Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

Crispy Camera Club

2019年08月号掲載

Crispy Camera Club

Member:ミサト(Vo/Gt) 稲本裕太(Cho/Gt) 中根トモヒロ(Ba) りんすけ(Cho/Dr)

Interviewer:秦 理絵

-今回は「Peggy Jean」とか「エンディングロール」で、いろいろな楽器の音を入れてますけど、そのあたりも煮詰めずにすんなり作れたんですか?

中根:いや、「Peggy Jean」は、アレンジで悩みました。僕が「Strawberry Fields Forever」(THE BEATLES)のイントロを使いたいなって言ったんですよ。それがハマったんです。

稲本:ほとんどまんまですよね(笑)。

りんすけ:もともとイントロからサビまで同じ曲調で作ってたんですけど、サビで雰囲気を変えたいなと思ったんですよ。で、ノリを変えていくなかで、中根君からTHE BEATLESのアイディアが出てきて。

稲本:でも、THE BEATLESをあまりにもそのまんま出すのはクソだと思うんですよ。だから、THE BEATLESっぽくないフレーズを足して、雰囲気を変えてますね。

-ざっくりとした質問になっちゃうけど、2010年代の海外インディー・シーンがリアルタイムで、90年代のギター・ポップに憧れる4人にとって、THE BEATLESはどういう存在ですか?

中根:最強のポップスじゃないですか。

稲本:お手本にしたいことが全部入ってるから、聴くたびに発見があるんですよね。音数が少なくてシンプルなんですけど、たくさんヒントがあるんですよ。

りんすけ:18歳のときに聴いたTHE BEATLESと、今聴くTHE BEATLESは違うなと思いますね。あのときは"THE BEATLESやから聴く"みたいな感じだったんです。今、いろいろな洋楽を聴いてきたうえで聴くと、"ここにこれ入れる?"とか、"何、この音!? 気持ち悪っ"みたいなことも、あの時代にやってると思うと、ワクワクしますよね。

-当時ものすごく前衛的なことをやってたはずなのに、そうは感じさせないですからね。

ミサト:難しく考えなくても、めちゃくちゃポップですよね。

稲本:THE BEATLESで言うと、Paul McCartneyがなんかのインタビューで言ってたんですけど、"俺とJohn(Lennon)は盗作の天才なんだよ"って。

中根:あぁ、知ってる。

稲本:"彼らでさえ、そういう感覚か"と思うんですよ。僕らも、ここであれを使って、こっちであれを使うみたいな感じで曲を作るんですけど、そこに、いかに自分のフィルターを通すか、ですよね。Crispy Camera Clubのふるいにかけることが大切なわけで。

-いろいろな音楽の要素を発見できることは、聴く側にとっても楽しみですよね。

中根:そういうのをパクりだとは思わないですからね。

稲本:"これって、あの曲でしょ?"って言われるのが嬉しいんです。

-「Peggy Jean」は英詞ですけど、これまでの作品でも、必ず1枚に1曲ずつ英語詞のナンバーを入れてますね。

ミサト:自然とそうなるんですよね。なんでですかね......(笑)。日本語で言うのは恥ずかしいというか、自分っぽくないなっていうことは英語になるんだと思います。

-たしかに、"毎日、ラヴ・ストーリーを空想してる"(=Love Stories are in my head everyday.)とか、あんまりミサトさんっぽくないかも。

ミサト:そうですよね。これは恋に落ちるような一瞬の衝撃も、自分の人生の一部になっていくっていうようなことを歌ってます。タイトルはあとで付けたんですけど、"ピーナッツ"のキャラクターにペギー・ジーンっていう女の子がいて。チャーリー・ブラウンの文通相手なんですね。それがなんとなくイメージに合うなと思ったのと、ペギー・ジーンという言葉の響きが気に入って付けました。

-「BIG EASY」は疾走感のあるサウンドに乗せた、ミサトさんと稲本さんのハーモニーが心地よいです。男女二声だからこその清涼感がありますよね。

中根:これはオルタナな速い曲にしたかったんですよ。ギターを適当に弾いて、これ、使えそうやなって言ってて。完全にメロディをあとから乗っけてるパターンですね。

稲本:わりと僕がギター・ロックっぽく弾いたら、ギター・ロックっぽくなるから、メロディックじゃないほうのパンクとかエモの、自分の好きな部分を出そうと思ったんです。

-エモの稲本さんが好きな部分っていうのは?

稲本:bloodthirsty butchersあたりの音ですね。速いギター・ロックだと、普通の曲になっちゃうから、いかに工夫するか。あとは歌のハーモニーとかで差別化しました。

りんすけ:ふたりの声がフックですね。実は稲本君のコーラスは、レコーディングで思いついて、その場で入れることにしたんです。

-「エンディングロール」はイントロのシンセが肝になってて、今までのCrispy Camera Clubにはない新鮮さを感じました。

ミサト:これは80年代のイメージでメロディを膨らませていったんです。

中根:でも、僕は結構無視しちゃったんですよ、それを。

りんすけ:私は最近のインディー・ポップをイメージして叩きました。シンプルにしたかったのでドラム3点しか使ってないんですよね。

ミサト:いや、それが良かったと思う。

-結局、ミサトさんがソングライターとして、曲のアイディアとか原型を作るけど、それをメンバーがぶち壊すところに、このバンドの面白さがありますもんね。

ミサト:そう、そうなんですよね。

中根:なんでも"それいい!"って言ってくれるから、(ミサトに)芯がないんちゃうかな?と思ったりもしますけどね(笑)。