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INTERVIEW

Japanese

YUTARO×フカツマサカズ

2018年04月号掲載

YUTARO×フカツマサカズ

ART LOVE MUSIC 代表:YUTARO
フカツマサカズ
インタビュアー:吉羽 さおり Photo by 上溝恭香

-それをロケでやるとなると、大変じゃないですか。

フカツ:そうなんですよね、日も沈んじゃうしね。

YUTARO:すごい煽ってきますもんね(笑)。

フカツ:"ちゃんとやれ!"みたいなね。

YUTARO:現場で流している音楽よりも、監督の声の方がデカいんです。

フカツ:たくさん撮って、一番おいしいところだけ使うんですよね。4分間演奏してもらっても、1カットとか、1秒しか使わないこともあるし。でも、その1秒のために演奏してもらうという。

YUTARO:名言ですね、それ。

-フカツ監督の映像の世界、特にMVを撮る入り口となったのはなんでしたか。

フカツ:僕は映画がもともと好きだったんですけど、ちょうどMTVが海外で流行り始めて、Michael JacksonとかのMVを観て面白いなと思ったのが最初ですね。初めはコマーシャル系の仕事をしていたんですけど、そこではやはり制約が多くて。ちょうど90年代の渋谷系のころだったんですけど、音楽モノは楽しそうだなって思って。それで、この道に入ってやるようになったんです。

YUTARO:制約が多くて音楽の方に来たということは、アーティスト志向だったんですかね。

フカツ:でも僕は、自分の撮りたいものがあまりないんだよね。そのバンドがどうしたら一番売れるかとか、カッコ良く見えるかというところでやっているから、これが撮りたいっていうわがままはないんです。YUTARO君の方が、頭は自由だと思うんですよ。わけわかんないこととか、平気で言うもんね(笑)。

-YUTAROさんがMVを手掛けるときのスタンスはどういうものですか。

YUTARO:今話を聞いてハッとしたんですけど、自分が音楽をやってきているから、もちろんバンドがこうなったらいいと考えるのはもちろんですけど、どうしても自分の趣味や旬に近づけているところがあるかもしれないなと思いました。そこは、せめぎ合ってますね。

フカツ:YUTARO君は、自分のレーベルのアーティストのMV制作をやることが多いんだよね。僕はどちらかというと、まず打ち合わせがあって。そこで、今ライヴにどれくらいお客さんが入っていて、男女比はこれくらいだというのを聞いて、ちょっと女の子が多いなというときは、男の子のファンを増やせそうなビデオにした方がいいかなとか。今、ライヴ会場が恵比寿のLIQUIDROOMだったら、じゃあ次はZeppに行けるくらいのスケール感にしようとか、そういう感じなんだよね。

-そのアプローチは、CM制作などとも近しい感じですね。

フカツ:売れてほしいという想いが強いので。あとは今までのそのアーティストのビデオを観ながら、それとは被らないようにしたいとか。だから、自分が撮りたいものというのはあまりないんです。

YUTARO:被らないようにというのはありますね。ただ、最近はドローンを使い出してます(笑)。最近、ドローンで撮ってるMVをよく見るなと思って、面白そうだなと。

-フカツさんもドローンは使ってますか。

フカツ:そこまで使ってないですかね。結構現場で時間がかかっちゃうんですよね。

YUTARO:バッテリーも持たないしですしね。

-球場で撮っているSHISHAMOの「明日も」はドローンではないですか。

フカツ:あれは、ちょっとだけ飛ばして撮ってますね。でもほとんどはテクノ・クレーンという長いクレーンを使って撮ってますね。

YUTARO:ONE OK ROCKの「C.h.a.o.s.m.y.t.h.」は?

フカツ:あれもクレーンかな。04 Limited Sazabysの「Horizon」は、ドローンを使ってますね。

-YUTAROさんが監督したA11yourDaysの「Hello, my future」は東京の街並みをドローンを使って撮っていますね。

YUTARO:あれは、10回以上撮りましたね。最後にグッと引きの画になるんですけど、あとから早送りで編集したくなかったので、実際にドローンのスピードを上げながら何回も撮りました。橋のギリギリでドローンを飛ばさないといけないから、何回もぶつかりそうになって、最後の方はもうできませんっていうくらいになっていて(笑)。

フカツ:映像って疲れない? よくやってるよね。

-監督にそれを言われてしまうと、返す言葉がないですけど(笑)。

フカツ:映像は、とにかくいっぱい撮らないといけなかったり、重い荷物を運んだり、機材を借りたりとか、場所の許可をとったり、弁当の手配もしないといけなかったり。やらなきゃいけないことが多すぎて大変だよね。

YUTARO:たしかに、大変ですね。

フカツ:この間、Aimerの「眩いばかり」のMVを撮ったんですけど、どうしてもてんとう虫を出したかったんですよ。それでアシスタントに、"てんとう虫を出したいから、探してくれ"って頼んで、東京で昆虫を売ってる店に片っ端から電話してもらったんだけど、てんとう虫は扱ってなくて。もう明日撮影だから、これから代々木公園に探しに行くしかねぇぞって冗談で言っていたんです。それで、ちょうどアシスタントが車で撮影場所の下見に行ったら、電話が掛かってきて。"今、奇跡が起きました! 車に突然虫が入ってきて、何かと思ったらてんとう虫でした"って。"でかした!"と。それで撮影で使えたんですよね。