Japanese
ナードマグネット
Skream! マガジン 2017年08月号掲載
2017.06.17 @渋谷WWW X
Writer 石角 友香
6月7日にミニ・アルバム『MISS YOU』をリリースしたばかりのナードマグネットの東阪レコ発ワンマン・ライヴ東京編。結成11年目にしてキャリアハイを迎えようとしている4人の持ち曲すべて+愛すべきバンドのカバーも盛り込んで、もう逆さに振っても何も出なさそうな(失礼)、ひたすらに"パワー・ポップへの愛と正義"が詰まった約2時間だった。ちなみに私、初見だったのだが、2時間ひとときたりとも退屈する暇はなく、こういう時流に関係ない音楽愛に満ちたバンドが存在していることの心強さを抱えて帰路に着いたほどである(若干大げさか)。
 WWW Xがほぼ埋まっている状態に、登場したメンバーのテンションはぶち上がり。なのにスタートで、須田亮太(Vo/Gt)がステージ背後のロゴ・マークを指して"FOO FIGHTERSみたいでかっこよくないすか!? ちょっと売れてるメロコア・バンドみたいや! やったーーー"と、"え? そこ?"的な発言もろとも1曲目の「アフタースクール」へ。とにかく曲が短い。2~3分台のパワー・ポップを次々に畳み掛ける。でも、それはちゃんとパワー・ポップのメロディの良さやコードのクランチな感じの気持ちよさ、案外重いベース、自然と身体を揺らせるBPMなどを須田が嫌というほど自分の血肉にして、その結果、彼のセンスや生理に基づいた、ちゃんとメロディに乗る日本語詞としてアウトプットされているからこそ楽しいし、熱くなれるということ。しかも、バンドとして共有できる仲間が3人もいる、その美しさというか、半ばうらやましさも感じる。ただ、"クラスの端っこにいた男子代表"めいた須田、藤井亮輔(Gt/Cho)、秀村拓哉(Dr)に比べると、関西人特有の、かわいいけどどこかの肝の据わった女子像を体現する前川知子(Ba/Cho)はマイペースだ。彼女の"どこ吹く風"感が、さらにナードマグネットの"ハイスクール・ロック"感をリアルなものにしている。
WWW Xがほぼ埋まっている状態に、登場したメンバーのテンションはぶち上がり。なのにスタートで、須田亮太(Vo/Gt)がステージ背後のロゴ・マークを指して"FOO FIGHTERSみたいでかっこよくないすか!? ちょっと売れてるメロコア・バンドみたいや! やったーーー"と、"え? そこ?"的な発言もろとも1曲目の「アフタースクール」へ。とにかく曲が短い。2~3分台のパワー・ポップを次々に畳み掛ける。でも、それはちゃんとパワー・ポップのメロディの良さやコードのクランチな感じの気持ちよさ、案外重いベース、自然と身体を揺らせるBPMなどを須田が嫌というほど自分の血肉にして、その結果、彼のセンスや生理に基づいた、ちゃんとメロディに乗る日本語詞としてアウトプットされているからこそ楽しいし、熱くなれるということ。しかも、バンドとして共有できる仲間が3人もいる、その美しさというか、半ばうらやましさも感じる。ただ、"クラスの端っこにいた男子代表"めいた須田、藤井亮輔(Gt/Cho)、秀村拓哉(Dr)に比べると、関西人特有の、かわいいけどどこかの肝の据わった女子像を体現する前川知子(Ba/Cho)はマイペースだ。彼女の"どこ吹く風"感が、さらにナードマグネットの"ハイスクール・ロック"感をリアルなものにしている。
歌声、特に高音は中村一義にも似たものがあり、よく練られたメロディをしっかり歌う須田だが、MCとなるといきなり声がひっくり返るのはなぜか。しかもチューニングしながら、"僕ら以外出ないんですよ? 信じられますか? なんで、持ち曲全部やります!"と宣言。加えて、新作にも収録されたGOING UNDER GROUNDのカバー「グラフティー」も演奏。ファンの反応も厚い。なるほど、WEEZER直系のロック・ファンというより、フロアはもしかするとGOING UNDER GROUNDだったり、ELLEGARDEN、もしくはASIAN KUNG-FU GENERATIONだったり、WEEZERの影響下にある90年代の日本のロックの価値を更新してきたバンドを愛する人も多いのかもしれない。
また、ナードマグネットの強みはじっくり聴かせる「チェイシング・エイミー」や、グランジーでネガティヴィティもドライで重いサウンドに落とし込む「ルーザー」のようなスロー・チューンに説得力があること。これらの演奏の間に、須田はぼっち参戦の人に挙手させ、その多さに"僕もフジロックにぼっち参戦しますから! 繋がりなんて同じフリするとかちゃうで! ひとりひとりの意思で動いていい!"と、思わず泣き笑いしそうな名言を発する。それを素直に受け止められるのも、もちろん曲と演奏がいいからなのだが。中盤には敬愛するBOWLING FOR SOUPの「High School Never Ends」のカバーもプレイ。ここから低音のドライヴ感が夏の恋の物語をより立体的に転がした「海辺のルーシー」、グッとワイルドな「テキサス・シンデレラ」でバンドの筋力や広くアメリカン・ロックに根ざした線の太さも体感できた。
大きな変化なく着実に進んできたバンドにも思えるが、終盤、新作からの「グッバイ」での、須田の実体験に基づいた歌詞のリアリティ、淡々と進んでいく苦しい時間をなかったものにしない誠実さをそのままメロディにしたような曲の力。それをライヴでも瑞々しく伝える4人はたしかに前進しているのだと思う。切なさという意味では、大好きなバンドや曲は"勝手に僕、歌いますから"という須田の心意気をきちんと楽曲提供という形で実現したのが、HOLIDAYS OF SEVENTEENのフロントマンだった三浦太郎作曲の「MISS YOU」。先輩が作ったこの曲をナードマグネットがパワー・ポップのアンセムにする、そんな心意気を勝手に感じてしまった。
最終的にダブル・アンコールも含め全28曲をやりきった4人。彼らにとってパワー・ポップはジャンルではないし、それを文化遺産のように守ろうとしてるわけでもない。その音楽でしか表せない何かが研ぎ澄まされてきたからこそ、今、ナードマグネットが届き始めた――それを確信するに十分なライヴだった。

[Setlist]
1. アフタースクール
2. 恋は呪い
3. ラズベリー
4. TRAGICOMEDY
5. BOTTLE ROCKET
6. DUMB SONG
7. グラフティー(GOING UNDER GROUNDカバー)
8. (Let Me Be)Your Song
9. ウェンズデイ
10. チェイシング・エイミー
11. プロムクイーン
12. ルーザー
13. YOU & I
14. High School Never Ends(BOWLING FOR SOUPカバー)
15. 海辺のルーシー
16. テキサス・シンデレラ
17. イマジナリーフレンド
18. グッバイ
19. いとしのエレノア
20. C.S.L.
21. This Is For Real
22. Is This Love?
23. MISS YOU
24. pluto
-Encore-
25. Mixtape
26. ばくだんベビー
27. ぼくたちの失敗
-W Encore-
28. Stacy's Mom(FOUNTAINS OF WAYNEカバー)
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