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INTERVIEW

Japanese

Jam Fuzz Kid

Jam Fuzz Kid

Member:今村 力(Vo) 黒木 徹(Gt) ヤマザキタイキ(Gt) 小畠 舜也(Ba)

Interviewer:吉羽 さおり

骨太でアンセミックなUKロックの流れを汲んだ、スケール感たっぷりのロック・サウンドを響かせる5人、Jam Fuzz Kidが1stフル・アルバム『GOAT』を完成させた。グッド・メロディで、キャッチーなリフやアンサンブルの醍醐味のある曲だけでなく、バンドのポップ性や繊細さ、豪胆なアイディアから高い志でその先を夢見ていくエネルギーまで、1stフル・アルバムに必要なパーツが丁寧に組み合わさって躍動しているアルバムである。コロナ禍で、変化を余儀なくされた制作もあったが、それを好転させて想像力を広げたロック・アルバムでもある。今回は、メンバー4人に(ドラマーの村松知哉は都合により欠席)アルバムに込めた想いや経緯を訊いた。

-ついに1stフル・アルバム『GOAT』が完成しました。名盤を作るという気概を感じる作品ですが、完成しての手応えはどうですか?

今村:手応えしかないですね。

-1stフル・アルバムとしてのヴィジョンというのは何か描いていたんですか?

黒木:まさに名盤を作るぞということですね。

今村:あとは1stアルバムらしさというか。"who we are"な感じ、俺たちはこれだっていうものにしたいということでした。昨年1st EP(『Chased by the sun』)も出しましたけど、フル・アルバムは初めてということで、もう一度Jam Fuzz Kidを再確認させるというか、自分らの時代にみんなを引きずり込むアルバムにしようと思って。1年くらいかけて作っていましたね(笑)。

-結構長期にわたっての制作だったんですね。

今村:コロナが始まる前くらいから作っていたんです。本当は、もう少し早くリリースしたかったんですけど、コロナがきちゃって。途中、スタジオとかレコーディングにも入れない時期があったので。そのおかげで、新たな曲たちが増えて、もっといい曲も作れたので。良かったなというのはありました。

-そのコロナ禍で家にいる時期にできた曲というと、どのあたりですか?

黒木:「Sunshine Highway」とかはそうですね。

今村:そう。「Animals」もそうで、これは3月頃だったのかな。もともとはこの曲を押していこうという感じだったよね。

小畠:シングル候補でした。

黒木:そういうリード曲を作らなきゃという気持ちで作ったのが「Animals」で。それから、緊急事態宣言が出たあとに作ったのが「Sunshine Highway」だった。

今村:5月には、ライヴもできない状況で、レコーディング・スタジオにも入れないし各自家での作業で、たまに電話で会議するみたいな日々で。そういう暗い時期の中でできためちゃめちゃ明るい曲っていうのが、「Sunshine Highway」だったんです。でも、これをリード曲にしようぜっていうのは、その瞬間はならなかったんだよね。

黒木:他にも何曲かリード候補はあって、どれにしようかという感じで。

今村:少し時間が経ってレコーディングできる状態になって、「Sunshine Highway」をレコーディングしたんですけど。録ってみたら、"めっちゃ良くない!? すげぇいいじゃん"っていう感じでした。

-ライヴもレコーディングもできないような思わぬ事態にはなってしまいましたが、それを転じていきましたね。

今村:そうですね。あとは、インストの「Untitled」や「Doors」、「Shelly」もコロナ禍で作った曲で。「Doors」はずっとあったんですけど、やっと手をつけた曲でした。

黒木:アレンジを詰め直した。

小畠:それこそ「Animals」も1回レコーディングが終わっていたけど、そのあとにコロナで緊急事態宣言があって、そこでアレンジをもう一度詰め直したりもしていて。

-今言った曲たちが上がったことで、アルバムとしての広がりが出ましたが、思うように動けないことでの焦りみたいなものっていうのはなかったんですか?

