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INTERVIEW

Japanese

惑星アブノーマル

2015年08月号掲載

惑星アブノーマル

Member:アレックスたねこ (歌) テナ・オンディーヌ (Syn/Key)

Interviewer:吉羽 さおり

-そういう湧き上がる発想と、書くスピード感とはどうせめぎ合うんですか。

テナ:そのときにできるものを最終的に出してくるような気がしますけどね。

アレックス:常に作ってはいるんですけど、いいと思えるものは、結局そのときに新鮮なものなのかなあ(笑)。想像してるものに、手が追いつかないんですよね。メロディとか歌詞は、すぐに録音したりメモリーを録れるんですけど。アレンジですよね、1番時間がかかるのは。脳ではもう鳴っていて、"こうしたいんですけど"って言ったら、パソコンが"わかった!"ってやってくれれば早いんですけどね(笑)。

-そういうスピード感だったり感覚にうまく答えてくれたのが鈴木さんだったんですね。「美術Ⅱ」が最初にできたということですが、ポップで、遊びが凝縮された曲ですね。

アレックス:この曲はだいぶ前に作った曲で、私としては今までの流れとあまり変わってない気持ちで作ったんです。私の知り合いにはバンドマンが多いんですけど、同棲してるカップルとかが結構いて、歌詞はそういうところから書いてますね。バンドマンってアホなんで――。

-はっきり言いましたね(笑)。

アレックス:(笑)愛すべきアホなところがあるじゃないですか。やりたいことをやって、ウエ~イって酔っぱらって朝方帰ってきて、一緒に住んでいる彼女に泣かれるみたいな。"どこで何してたの!"って件があるっていうのは、結構話で聞いているんですよね(笑)。その話が面白くて。例えば、飲んでるときに付き合ってる子に、3時間ごとに電話するんですよね。

-それは、なかなかですね。

アレックス:そういうのが、マジうけると思って(笑)。電話して第一声が"ごめんね"なんですよ、まず低姿勢から入る。そういうのを参考にして、ギャグにしたいなっていうか、曲にしたんです。

-だいぶ面白がって見ていたわけですね。

アレックス:面白がってました(笑)。わたしも結構、周りに怒られることが多くて。そういうのって、その瞬間はすごくヘコむけど、時間が経つとギャグになるじゃないですか。"あのときほんとひどかったよね"とか(笑)。あとになって笑える話っていうのが好きなんです。Bメロあたりにあるんですけど、一生懸命にバカはバカなりに彼女をなだめるんだけど、"君のことが好き......いや、たぶん好きなんだよね"みたいなこと言っちゃって。"たぶんって何!?"ってまたキレられるっていうのを表現したりして。

-Track.2「クローン」はいかがですか。これはかなり歌謡性が高いメロディで、濃いサウンドの曲になりました。

アレックス:「クローン」が今回1番新しいことをやれたかな。メロディは、オーソドックスな歌謡曲を意識して。私が90年代の音楽がすごく好きで、このアルバム全体はそれを意識しているんですけど。この曲はメロディが90年代チックで、サウンド自体は、今、私の中でEDMとかエレクトロな感じがきてて(笑)。

-それでこういうダンス・ミュージック的なシンセなんですね(笑)。

アレックス:EDMっていうとチャラいけど(笑)。
テナ:エレクトロ・ダンス・ミュージックというかね。

アレックス:ほんとは、"HEY!YO!"みたいなこともしたかったですけど(笑)。深いメッセージを描きたかったのでそうはならず(笑)。

テナ:きれい目にまとまりました。

アレックス:メロディと歌詞の生真面目さと、サウンド自体の遊んでいる感じ――美しくはして欲しかったので、きれいなサウンドではあるんですけどね。その相反するところを楽しんでもらえる曲になったかなと思います。

-その、90年代ではたねこさんはどのあたりがストライクなんですか。

アレックス:私は、ポルノグラフィティ、Mr.Children、あとは椎名林檎さんはもともと好きで。90年代とは違うけど、嵐も好きだし。生音と打ち込みの混じり合っているサウンドにしたかったんですよね。「クローン」はその中でも、かなり打ち込みを押し出しました。この曲ではメロディで繰り返しが多いんです。うちの姉に、"これあんたの曲にしてはメロディが遊ばなすぎじゃない?""ちょっと退屈なんだけど"って言われましたけど(笑)。

テナ:ええ(笑)?

アレックス:"でもね、その退屈さは後ろのサウンドが変わっているので、あえてなんですよ"って。「クローン」は歌詞が重いので、歌詞を受け止めすぎないようにというか(笑)。サウンドを聴いてもらいたいなっていう感じだったんです。

-なるほど。ダンス・ミュージックの考え方としては、むしろサウンドの方にループ感があると思うんですけど。

アレックス:そうなんですよ(笑)。でも、サカナクションとかPerfumeって、メロディが淡々として歌詞が一緒だったりする、そういうダンス・ミュージックがいいなと思ったんです。サカナクションで1番と2番の歌詞が一緒だったりするのとか、かなり衝撃的で。1番と2番が同じなのに、後ろのサウンドが変わっているから、まったく違った景色を見てるような感覚になる。そういうのを知ったときに、すごいなと思ったんです。なので、「クローン」はその第1弾と思っていただければ(笑)。