Japanese
Plastic Tree
2017年02月号掲載
Member:有村 竜太朗(Vo) 長谷川 正(Ba)
Interviewer:荒澤 純子
-そして通常盤に収録されるのが「サーカス」の"Live Arrange Version"(Track.3)です。以前のシングル(2012年2月リリースの31stシングル『静脈』、2012年6月リリースの32ndシングル『くちづけ』)でも"Rebuild"として過去の曲が収録されましたけど、このタイミングでの「サーカス」は、かなりグッと来ました。
長谷川:こういうタイミングだからやってみようかなっていう発想だったんです。「サーカス」自体は『Puppet Show』(1998年リリースのメジャー2ndアルバム)に入ってはいるんですけど、プロデューサーの西脇(辰弥)さんのアドバイスもあってあのアレンジにしてるんです。でも、ライヴで演奏する際にはこっちのアレンジでずっとやってきたんですよ。ライヴDVDとかには(今回のバージョンで)収録されたことはあるんですけど、スタジオ録音でちゃんと音源として残してなかったんで、今回こういうタイミングで残しておくのはいいのかなと思って。
-そもそも「サーカス」を選曲した理由というのは?
長谷川:曲の世界観も含めて、バンドの原風景みたいなものが色濃く出ている曲だと思ったし、こういうタイミングだったら改めてみなさんに聴いてもらうのもいいのかなっていう感じでしたね。
有村:自分の中でもバンドをやるにあたっての個人的な......わかりやすく言うと世界観的な初期衝動が含まれた曲だし、バンドの精神論的な屋台骨の曲だし。でも単純に"今やってる普通のバージョンって、レコーディングしてないんだ"と思って。正君から話が出たときに、録れる場所が20周年のシングルなんて、こんなに良い場所はないから録りましょう! って。でもすごく長くやってきてる曲なので、それこそタカちゃん(※1996~2001年在籍のTAKASHI/Dr)がやってたときの「サーカス」、ブッチ(※2002~2009年在籍のササブチヒロシ/Dr)がやってたときの「サーカス」、ケンちゃんのとき「サーカス」ってどれも違うし、当時のフロント3人的にも違うし、だけどアレンジはもともと変わってない曲だから、どういう「サーカス」にしたらいいんだろう? っていうのは、レコーディングが楽しみでもあり大変だなって思うところもあり。
-単純に、今ライヴで演奏しているそのままをパッケージしましょう、という発想とも違ったわけですね。
有村:他の曲は、音源を作ってからライヴでやっていくから、一度正解を作ってる。だけどこの「サーカス」の場合、何百という正解があるわけで。それぞれの「サーカス」の大正解があるから、それをメンバー4人で合わせていくのは大変でしたね。一発目のレコーディングはドラムだから、ケンちゃんが一番大変だったと思う。自分らが伝達できるところまでというか、考えられるところまで突き詰めた究極をレコーディングした「サーカス」だと思います。
-佐藤さんにしたら、もともとは以前のドラマーが叩いているバージョンを身体に入れるところから始まって、今に至っているわけですからね。それを改めてレコーディングするとなると、どれが正解なのかは悩むわけで。
有村:自分が今やってるバージョンだけで済めばね。でもやっぱり、そうもいかず。かと言って、"俺が言ってる「サーカス」"も"正君が言ってる「サーカス」"も違ったりするから、それをみんなで会話しながら音を出して。ちょっと変わった曲なんですよね。ダブル・テンポどころか、3回ぐらいテンポが変わるし。変わって聞こえるだけなのか、グルーヴが違うだけなのか......とかいろんな検証も必要で。それで、ゴチャゴチャなところのカタルシスもあったりして、それを知らなかったら音楽的にまとめようとできるけど、ライヴでやっているのが正解で、しかも散々やっている曲だからそれをどうにか音源として残してやろうというのは、面白くもあり大変な作業でしたね。あとは、一種の"念がこもってる"っていう意味では、「サーカス」ってかなりの代表曲というか。
-もはやリスナーの念力も相当こもっている曲ですからね。
有村:そうなんですよね。だからまず、やれてよかったなっていう気持ちもあるし。今までの各「サーカス」を聴いたことがある人にも、初めて聴く人にも、今の自分らがやる「サーカス」が正解だから、聴いてほしいなと思います。
-今作のリリース後、春ツアー"念力発生"と、20周年記念ライヴとなる7月29日のパシフィコ横浜公演もアナウンスされていますが、2017年をどんな年にしたいと思いますか?
有村:最近、20周年を迎えるバンドも多いから、僕らの時代ってバンドが多いんだなって気づかされたんですけど、プラとしてはプラらしい20周年を、と。バンドがこれだけ長く続けられて、たくさん作品が作れたというのは、バンドの存在意義があったということだと素直に思えるので、それを僕らと自分たちのバンドを好きになってくれた人たちと再確認できるような年に......良い意味で言うんですけど、いろいろヘンテコなバンドだなと思うので、それを再認識できるような年になればいいなぁと思ってます。
長谷川:俺も似てますね(笑)。バンドの存在意義みたいなものを再確認できるような年になればいいなと思いますね。
-今までは照れ隠しなのか、節目の年をさらっと通りすぎようとしてきたバンドだと思うので、こういう、ここまで強い発言を聞いたことはなかったかもしれません。
長谷川:意外と、"メジャー・デビュー○周年"のときは、こういうことを考えるのが強いかもしれない。10周年のときは初めて武道館(※2007年開催の日本武道館公演)でやったり、「ゼロ」(日本武道館公演にて限定配布した楽曲)を作ったり。結成に関してはわりとさらっとしてるんですけど......。
有村:むしろそこは言わなくていいんじゃない? っていう(笑)。
長谷川:メジャー・デビューって区切りとしてわかりやすいですもんね。そういうわかりやすい区切りの年に、改めて"Plastic Treeとは何ぞや"みたいなものを自分たちでも確かめたい、という気持ちが出てくるんだと思います。それが2017年の最後に実感できればいいですね。
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