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INTERVIEW

Japanese

ハンブレッダーズ

2018年01月号掲載

ハンブレッダーズ

Member:ムツムロ アキラ(Vo/Gt)

Interviewer:吉羽 さおり

-友達が作れない時期は、ひとりでどう過ごしていたんですか。

何もしてなかったんです。インターネットをしたり──ネガティヴすぎますね、こんなの。それこそ音楽だったり、ギターは触っていたんですけど、バンドを組むなんていう気持ちもなかったし。そうやってみんな大人になっていくのかなって思っていたんですけど。

-この状況はいつか、終わるのかなと。

そうです。他のメンバーもそんな感じだったんですよね。ベースのでらしはアニメが好きで、クラスでずっと浮いていたり、木島は、僕よりも友達がいなくて、吉野はサッカー部にいたんですけど、そのサッカー部の中でカーストが最下層やったりして。本当に、どうしようもない4人が集まっているという感じなんです。だから、僕の言葉に共感してもらって、ちゃんと伝えられているのかなって思いますね。今が一番、青春できているんじゃないかなって。

-今回の曲の中でも、何かバンドとして成長をしているかなと思う部分はありますか。

このアルバムの前は、恋愛が始まる瞬間の高揚感だったり、失恋したときの虚しさだったり、あとは音楽が好きだったので、音楽愛を歌にすることが多かったんですけど。歌詞的に言うと、そうじゃない曲も少しずつ増えてきて。4曲目の「常識の範疇」や6曲目の「睡眠至上主義」は、恋愛とはまったく関係のないところで書けた曲で。あとは、7曲目の「ファイナルボーイフレンド」は、付き合う前とか別れたあとではなくて、付き合っている最中の歌を初めて作ってみようと思って。それも自分の中では冒険というか、新しい曲でした。

-「ファイナルボーイフレンド」はすごくいいラヴ・ソングですよね。でも歌詞では、"迷惑じゃなければずっと そばにいて"という言い方をしちゃうんだなとは思いましたけど(笑)。

やっぱり、君が好きっていうよりも、こっちの方が自分に合ってるのかなと思うんですよね(笑)。堂々とできないんです。その堂々とできない気持ちを、堂々と歌っているんですけど。そこは、ヒネちゃうんですよね。音楽を作るうえでは、今作は新しくベーシストが加入してから初めて作ったアルバムで。以前は、スタジオでその場でセッションをして曲が作れなかったんですけど、それができるようになって、楽しく作れたアルバムですね。

-それで作曲がバンド・クレジットになっているんですね。

そうなんです。僕が1番だけのデモだったり、頭から最後までのデモを持っていって作ることが多いんですけど、基本的に僕は、メロディと歌詞だけが響けば良くて。編曲に関してはドラムの木島やギターの吉野が"このCメロはいらんと思う"とか、"この曲は2番で終わろう"とかいろいろと言ってくれるんです。だから、4人で作ったアルバムという印象が強いですね。

-さっき話に出た「常識の範疇」とかも、他の曲とはちょっと違ったサウンドのタッチで。

そうですね。アルバムの最初はアップテンポの曲が続いて、中盤でミドル・テンポの曲を作ろうってなったときに、中だるみをしないように新しいことをしようっていう。変わった音像の曲があった方が、アルバムとして濃密なんじゃないかなという話になって、リフから作った曲ですね。

-吉野さんの好みが存分に反映されたような感じですかね。

出てますね、すごく。気持ち悪いギターしか弾けないんですよ(笑)。どれだけギター・ロックを聴かせても、ちゃんとしたわかりやすいギターが弾けないんですよね。ライヴもすごくギターがうるさくて、ポップじゃないんですよね(笑)。不協和音も結構使われているんですけど、あまりそういうギターがいるJ-POPはないので、それがいい味になってるのかなとは思います。

-それでいて、爽やかさを失っていないので。いいバランスだと思いますよ。

ギリギリ"常識の範疇"で収まっているのかなという感じはします(笑)。そのぶん、僕が爽やかな曲を作らないと、中和させないとな、というふうには思ってます。

-歌詞を書いていくなかで、言葉選びはかなりこだわっているんですか。

毎日書いてます。毎日書き直して、日によってこっちの方が良かったなというのはあるんですけど、ライフワークというか、考えたり、書いたりするのが好きなんですよね。言葉とメロディの親和性を高めるのがすごく好きで。一番メロディの高いところでこの母音がきてほしいなとか、だとしたらどうやって言葉を当てはめようかな、みたいな、そんなパズルみたいに考えているんですけど、毎日書き直しているのが楽しいんです。

-曲の原風景みたいなものは、書いているなかでずっとあるんですか。

あとから出てくるものもありますね。6曲目の「睡眠至上主義」なんかは、完璧に音だけが先にできて、歌詞はあとからつけたものです。この曲だけが、アルバムを通して歪な曲になっていて。それこそ気持ち悪いギター・ソロが入ったり、ダークな展開になったりもするんですけど、アルバムを作るうえで、アルバムっぽい曲が1個あった方がいいんじゃないかってことで作った曲です。メロディとかはポップになっちゃって、裏打ちのノレる曲になっちゃったんですけど。僕は、みんなでクラブに行こうぜとか、踊ろうぜって歌詞は書けないので、"絶対に踊らないでおこうぜ"っていう曲を、裏打ちの曲に乗せてやろうと思って作ったのが「睡眠至上主義」です。

-心の叫びですね(笑)。

そうですね。恋愛の曲以外に関しても、生き方みたいなものをテーマにした曲をもっと歌いたいなって最近思えてきたので、それを歌っても、説得力がある年齢にも差し掛かってきたのかなと思いますね。それで自然とこういう曲ができたんだと思います。