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INTERVIEW

Japanese

ANABANTFULLS

2016年10月号掲載

ANABANTFULLS

Member:安田 コウヘイ(Vo/Gt) 松村 卓己(Gt) 小林 卓矢(Ba) 鯉沼 遼(Dr)

Interviewer:山口 智男

-じゃあ、このバンドの根底にはロックをやりたいという意思があるわけですね?

安田:ロックですね。僕はBLANKEY JET CITYとかTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTとかは通ってきてなくて。ほんと、洋楽のクラシック・ロックとか、80年代、90年代の音楽を聴いていたので、それぞれ好きなジャンルは少しずつ違うんですけど、根底にはみんなロックがある。だから、自分たちはロック・バンドって感じですね。

-今の4人が集まったときには現在のようなスタイルになっていたんですか?

松村:なっていたと思います。そもそも僕らの曲の作り方は、安田がまるっと作ってきたものに対して、僕らが色をつけるという作業なんですよ。

鯉沼:そうですね。根本的には変わっていないような気がします。

-じゃあ、そこから作る曲やプレイが磨かれて、現在に至ると?

安田:そうです、そうです。

-自ら掲げている"グルーヴィ・ロック・バンド"という言葉はまさに言い得て妙だと思うのですが、そういう打ち出し方をするようになったのはいつごろから?

安田:今回のアルバムを作っている最中だと思います。スタジオでも"グルーヴ"って言葉が頻繁に出るようになってきたんですよ。"グルーヴィ・ロック"って言葉、面白いじゃないですか。アルバムでは軽やかに聴こえる曲もライヴではビートやグルーヴがしっかり掴めるものになっていると思うから、ライヴを観た人がしっくりくるようなキャッチ・フレーズが欲しいと思ったんですよ。

-ダンサブルと言うか、踊れる要素を大事にしているバンドなんじゃないかと感じたんですけど、それはライヴを通して身につけていったものなんでしょうか?

安田:今のメンバーになってまだ2年なんですけど、いろいろなバンドと対バンしていたら自分たちのストロング・ポイントがわからなくなった時期があったんですよ。言葉として何かを伝えたいのか、それともお客さんを踊らせたいのか。どっちに行きたいんだって悩んで、結論としてはどっちもやろうってことになったんですけど、言葉として何かを伝えるならアプローチは他にもいろいろあるじゃないですか。でも、人を踊らせるって、音楽にしかできないすごいことだと思うんですよ。だったら、踊れる音楽をやるべきだと思ったし、人を踊らせる前に、まず自分たちがステップを踏みやすい楽曲を作った方がいいんじゃないかってなっていったんです。

-ところで、バンド名の"ANABANTFULLS"ってどんな意味なのかなと思って調べたんですけど、そういう言葉はないですよね?

安田:ないです。これはえげつない下ネタなので(笑)、そこは想像にお任せするしかないです。言葉にするのも恥ずかしい。いつか聞かれると思ってました。バンド名を考えたのは中学生のときなんですよ。僕ら、"アナバン"と呼ばれてるんですけど、語呂もいいし、バンド名に"アナ"がついているのも面白いと思うんですよ。でも、由来はできれば答えたくないです(笑)。

-3人は由来を知っているんですか?

鯉沼:結構あとになってから知りました。

松村:彼が打ち上げで酔っ払って話しているのをふわっと聞いたことはあります。詳しくは知りません。

安田:別に知らなくてもいいことなので。

-"アナ"って言葉はちょっといやらしいですよね。

安田:それもいいなって思って。

-じゃあ、女の子のファンが"アナバン"、"アナバン"って言ってるとちょっと嬉しくないですか(笑)?

安田:いや、嬉しいと言うか、その子の親御さんに申し訳ないです(笑)。若い子たちがバイトして稼いだお金でライヴに来てくれるわけなんですけど、そこで"アナバン"、"アナバン"って言ってると、ほんと、お父さんお母さんごめんなさいって思います(笑)。

-今日も、Twitterで女の子ファンが"アナバン最高"って。

安田:いや、もう勘弁してください(笑)。

-それはさておき、今回『BAKAMANIA』という作品を作るにあたって、どんな作品にしたいと考えたんですか?

安田:俺たちのことを知らない人の方が圧倒的に多いので、できるだけANABANTFULLSがこういうバンドだってわかる曲を入れたというか。タイトルは奇をてらっているように思われるかもしれないけど、全然そんなつもりはなくて、音楽的に精度が高いもの、キャラクターがはっきりわかるものを入れたいと思いました。伝えたいことは一貫して、悔しいとか苦しいとか悲しいとか、そういうマイナスな言葉をあえて使ってでも、"踏ん張ってやるぞ"とか、"戦ってやるぞ"っていう前向きなことだけなんですよ。そういうポジティヴなアルバムを作りたかったし、そういうアルバムになったと思います。

-以前リリースした作品の収録曲の再録バージョンも収録されていますが、一番新しい曲は?

安田:「Girls On Fire」(Track.2)です。レコーディングの1週間前にできたんですよ。レコーディングに入る結構前からいっぱい曲を作って、(レーベルの)ボス(兼プロデューサー)に投げてたんですけど、"何かないか!? 何か"ってガツンと来るようなこの1曲をずっと求められてたんですよ。他に3曲ぐらい候補曲があったんですけど、それをボツにして、アナバンがこれまでやって来なかった軽いビートの曲をやってみようって、鯉沼とふたりで作った骨組みに、みんなにフレーズを加えてもらって、完成したのがレコーディングの1週間前。でも曲ができたとき、これはアルバムに入るなって確信がありました。