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INTERVIEW

Japanese

彼女 IN THE DISPLAY

2016年06月号掲載

彼女 IN THE DISPLAY

Member:Ryosuke(Vo) 海 THE KID(Dr)

Interviewer:岡本 貴之

-"ジョジョの奇妙な冒険"(以下:ジョジョ)をきっかけに彼女 IN THE DISPLAYに興味を持つ人もいるんじゃないですか?

海 THE KID:どうだろう? いるんですかね?

Ryosuke:でも、ライヴが終わって物販に行くと声をかけてくれる人がそういう話をしてくることもありますね。昔は"ジョジョ"のフィギュアを置いてましたから。わかる人にはわかるという感じでしたね。

-『THE ROOTS』は久しぶりのリリースということもあって、制作するうえでこれまで以上にいろいろ考えたんじゃないですか?

海 THE KID:前作の『JAPANESE ORDER』(2014年リリースの1stミニ・アルバム)をリリースして、活動休止(※2015年5~10月まで)を経たあと、いろいろと大変でした。その場でずっと足踏みしているだけの状態だったので、曲の作り方とかライヴのやり方とか、どうしたらいいか全然わからなくなっちゃったんですよ。でも、そういう状況でも"OZZFEST JAPAN 2015"などでかいライヴばっかり決まっていって、僕らは止まっているのにバンド名だけは先に進んでいて。ライヴ出演のオファーをいただけるので、ちゃんと出演してライヴをやるんですけど、現役でやっている奴らに太刀打ちできないんですよね。そういうことを感じながら、改めて"彼女 IN THE DISPLAYらしさってなんだろう?"と考えて。『JAPANESE ORDER』は、"ラウド"や"歌モノ"という言葉ばかり気にしすぎて作ったアルバムで、大人ぶったというか、かなりカッコつけていたんです。でもそのアルバムがあったからこそ、今"彼女 IN THE DISPLAYらしさとは何か?"を考えることができました。その結果、好きなことを全部やろうと。そうしたら僕らの根本(ルーツ)に繋がった作品になりました。

Ryosuke:今回は歌詞も前作とはガラッと変わっていて、一周まわって少年の状態に戻ったというか、素直だったころの自分に触れている歌詞が多いです。改めてメンバー全員それぞれがやりたいことをやって、言いたいことを言いました。6年もバンドをやってきましたが、また今までと違うまとまり方をしていて面白いなと。一周まわっているんですけど、ちゃんとステップアップしている作品だと思います。

-「LET IT DIE -Hail 2 U-」に"俺たちは自由な旅人/だからこそ迷いに迷ってしまう"という歌詞がありますが、迷いの中から生まれた作品でもある?

Ryosuke:僕個人の強みでありウィーク・ポイントでもあるのは、"普通の人"だと思うんですよ。だから当たり前にいろいろ迷ってしまうし、コントロールしきれないこともすごく多くて。だったら僕がそれを歌うことで、同じ気持ちを持っている人たちが前に進めるといいなという思いをそのまま反映した歌詞ですね。

-Track.3「Overdrive Journey」もそうですが、"旅"や"遠くへ"という言葉が出てきて、"どこか遠くへ向かいたい"という気持ちがRyosukeさんの心境だったのかなって。

Ryosuke:ああ、なるほど。受け取り方次第だとは思うんですけど、僕個人としては"旅"や"遠くへ"という言葉は、人生を表す言葉だと思っていて。どこに行き着くかもわからないし、人生って旅みたいなものだなと思うんです。その中でいろいろあると思うけど、"楽しんでいきたい"という気持ちを素直にリリックに反映しています。

-それは活動休止中に、より強く思ったことなのでしょうか?

Ryosuke:そうですね。これまで前ばかり見て進んでいたので、活動休止中に足踏みしていたぶん、視野はすごく広く持てて、周りにあったいろんなものに気づくことができました。そこで改めて"俺ってなんだろう?"と自分のことについて考えたんですよ。単純にバンドがなかったらとか、いろいろ置き換えてみたんですけど、その答えがやっぱりこのバンドの中にあったんです。そういう気持ちになれたのはすごく大きいですね。

-きっと、Ryosukeさん以外のメンバーも含め、焦る気持ちになることもあったんじゃないかと想像するんですけど、それはやはり音を出すことで解決していったんですか?

海 THE KID:やるしかなかったですね。僕らは身体も健康だしできないことはないんですけど、ヴォーカルがいないと何も始まらないというか。それはライヴができないという単純な話じゃなくて、要するに曲が作れないんですよね。ずっと5人でセッションして作ってきたのが、ひとり欠けるとまったく先に進まなくて。

Ryosuke:僕自身もそうでしたね。休んでいる間、みんなとスタジオで合流していないときにメロディを作ったりするんですけど、結局、借り物なんですよ。何かを聴いて、"ああこれいいかも、こういう感じのメロディを作ってみよう"ってバンドに持ち込んで、実際にやってみたら自分のメロディじゃない感覚がすごくて。僕自身は気づいてなかったけど、メンバーの中ですごく違和感があって、"そういう小細工いらないよ"って。依存しているわけじゃないですけど、やっぱりバンドにいなきゃできないものがあるなと。チームなんだなってすごく思いました。

-もともと、曲作りは全員でセッションしながら、Ryosukeさんがメロディをつけてるんですか?

Ryosuke:ずっとそうですね。それは前から変わらないです。

-「LET IT DIE -Hail 2 U-」はちょっと仰け反るくらい、ものすごいドラミングで始まりますね。まさに溜めていたものを一気に吐き出すような。

海 THE KID:もう攻めの攻めで(笑)。この前初めてライヴでやったんですよ。"みんなの知らない曲やるぜ!"ってやったら、クソ盛り上がりましたね。この曲はもともと普通のアレンジの曲だったんですけど、僕がドラム録りで勝手に2ビートに変えたんです。

-4曲聴いても、普通に2拍と4拍のバック・ビートでシンプルに叩いているドラムってないですよね。

海 THE KID:ないですね。この曲は最初そういう感じに近かったんですけど、"ズダズダズダズダー"っていうふうにしました。

Ryosuke:俺らもバカなんで、"いいじゃん!"みたいな感じで誰かが合わせだしたらそっちの方向にいっちゃって(笑)。でもヴォーカリストとしても、全然いいんですよ。すべてが刺激になるというか、感じ方が変われば出てくるメロディも変わってくるので。本能から始まって、さらにみんなが考えている理性的なことや気持ちを聞いてから作るので、すごく面白いんですよ。そういえばこの曲、歌詞を書くのに一番時間がかかったのを思い出しました(笑)。