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INTERVIEW

Japanese

The Whoops

2019年06月号掲載

The Whoops

メンバー:宮田 翔平(Gt/Vo) 森 雅実(Ba/Vo) 須長 宏紀(Dr/Cho)

インタビュアー:蜂須賀 ちなみ

The Whoopsによる3年ぶりのフル・アルバム『Time Machine』は、全編打ち込みの「踊れない僕ら」を筆頭に多彩な楽曲を詰め込んだアルバムとなった。曲さえ良ければオールOK。そんな心構えを感じる、遊び心満載の作品。そこには、催眠術師をメンバーに迎えたり、アーティスト写真に偶然映り込んだ外国人カップルを捜索したり、浮気された経験をTwitterで発信したり......と何かとネタに走りがちなこのバンドの"楽しければオールOK"的な姿勢が反映されているようだ。Skream!としては3年ぶりのインタビュー。『Time Machine』収録曲のことだけでなく、バンド活動についても改めて振り返ってもらった。

-この3年間、コンスタントに作品を発表しつつ、このバンド特有のゆるさを保ちながら活動していた印象があって。

宮田:そうですね(笑)。

-まず訊きたいのが、催眠術師の夢幻颯人さんが加入し、お披露目ライヴ(4月20日に渋谷TSUTAYA O-nestで開催した"漂流響室 vol.4")で脱退した件について。あれはいったいなんだったんですか?

宮田:もともと去年"新しいメンバーを入れたいね"って話をしてたんですけど、そこで森ちゃんが"催眠術師入れたい"って言い出して。それでネタとして募集したら、そこそこ反響があったんですよ。それで満足してたんですけど、自主企画をやるってなったときに"本当に催眠術師を入れてみようか"っていう話になって。そこで夢幻さんに連絡したら加入してくれたんです。

-どういう感じでライヴに催眠術を取り入れたんですか?

宮田:まず催眠術パートが30分あって、そのあと僕らが50分間演奏するんですけど。

須長:だからもはやソロだよね。

森:うん、催眠術ソロ。

宮田:最初に僕らが予備催眠として"ワサビを食べても辛いと感じない"という催眠をかけてもらうんですよ。で、実際にワサビを食べてみせるんですけど、お客さんも最初は仕込みなんじゃないかって疑ってて。そこから"じゃあお客さんにもかけてみましょう"って、"重ねた手が離れない"という催眠をステージから全員にかけるんですけど、合図した瞬間にみんな本当に手が離れなくなって。

森:そこから"目が開かない"とか"上げた手が下りない"とかどんどん高度なものにしていくんですよ。

宮田:最後は、特に催眠にかかりやすかった6人のお客さんに、キムタク(木村拓哉)と倖田來未が乗り移る催眠をかけてもらって。みんながっつりかかってたよね。その中の1人はマイクを奪って「キューティーハニー」を熱唱し始めるほどで。

須長:俺らすら仕込みじゃないかって思うほどでした。

宮田:でも終わったあとにそのお客さんたちと喋ってみたら、Twitterをフォローしてくれてる人や、"サークルでコピー・バンドしてます!"っていう普通の人たちで。全然仕込みじゃなかった(笑)。

-それはすごいですね。で、そのあとに演奏すると。

宮田:はい。深い催眠をいったん解いてもらって、お客さん全員に"僕らのライヴをどっぷり楽しめる"っていう催眠をかけてもらうんですよ。僕らは"いいライヴできるよ"っていう催眠をかけてもらって。あと僕は"声がめっちゃ出る催眠をかけてください"ってお願いしました。

-そんなこともできるんですか。

宮田:何でもいけますよ、催眠は。趣旨としては、"どこまで自分を解放して楽しめるか"っていうのがありまして。催眠術で"恥ずかしい"っていう感覚がなくなれば、お客さんも純粋に音楽を楽しめるんじゃないかなと。あと僕らも、何かが憑依するような催眠にかかったらどういうライヴができるんだろう、みたいな興味があったんです。

-なるほど。The Whoopsの場合、ちょっと変わったことをやっても今さらバッシングされないというか、何をやっても許される空気ができあがりつつありますよね。

須長:いつからこうなったんだろう。

宮田:ちょっとずつふざけてたら戻れなくなったというか......。でも、今さらカッコ良くバンドをやろうとしたところでつまらないというか。

森:それに向いてないよね。

宮田:うん。だって、キモいですよね? カッコつけた感じでアー写とか撮ってたら。

-いや、キモくはないですよ。

宮田:でも、僕らはたまたまバンドをやってますけど、結局ただ仲のいい人同士が集まってふざけてるだけなのかもしれないです。ライヴをするけど、大喜利に呼ばれることもあるし、そこにあんまり違いがないというか。3人集まって面白いことをやれて、それを誰かが面白がってくれてるっていう状況が今はあるので、別に音楽だけじゃなくても、面白いことはやればいいんじゃないかなっていう感覚です。

森:そうですね。私も音楽にめちゃ詳しいわけじゃないし、お笑いの方が好きなので――

宮田:そうだよね。お笑いの方が好きだもんね(笑)。

森:そう。だからお笑いエッセンス多めの身の振り方をしてしまうっていうだけの話ですね。宮田さんじゃなかったら怒ると思うし、"ちゃんとやれ"って言われてると思うんですけど――

宮田:もうそのフェーズはとっくに脱してる。大丈夫、好き勝手やってくれ。

-では、音源の話に移りますね。前回のアルバム『FILM!!!』(2016年リリース)はあの時点でのベスト盤みたいな作品でしたけど、今回はどのような作品になったと思っていますか?

宮田:ジャンル的にはかなりしっちゃかめっちゃかだと思うんですけど、"意外とこんなことができるんだ"っていうのがわかりましたし、幅が広がったのは結果的に良かったと思ってて。実験作っちゃ実験作なので、音源を聴いたみんながどういう反応するのか、それが楽しみですね。それに......周りのバンドを見ると、ジャンルに特化したバンドの方が今は勢いがあるのかなって思ってたりするんですけど、僕らは"The Whoopsはこういうジャンルのバンドだからこういう音楽をやろう"みたいなものが明確にないというか。いい曲だったらやるじゃん?

森:そうだね。

宮田:ずっと前からそうですけど、やりたいことは全部やりたいなぁっていう。今回はそれが少しできたのかなっていう気がしていて、僕はそこに満足してますね。

-ちなみに、"Time Machine"というアルバム・タイトルはどこから? ラストには同じ名前の曲が収録されていますが。

宮田:今回の収録曲の中で最後にできたのが「time machine」だったんですけど、5分くらいでスッとできたんですよ。歌詞も"こういうことを書こう"と思って書いたというよりは、自分の中から自然に出てきた言葉がほとんどだから、アルバムの締めとしてすごくいいなぁと思って。で、このアルバムには僕らが過ごしてきた音楽の時代を遡ってる感覚があるというか、例えばTHE STROKESやミスチル(Mr.Children)、SUPERCARのような自分の好きな音楽の要素がちょこちょこ出ているなぁと思ってて。それでアルバム・タイトルも"Time Machine"にすることに決めました。だから、意図してたわけじゃないんですけど、"time machine"という曲ができたことによって全部が繋がった気がしますね。