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INTERVIEW

Japanese

Mississippi Duck Festival

2016年09月号掲載

Mississippi Duck Festival

Member:大須賀 拓哉(Vo/Gt) 岡田 悠也(Dr/Cho) 川田 勤(Ba)

Interviewer:岡本 貴之

2014年に発表した1stミニ・アルバム『faust』以降コンスタントにリリースを重ね、精力的な活動を行っているMississippi Duck Festival。彼らが、3rdミニ・アルバム『mind』を8月31日にリリースする。今現在の音楽シーンに媚びることなく、彼らを求めるリスナーからの声にはしっかりと音楽で応え、独自の道を突き進んでいる。今、Mississippi Duck Festival自らが生み出す楽曲に、彼らはどんな夢を見ているのだろうか。現在の"mind"をじっくりと訊いてみた。

-毎年EPとミニ・アルバムを数ヶ月おきにリリースしていますが、今のバンドの調子はいかがですか?

大須賀:いろんな人に会うことでインプットすることが増えたと思っています。大きな出来事をひとつ挙げるとすると、LACCO TOWERさんが主催している群馬のフェス"I ROCKS"(4月30日に群馬音楽センターにて開催された"I ROCKS 2016 stand by LACCO TOWER[超故郷編]")に出演させていただいて、同年代の方やずっと地元で頑張ってきた群馬の方々とお話しする機会があって。どういうふうに活動しているのかというバンドへの姿勢や、音楽に対するアプローチ方法など、今まで知り得なかった部分を知ることができました。すごく大きな出来事だったので、それを踏まえてというか、作品ひとつ作るうえでどういうふうにリスナーに感じてもらえるのかを考えながら制作に取り組むことができたと思っています。

-"知ることができた"ことを具体的に言うと?

大須賀:僕らは群馬出身なんですけど、あんまり群馬でライヴをやってこなかったんですよ。これはフェスでも言ったんですけど、昔一度だけ群馬でやったときに、楽屋にいた人たちが"どうしたらお金を儲けられるか"みたいな話をしていたんです。それだけで、"もしかして群馬の人たちってそういう人なのかな"っていう偏見を持ってしまって。もともと僕らを拾ってくれたのは栃木県足利市のライヴハウスで、そこの人たちがいろんな音楽を教えてくれたので、"足利で育ててもらえてよかった"と思っていたんです。でも、この前の"I ROCKS"のときに音楽のことやツアーでの出会いを大事にしている人たちと話すことができました。そこで、やっぱり音楽に向き合っている人はちゃんといるし、心が豊かな人もいるんだなと気づいたんです。僕もそういう人たちと話をしたいと思えたので、意識の部分でだいぶ変わったなと思います。

岡田:"I ROCKS"に出演させていただいたのがすごく大きくて。そこから、僕らを気にしてくれる人たちが増えましたし、たくさんのものと触れ合えたのが今の活動に活かされていると思います。僕個人でいえば、このバンドはもともと4人組だったので、ドラマーとしてヴォーカルの後ろから周りを見ていたんですけど、3ピースになったときに前を向くことが気恥ずかしかったりしたんですよね。でもそれじゃダメで、前に発信していかなければいけないんだと思うようになりました。例えばコーラスを取るときも横を向きながら歌うとお客さんの表情が見えないので、もっとマイクを自分に近づけて前を向いて歌ったりするなど、意識が前に向くようなりました。

川田:制作でいうと、『faust』はずっとリード曲ができないまま進んで、最後にやっと「進化の証明」ができて"おっ!"みたいな感じだったんです。でも今回はデモの段階で良いと思える曲ができたので、それは活動を続けているうちに成長できたのかなと思っています。ライヴでは、"3人なのにサウンドに厚みがある"と言っていただくこともあるんですけど、そこは意識してきたことなので嬉しいですね。

-2015年は"攻めの年にしたい"と言っていましたが、2016年になってリリースした前作『scene』(4月リリースの3rd EP)に収録されている「clock」では"歌詞が書けない状況"を歌詞にしていたので、大丈夫かなって思ってました。

大須賀:あぁ、あれは本当にそのままだったんですよ(笑)。

-ただ、そういう状況すら苦しみつつも楽しんでいるような感じも受けました。それを経て今作の表題曲「mind」(Track.7)では、余計なことを考えずに音楽に没頭したいという意欲も伝わってきます。

大須賀:去年はツアー中にも曲を作っていたりして、精神的にも追い込まれるところがあったんですけど、今作はなるべく自分たちが思っていることや核となる部分を素直に受け取ってもらいたいな、という想いが大きかったです。『faust』のころは、どうしたら自分が好きな人たちに近づけるのかを考えていて。自分たちにないものをつけ足そうと気負っていたと思うんです。でも今回は、自分が今どこにいるのか、誰と対峙しているのか、その人に対して何を思っているのかを素直に伝えられるようになったと思うんです。いろんなバンドのライヴを観ていて思うのは、すごくカッコよくて曲の展開が多いし観ているお客さんとしては楽しいけど、ライヴが終わると"結局何が言いたかったんだろう?"と思うバンドもいて。すごくもったいないと思うので、自分たちの音楽ではそういう部分は絶対になくしたいなと思いました。ループ感や言葉のリフレインも使ってみて、"こういうことを思っているんだ、じゃあ自分はどう受け取ってみようかな"というリスナーの気持ちを繋げることに今回は焦点を当てました。

-そういうコンセプトは、最初にバンド内で話し合うんですか?

大須賀:コンセプトが見えてくるのは2、3曲作ってからなんですけど、僕はこのふたりと一緒にいる時間が一番多いので、共通項や話すこともほとんど一緒なんですよ。だからどこかでリンクする部分があったらいいなと思って作っていました。

-コンセプトが見えてくるきっかけになったのはどの曲ですか?

大須賀:「scene」(Track.5)ですね。"一秒後の僕が 映し出し/一秒前の君が 託した sceneさ"という歌詞の"一秒前の君"はリスナー自身のことでもあるんです。今までは自分が見てもらえればそれでいいやと思っていたんですけど、今までの自分も連れて行きたかったし、見てくれている人や新しく出会った方々にも、"一緒にワクワクしたいものがあるから一緒に行こうよ"って。そういう意識になれた曲だと思います。