Japanese
ぐるたみん
2020年07月号掲載
Interviewer:山口 哲生
昨年、動画初投稿から10周年というひとつの節目を迎えたぐるたみん。メジャー・フィールドに進出以降は、オリジナル曲を自作自演する、いわばシンガー・ソングライターとしての活動がメインになっていたが、2018年からは『~そんなふいんきで歌ってみた~』という、かつて発表していたボカロ・カバー・シリーズの音源を定期的にリリースしている。3年ぶりの登場となる今回は今年2月に行った全国ツアーのことや、コロナ禍の中で制作された『A~そんなふいんきで歌ってみた~』についてなど、ぐるたみんの現在地を探った。
-今年2月に全国ツアー"ぐるたみん LIVE-G TOUR anniversary.10 TRACE THE AUTOBIOGRAPHY"を開催されていて。これは、昨年開催された10周年記念公演"LIVE-G anniversary.10 ~TRACE THE AUTOBIOGRAPHY~"のチケットが完売したことを受けて行われたわけですけども、そちらはいかがでしたか?
楽しかったですよ。10周年でどれだけ人が来るんだろうって思っていたんですけど、自分が思っていた以上にみんな来てくれて盛り上がってくれたので。あと、今回初めてアホみたいなことをやったんですよ。生放送中にルーレットをして出たところに行くっていうことをしたんですけど。
-"ダーツの旅"みたいな。
そうです。それで愛媛に行くことになったんですけど、最初は決まった瞬間どうなるんだろうと思って。でも、本当になんとかなって良かったって感じでした(笑)。
-初めて行く土地ですから、不安にはなりますよね。ツアーは1日2回公演で、夜は"Additional Show Time"という名目になっていましたが。
一応"アコースティック・ライヴ"とは言いつつ、ただふざけている会っていう感じでした(笑)。前回もやったんですけど、"アコースティック・ライヴだったら行かなくてもいいかな"っていう空気の人たちが、噂を聞きつけたのかなんなのか、今回のほうが集客が良かったですね。ただ遊んでいたことが認知されて、それが集客に繋がったと思います(笑)。
-(笑)どんなことをされたんですか?
ゲームやったり、罰ゲームでバンド・メンバーがカブトムシを食べたり。
-カブトムシって食べられるんですか......?
ね(笑)? タランチュラも食べてましたよ。食べた人によると塩味が効いてておいしいらしいです(笑)。
-塩味って......(苦笑)。
エビみたいな感じらしいです。甲殻類のおいしさがあるらしくて。そんなこと言われても、絶対に食べないですけど。この話どうでもいいですね(笑)。
-いや、面白い話をありがとうございます(笑)。充実した時間を過ごせたようですね。
そうですね。でも、最後の最後にコロナウイルスの件が出てきて。ツアー・ファイナルの前日に"自粛をお願いします"っていう発表があって、いろんなところのイベントがなくなっていくなか、どうしようか? っていうところでやったんですけど。
-本当にギリギリのタイミングではありましたよね。その翌週からもう何もできない状況になっていって。
そうそう、そうです。そのタイミングではどっちに転ぶか? っていう空気感だったんですよね。一応払い戻しの対応もしたんですけど、やれて良かったです。
-コロナウイルスの影響で言うと、ぐるたみんさんとしては、"コミックマーケット98"と合わせて、都内某所のカフェにて"G'sCAFE"というイベントを開催する予定でしたが、こちらが中止になってしまっていて。
本当は"コミケ(コミックマーケット)"でCDを売ろうと思っていたんですけど、中止になってしまったので、どこで売ろうか悩んでいたんです。そのCDが6月5日に出した『A~そんなふいんきで歌ってみた~』なんですけど。普通に売ってもアレだなと思って、ぐるたみんの誕生した日といいますか、僕が初めて動画を投稿した6月5日、11周年を迎えるその日になんとかしてみんなに届けたいんだけど、コロナウイルスの影響で通販サイトとかもなかなか動いていないと。それで悩んでいたときにライヴ制作をしてくれている"360CONCEPT"が協力をしてくれて。スタッフの方がCDやグッズの発送もしてくださって、中にはフラゲできた人もいたみたいです。なんか、自主制作なのに......っていう感じではあるんですけど(※取材後"360CONCEPT"のスタッフの方から話があり、自粛要請で様々なライヴが中止になって困惑しているなか、ぐるたみんが何か手助けできることはないかということで、発送などの仕事を持ちかけてくれたとのことでした)。
