれた看板を見るとね。あと、CDが売れたりとか。

-なおさんは?

なお:私もあとから入ったので、結成からいなかったんですよ。だから、1章は慣れの期間。

しーな:慣れの期間!? 慣れるまで長いなぁ(笑)。

-なおさんって初期メンバーだと思ってたんですけど、いつ加入なんですか?

しーな:2018年の7月10日。それはすごく覚えてる。

-ほぼ最初じゃないですか。

しーな:そう、結成の3ヶ月後です。

なお:最初は仮で男の人がドラムをやってて。新しいドラムを募集してるっていうので入ったんです。

しーな:無理矢理入れさせられたんだよね。

なお:みんなと音楽の趣味が違うので大丈夫かな? って感じだったけどめちゃくちゃやりたかったので入りました。
しーな:でも、なおはさ、自分の立ち位置をちゃんと確立してるからすごい。

なお:そうかなぁ。

しーな:サンリオっぽくて、女の子に受ける女の子なんですよ。

なお:ちょっと自分ではわからないんですけどね(笑)。

-そんな東京初期衝動の第2章のスタートになる作品が『Second Kill Virgin』になります。全3曲がまったく違うアプローチですね。

しーな:シングルとかとアルバムで同じような曲が入ってるのがあんまり好きじゃなくて。いろいろな顔を見せてほしいなと思うんですよ。"なんだよ、このシングルは似たような曲ばっかりか"っていう怒りもあって。だったら、こうするのになっていう感じですね。

-今作はとにかく「さまらぶ♥」を聴いて驚きました。違うバンドの曲を再生しちゃったかなってぐらい。

しーな:あははは! そうですよね。

-ここまでアゲアゲのサマー・ソングを作ったのは何かきっかけがあったんですか?

しーな:なんか......(希に)これ、言ってもいい?

希:うん。

しーな:希ちゃんと職場のクリニックが一緒だったんですよ。それで、去年の12月下旬ぐらいに夜中から朝まで、店番をしなきゃいけないときがあって。で、先生に"ギター弾いてるね"って許可を貰って、今年の夏はマジではっちゃけようぜ、みたいな曲を作ったんです。ビートを刻むアプリとかあるじゃないですか。あれで、四つ打ちにして、希ちゃんにギターを弾かせて。そこからイントロができて、朝までにできてた。

希:こういう作り方は初めてですね。前まではベースの子としーちゃんが一緒に作ってたから。

しーな:そしたらもうガッチンですよ。フィーリングが。

-そのあと、あさかさんとなおさんにはデモ的なものを送ったんですか?

しーな:デモを送りました。送ったら、絶句してたよね。しばらく返信がなかったんですよ。だから、"え、ちょっと大丈夫かな"みたいな。

あさか:朝からこれが流れてきて。病院で何してんのやろ? って思いましたけど(笑)。いい曲だなと思いましたね。自分はこういうのが好きなので。ええやんって。

しーあ:あ、そうそう。あさかが入ったから、歌詞に"ええやん"を入れたんですよ。

-あさかさんを歓迎する歌みたいな。

しーな:そうそう、ウェルカムソングです(笑)。

-なおさんはこの曲を聴いたとき、どう思いましたか?

なお:ORANGE RANGEっぽいなと思いました。世代なので。

しーな:作ったときも意識してましたからね。夏と言えば、みたいな感じで。

-ORANGE RANGEはよく聴いてたんですか?

しーな:めちゃくちゃ聴いてました。うち、"Mステ(ミュージックステーション)"に出てるアーティスト大好きなんですよ。流行りのアーティスト。

-東京初期衝動と言えば、銀杏BOYZ好きとして語られることが多いけど、いわゆる売れ線のJ-POPみたいなものからも影響は受けてる?

しーな:インディーズ・バンドも大好きですけど、やっぱり大衆に受ける音楽って素晴らしいと思いますね。そのために作られてるから。

-自分がソングライターとして目指すのも、そういう音楽ですか?

しーな:いやぁ......そこはどうなんでしょうね。私は嫌われてもいいんですよ。別にみんなが好きじゃなくてもいいと思ってるから。

-"Mステ"には出たいとは思いますか?

しーな:......今は視聴率が低いからな。

あさか:それダメ。"出たい"って言っておけば、"Mステ"の偉い人が読むかもしれんやん!

一同:あはははは!

-となると、東京初期衝動が目指すものはなんなんでしょうね。完全なJ-POPでもなく、かといって、アンダーグラウンドなわけでもなく。

しーな:どっちでもいいんですよね、そこは。

希:どっちもできるのがいいんじゃない? ってことだよね。

しーな:そうだね。どっちもできるのが一番かっこいい。そこしかウケないんじゃなくて、どっちもウケるのがかっこいいなとは思いますね。

-そういう意味で、「さまらぶ♥」は、あえて"Mステ"的なところ、大衆的なものを目指して作ってみたって位置づけですか?

しーな:そうですね。アンダーグラウンドな人は聴かないんじゃないですかね。この曲、まだ(取材の時点で)世の中には出してないじゃないですか。でも、これをバーで流したんですよ。わりと音楽の玄人っぽい人がいっぱいいるバーで。そしたら、音楽をやってるおじさんに、"こんなの聴きたくねぇよ!"とか言われたんです(笑)。

-あはははは! で、どう思いました?

しーな:すごく嬉しかったです。ジジイに聴かせる音楽じゃねぇんだよって。

あさか:おもろいなぁ(笑)。

-さっき、あさかさんはこういう曲も好きって言ってましたけど、こういう陽キャの夏みたいな曲って、メンバーの性格的には合ってるの?

希:基本、陽キャじゃないですね。

しーな:私以外は陽キャじゃない。

希:なんか......私は関わってないことにしたい曲です。

-あははは! 作品のインタビューで"関わってないことにしたい"って初めて聞いた。

希:本当ですか?

しーな:希はいつも"関わってないことにしとこ"って言ってますよ。これは、男友達と海に行くときにめちゃくちゃ聴いてやろうと思って作った曲なので。私はもうこの方たち(メンバー)とは世界が違うからね。浴びてる太陽も。

希:量が違うよね(笑)。