Japanese
ナードマグネット
2018年06月号掲載
Member:須田 亮太(Vo/Gt)
Interviewer:TAISHI IWAMI
-「FREAKS & GEEKS」のミュージック・ビデオは学校が舞台になっています。クラスでうまくやっていくために求められる統一性に疑問を持っている人って、どういう人だと思いますか?
極端に見て取れる人だけじゃなくて、うまくやってるように見えて居心地の悪さを感じてる人もいると思うんです。"ナードマグネット"っていうバンド名でやってると、スクールカースト的な文脈で語られることも多いんですけど、今ってそんな単純な話ではないと思うんですよね。そんな図式では語れないし、問題の解決にもならない。そこもすごく意識はしてます。僕自身、ポップなメロディやキャッチーなサウンドを武器にいろんなシーンに馴染もうとうまくやってきましたけど、"実は腹の中ではこんなことを考えてます"っていう部分を、もう今回は言うたろうと。
-その潔さが気持ちいい。
最後には"君の好きな歌、実はそんな好きじゃないでしょ"って身も蓋もない、突き放すような言い方をしたんですけど、ちょっとドキッとする人もいるのかなって思いきや、わりと好印象な反応が多くて良かったです。
-みんな同じであることに疑問を持たない人への批判というよりは、自分だけが好きなものへの肯定的要素が強いからだと思います。みんなが好きじゃないものでも、堂々と好きだと言える場所に、ナードマグネットがなってますよね。
そう捉えてもらえると嬉しいですね。君の好きなものを否定してるんじゃなくて、本当に好きなものを好きって言えばいい。
-サウンド面では、オーセンティックなハード・ロック感が印象的でした。
今までとは違う隙間の多いギター・リフで押していけそうな感触があって、そこに自分が隠していた、刺々しい思いを乗せていけるような気がして、歌詞もできたんです。
-サウンドそのものにも怒りがあったということですか?
いえ、そこは『Nimrod』期のGREEN DAYに、TEENAGE FANCLUBみたいなコーラスを乗せたら、とか思いながら無邪気に作りました。
-ナードマグネットの曲の中でも、相変わらずかそれ以上のグッド・メロディで、演奏はリフで持っていけたからこそ、最もグルーヴした自由度の高い曲になったと思うんです。間奏の間なんて、むしろ画一的になりようがない。でもわかりやすいですし。
あの間奏でどう乗ってくれてもいいんです。ギター・ソロも思いっきり自由にやってますし、たしかに、おっしゃるような曲になったのかもしれません。
-「THE GREAT ESCAPE」は、1番から2番で倍速になる展開に上がります。
これは冒頭のMR.BIGみたいなリフが先に出来ました。MAEっていうエモのバンドにもこんな感じのリフがあるんですけど、"じゃあエモとかポップ・パンクみたいにしよう"と思って、2番で倍速にしてパンク感を出したんです。FALL OUT BOYの「Sugar We're Going Down」のあの感じ。00年代初期の色がかなり強い曲。
-シークレット・トラックではTHE WELLINGTONSのカバーを披露されています。
これはもう記録として、完全に趣味ですね。学生時代にひとりで彼らのライヴを観に行ってて、そこで騒いでいたおっさんがいたんですけど、振り返るとレーベルの社長だった。そういういい思い出ですね。
-THISTIME RECORDSやナードマグネット絡みの海外バンドといえば、THE EVERSONSがタイムリーですよね。まさか彼らがSUPERORGANISMになるとは。
そうなんですよ。知り合い史上、最も世界的に有名になった人たち。"フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL '18)"に出るから会いに行ってみようかと。僕らがTHE EVERSONSと対バンしたとき(2015年7月18日に心斎橋Pangeaにて開催した"「Mixtape Release Tour Final 大阪編」 ~パワーポップ大阪代表が外タレ呼んじゃったし、ちょっとマジでみんな、そこんとこお願いだ、この野郎!!~")は、Orono(SUPERORGANISM/Vo)ちゃんも観に来てたんですよ。
-そうやって続けていれば嬉しい再会もある。音楽の大きな魅力のひとつですよね。
本当に。そういう再会があるたびに、音楽やってて良かったと思います。
今こそじっくりとアルバムを作るとき。サブスクは宝探し。その中で本物の宝物を作る
-近くアルバムを出す予定はありますか?
アルバムを念頭に置いて作ったシングルだったんで、今日話したような気持ちが結実したような作品になるんじゃないかと。いつ出すかはまだわからないですけど。今の時代だからこそ、最高のアルバムを作って出したいんです。
-それはサブスクリプションがいよいよ国内でも主流になってくるタイミングで、という意味ですか?
それもあります。
-須田さんはCD全盛からダウンロード、そしてストリーミングと、すべてをがっつり体験していますよね?
はい。
-そのうえで、何か考えをお持ちなのでしょうか?
いい時代がきたと思います。毎日新譜をチェックしまくれる。だからこそ、本当にいいアルバムを作ることが大切。みんながほいほい聴いていくなかで、引っ掛かる作品は必ずあるはず。巨大なライブラリー、情報の洪水って、宝探しみたいなことで、楽しいじゃないですか。そこで本物の宝物を作ることに向かっていたいですね。
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