-お話にも出ましたが、今日は『A~そんなふいんきで歌ってみた~』についてお聞きしていきたいと思っていまして。"~そんなふいんきで歌ってみた~"というシリーズは、以前は"ぐ"、"る"、"た"といった具合にひらがな表記で制作されていて、2018年から"G"、"L"、"U"、"T"と英語表記にして定期的に発表されていますが、今回はその英語表記第5作目になりますね。
宣伝とかも全然しないなかでやっているので、ファンの人たちだけに向けて発信しているものにはなるんですが、みんな結構喜んでくれている感じを受けますし、やって良かったというか。実際数字も全然減ってなくて、ちょこちょこ増えてるんですよ。メジャーと違ってどこか大きなところで何かができるというわけではないんですが、実際に自分の手で売ってお客さんに喜んでもらえる、笑顔をもらえるというのはメジャーにはない喜びでもあるので、面白いなと思いますね。
-ぐるたみんさんは、ここ最近は自作のオリジナル曲を歌う、要はシンガー・ソングライターとしての活動がメインになっていましたが、改めて"歌ってみた"のシリーズをやってみようと思った理由というと?
原点回帰ですね。結局自分のやりたかったことってそこだよね? っていう。だから、特に違和感がないというか、楽しいことができている感じです。
-リスナーのみなさんからはどんな声がありましたか?
"やっと帰ってきてくれた!"みたいな感じも最初はありましたけど、自分としては何も変わってないんですよ。オリジナル曲を出していたときも、別に"歌ってみた"をやめていたわけでもないんですよね。だから、普通に通過点を通過してきただけみたいな気分ではあるんです。で、オリジナル曲の実力もだいぶ上がってきて、今は自分の思いをしっかり詰め込められるようになったといいますか。
-いわゆるシンガー・ソングライターと歌い手の活動って、世の中的には違うものにはなると思うんですが、そこに対してぐるたみんさんはどう考えていらっしゃいます?
もともと自分は作曲から音楽を始めたんですよね。作曲事務所に入っていて、そのあとに"歌ってみた"を始めたから、どちらかというと作曲が自分の人生のメインではあるんですよ。だから、作曲はやっていて素直に楽しいですし、"歌ってみた"はみんなが喜んでくれるもので、その笑顔を貰えるのが楽しいっていう感じなんです。だから、僕にとってはどちらも楽しいものではあるんですよね。オリジナル曲がリスナーに届いているのかどうかはわからないですけど(笑)。
-いやいやいや。
というか、作曲に関してはちゃんと届いているのかどうかにあまり興味がないんです。"歌ってみた"は、みんなからのコメントが貰えるのが嬉しいんですよね。例えば、"声が良かった"とか、"歌に感情がこもっていて今回も良かったです"っていうコメントは、素直に受け取れるんですけど、作曲に関して"今回の歌詞良かったです"とか、"曲が良かったです"って言われても、へぇ~......みたいな。"嘘だろ?"って思っちゃうっていうか。
-ぐるたみんさんとしてはオリジナル曲は評価がどうとかよりも、出すことに意義があるみたいな感じなんでしょうか。
意義というか、趣味でしかないんです。小学校ぐらいから作曲をずっとしてきて、それを今もずっと続けているだけの話というか。だから、何も変わらないんですよね。
-なるほど。『A~そんなふいんきで歌ってみた~』の制作はいつからスタートされたんですか?
ツアーが終わったあとからなので、3月からですね。"コミケ"に合わせて作って4月ぐらいに完成させる予定だったんですけど、こういう状況なので、うまく進まないところはありながら6月5日までになんとかしたっていう感じでした。
-となるとコロナ禍の中での制作になったと。
もう完全にそうですね。
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