今村:自分はあったけどね。

黒木:それは焦りましたよ。ただその焦りは、アルバム制作というよりは、バンドの活動として止まってしまったのがデカかったですね。

今村:曲を作ることに対する、かっこいい曲ができるのかどうかという心配はまったくしてなかったですけど、それ以前にライヴができないことが、どうなるんだろうという心配はありましたね。ちょうど、徐々にお客さんが増え出しているところでのコロナで。決まっていたライヴやフェスがあったんですけど、それもなくなってしまって、残念だなというのはありました。

-そこで、よりしっかりアルバムを作りたいということでは気合が入りますね。

黒木:音源勝負になるよね。ライヴ・パフォーマンス云々よりも、曲がいいか悪いかという。だから時間ができたのは、ありがたかったと言えば、ありがたかったかな。

今村:ライヴが苦手とかそういう話ではまったくなく。音源でもしっかり勝負できるようなバンドじゃないと、通用しねぇなっていうのはあったし、自分たちからしたら自信があったので。ありがたかったですね。

-それぞれの曲が持つスケール感が音になってしますし、バントのいろんな面が窺えるいいアルバムだなって思います。「Sunshine Highway」は、こういう思いを描こうというのがあったのでしょうか?

今村:「Sunshine Highway」に関しては、"ジャージー・ボーイズ"という映画があるんですけど、歌詞はそれと似通ったところがあるなと思いますね。どうしようもない仲間が集って......自分たちに当てはめるとコロナとか、なかなかうまくやれない状況があるなかで、みんなで集まってどうにかしようとしていく。そのなかでいろんな人たちを巻き込んで、自分たちのロックというものを伝えていくってテーマがありました。良かったなと思ったのは、コロナの時期にこういう明るい曲を書けたことが、自分にとってはすごくラッキーというか、神様サンキューっていう感じですよね(笑)。自分もやっぱり暗い気持ちだったから。

-そうですね。

今村:この曲ができたのは夜中だったんですけど。曲作らないとなとなってギターを持って、頭のフレーズからできて、これを曲にしようとしたら何も問題なくパッとできたんです。そのギターで作ったものをみんなに渡して、みんなから返ってきたものをまた入れて作り上げていくっていう感じで──

黒木:良かった、全部お前の手柄にされるところだった(笑)。

今村:はははは(笑)。このバンドはみんなで作るので。たまたま、原型を持ってきたのが俺だっただけで。それを仲間に渡して、やりとりしながら作るっていう感じなんです。

-曲が送られてきたとき、みなさんはどういうイメージで受け取った感じですか?

黒木:うん、悪くないなっていう。

今村:こいつら本当に冷たいんですよね(笑)。そのときのLINEはすごく覚えていて。この曲いいなって思ったから、"どう?"って送ったら、ヤマザキとジョン(小畠)からは、"いいんじゃない"ってぽんぽんって返ってきたんです。返ってきたことに俺も、じゃあいい曲だなって思って(笑)。

小畠:でも、"いいんじゃない"っていうのは、俺はたぶんいいと思ってないよ。

今村:え、そうなの!?

小畠:"どう?"って言われてるから、答えなきゃいけないなと思って。

今村:なんなんだよ!

小畠:ただそのときはいいと思ってないけど、完成してみたら良くて──

黒木:曲が完成して、レコーディングして良くなるものもあるからね。

-「Sunshine Highway」では誰が中心でアレンジを進めていったんですか?

黒木:僕ですね。だから、さっきこいつ(今村)が作ったってことで手柄にされるかと思ってたんですけど(笑)。あまりこれまでにないアレンジだった気がしますけど、かと言って俺が何かしたかっていうと特にはないんです。サビを1セクション加えたりとか。

今村:ギター・ソロのキメとかもそうだよね。

ヤマザキ:でも、ギター・ソロに関しては、俺に投げてきたのもあったよね。

黒木:はい、共作です(笑)。

今村:基本的にJam Fuzz Kidはどの曲に関しても、誰かひとりがすべてをやるというよりは、みんなでという感じが強いんですよね。

-アレンジがある程度仕上がった時点で、この曲はきたなと。

今村:最初俺はいいなと思ってたけど、みんな不安がってたよね。

黒木:今までにあまりない、明るい感じの曲だったからね。作ったことがないタイプの曲というか。

小畠:これ、どうなんだろう? っていうのはあった。結果的にそれが良かったかな。