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INTERVIEW

Japanese

ART-SCHOOL

2016年05月号掲載

ART-SCHOOL

Member:木下 理樹(Vo/Gt)

Interviewer:石角 友香

-きれいなラヴ・ソングが多いのは変わらないですけど、Track.7「R.I.P」はよくぞ歌ってくれましたと思って。"笑われた分だけ きっと/強くなれるはずなんて/そんな言葉 嘘でした"という冒頭の歌詞はある種、真相をついてる。

強くなるわけないよね。でもある意味、僕は歌詞にして消化できてるから、強いのかもしれないですけど。

-でもこういうふうに言葉にしてくれると"そうそう"って思う人も多いと思います。

特に初めてART-SCHOOLを聴いてくれる人や、あんまり知らないんだけどちょっとART-SCHOOL聴いてみようかなと思ってくれてるような人かな。あと最近、聞くに耐えないニュースが多いでしょ? 中高生とかの。

-そうですね。すぐ死を選んでしまう。

そういうことってすごく勇気がいることだと思うけど、それは大人が絶対守んなきゃいけないから、そういう子たちにとっての繭のような感覚で包み込んであげたいし。自分自身は中学生ぐらいのときに、そういう音楽と出会ってめちゃくちゃ救われたんですよね。幸せだった。喜びも感じたし、ここに自分の居場所があるんだと思えた。だから、そういう居場所を作ってあげたいんですよね。僕がプロになってからずっと思ってたのは、そのことだけを歌い続けようと。気づいたらもう30代半ばですよ。言うたら恥ずかしい感じでも歌ってるわけでしょ。"ええ? 今さらこんなこと言うの?"みたいな。でもそうじゃないとそういう子たちには届かないと思うので。あるいはそういう子たちが少しでもラクになってくれるんなら、僕はそのためだけに続けてて良かったなと思えるし、そういう表現をしているつもり。それってすごく"え? 何言ってんの、今さら"っていう人も多いと思うけど、そういうバンドなんだからしょうがないっていうか、それを目的としてやっているから。音像とは別の話でね。

-そして木下さんの個人名義で長らく廃盤になっていた作品(1999年リリースの『TEENAGE LAST』)のリメイク版となるTrack.11「NORTH MARINE DRIVE」は再録というより新曲のように聴こえますね。

そうですね。いわゆるロード・ムービーのエンドロールで流れるようなイメージですね。

-軸が変わってないというか、ずっといいメロディを書いてるんだなって改めて思います。そして今回のような音像だと、自ずとメロディに耳はいくし。

今回は、あえてこのメンバーでメロディアスな作品にしたくて。そうでないとたぶん、新鮮な気持ちで作れなかったと思うし、『YOU』の二番煎じみたいな、そういう作品になることだけは絶対避けたかった。

-"ART-SCHOOLここにあり"ってアルバムだと思いますし、こんなことは他のバンドには真似できない。

そうですね。トディ(戸高賢史/Gt)とも話してたんですけど、16年かかってもうART-SCHOOLの代わりはいないっていうところまで来れた気がしたんですよ。でもまだ先は長いし、僕が尊敬してるアーティストはもっともっと音像のことを理解してたり、探究心が半端ないんでね。そこはまだ終わりではないんですけど。

-ART-SCHOOLってどんなバンドですか?どこから聴けばいいですか?って聞かれたときに最新アルバムを勧められるって、すごくいいじゃないですか。

僕もそういうのが1番いいバンドだと思うんですよ。"何から聴けばいい?"って言われたときにだいたい、初期の作品かベスト・アルバムじゃなくて、"これ(最新作)いいよ"って。もちろん、初期に思い入れがある人もいるから、それは彼らの人生と重なっているので、否定はしないけれども、少なくとも初めて聴く人や、そんなに聴いたことがない人には、このアルバムは響くんじゃないかなと思ってますね。

-最初の話じゃないですけど、今はレーベルの代表とアーティストという両面で作品を作ってるんですね。それがむしろ命綱なのかも知れないけれど。

ああ、そうですね。でも、現実を見たうえで夢を見るってもっとつらいものがありますよ。それでも夢を見せてあげなきゃいけないんでね。だから常にミュージシャンは、インタビューでも音楽の素晴らしさを語ってほしいんですよ。そうじゃないと、君たちは何のために音楽をやっているの?って僕は個人的に思う。特にそういう若いアーティストがもっともっと増えていってほしいですね。

-他の楽しいことに簡単に乗り換えられちゃうよ、とも思うし。

うん。僕、スマホ持ってないんですけど、スマホ・ゲームの何が楽しいのかまったくわかんないんです。なんか無理やりやらされたことがあって、そのときに"レアキャラが入った"とか言ってて。それって、すごく平面的な話だよね。もっと意味のあることってあるんだぜって思って。"意味がないからしたいんだよ、現実から逃れるためにね"っていうのはわかるんだけど、でも、人間っていつ死ぬかわからないんですよ、流動体ですし、有機体なんだから。生きて動いて、それから死んでいくだけですから、何が大事かっていうと"今"が大事なんですよ。今、自分が何をしているか。そこをもうちょっとアーティストは語るべきだし、やっぱりそこは純粋に考えてますよね。