Overseas
BLUR
2015年05月号掲載
Member:Damon Albarn (Vo/Key/Gt) Graham Coxon (Gt/Vo/Cho) Alex James (Ba) Dave Rowntree (Dr)
-歌詞はどうやって書いたんですか?
Damon:何について書いていいのかわからなかった。というのも、ちゃんとできた曲にデモ・ヴォーカルを乗っけたのがたくさんあったんだよね。香港でレコーディングしたものには、明らかにGrahamとの関係を歌ったものがたくさんあって、だから何ていうか、ちょっとそのままやってみたというか、思い出のある場所をもう1度訪れてみることにしたんだ。そうすることで――1年半後になって、そこに対して興味深い見方ができるようになって。香港に戻ったときに1番心にあったのは、最近香港で起きた抗議デモのことで、それが起きたのが"ハッピー・バレー"っていうところで、その響きがこう、歌詞として面白いと思った。そこで実際に起きていたことと、場所の名前とがすごく矛盾してるんだけど、それが俺たちが泊まっていたホテルのすぐ隣で起きていたわけで、情景を思い浮かべることができた。まあ、"The Magic Whip"自体、すごくいろんな意味を含んだタイトルなんだよね。英語でもいくつか意味があるけど、"Whip"は中国語だと英語とはまたちょっと違う意味があるんだ。北京語だと、アイスクリームのネオンがあって、"The Magic Whip"ってあると、魔法のようで、暴力的で、支配的な意味を帯びてくる。中国には大好きなところがたくさんあるけど......規制がいろいろとある。表面的にはどんなに西洋化されていても、水面下ではかなり深い規制が張られている。"Magic Whip"って言葉を俺が使うとき、それはひとつの見解であって、その言葉の曖昧さが気に入ってるんだ。
-1度でもBLURの輝かしい過去を重荷に感じたことがありましたか?
Damon:俺にとって1番重要なのは、聴いてみてすごくよかったってことなんだ。自分がBLURをやってるんだと思いながら曲を書いたのはずいぶん久しぶりだった。でも、それに影響されるべきじゃないし、今回だってただのアルバムで、今の俺たちを映し出したもので、俺の頭の中にあるものだというのは変わらないんだ。無理をしてこのアルバムを作ったっていう感じはしないから、それが1番重要なことなんだ。
Graham:うん、だからこそあんまりやりたくなかったし、公式な発表はしたくなかったんだ。僕たち4人の間でさえも、お互い秘密にしていたというか、スタジオ入りはするけど、これはアルバムじゃなくて、ただ一緒にプレイしてみるだけなんだって感じで。誰にも話してなかったんだよ。
-前作から、メンバー間の個人的な/クリエイティヴな関係はどう変化しましたか?
Damon:素晴らしかった、すごく新鮮な気分だったよ。これはGrahamと僕が長年の親しい友人に戻るリハビリにおける画期的な出来事だと感じた。これは真のコラボレーターとして、そしてひとりの友人として、彼が戻って来るためになくてはならない最後のステップなんだって感じがしたんだ。
Alex:まったく変わらなかったよ。2012年にボックス・セットをリリースしたとき、これまでやってきたあらゆるものをまとめたデカいコンピレーション盤を作って、すべてを網羅したかったから全員が屋根裏やらクローゼットの奥まで引っ掻き回して、それでGrahamが持って帰ってた最初のリハーサルのカセットが出てきて、俺は1988年以来1度も聴いてないものだった。「She's So High」を作ったのが最初のリハーサルだったんだよ。その曲でオリンピックのライヴを始めたんだ。つまり、俺たち4人が初めて一緒にスタジオ入りしたときに最初のシングルができたってこと――すぐにできた曲で、そのデモ・テープを聴くと9分間ジャムってる感じなんだけど、聴いたらこれはまさにBLURでしかありえないっていう音なんだ。すぐにBLURだってわかる音なんだよ。Damonらしいヴォーカルとメロディ、Grahamのギター、ベースは完全にその他すべてと逆のことをやっていて、それこそまさに直球のBLURで――あんなケミストリーが生まれたのは信じられないくらいの幸運だった。そして本当に、それ以来何ひとつ変わってないんだ。今でもDamonが歌って、Grahamが狂ったようにギターを弾いて、俺が逆のことをやってるっていう。それこそがまさにBLURの最高の状態なんだ。そんなケミストリーがあるなんて、俺たちは本当に、本当に運がいいんだよ。それなのに4人でスタジオ入りしてアルバムを作るのに14年もかかった理由っていうのは、複雑なんだ。
-レコーディングしたままの音源から、GrahamとStephenが作ったものを聴いてどう思いましたか?
Damon:俺はすごく心配だった。GrahamがStephenを連れてやって来て、一緒にそれを聴きながら、俺たちは手を取り合っていた。だって、Grahamは本当にナーバスになっていたんだ。俺もすごくナーバスになっていた。それでスタジオに座って、最初に聴かせてくれたのが「Lonesome Street」で。何となく、昔に逆戻りした感じがして。それに俺が渡していたオリジナルのデモからなくなってるパートがあるとも思って、それでちょっとおかしな感じがしたんだ。第一印象は不安定な感じだったね。で、それから「New World Towers」を聴いて、とにかく、この曲はすごく気に入ったよ。すごくいい曲だと思ったし、後でもっともっと良くなった。「There Are Too Many Of Us」を聴くころには本当に夢中になっていた。"何てこった......ふたりが何をやってきたのかよくわかる"って思った。俺たちがレコーディングしてたものとそれほど違ってなかったけど、それと同時に......それからもう1度聴いて、2回目に「Lonesome Street」を聴いたときにはすごくワクワクした。奇妙な言及が保たれていて、アルバム全体が基本的に香港を拠点にしていて、1曲だけ平壌にちょっと離れるけど、基本的には全部香港での経験を歌ったものなんだ。でも香港でのセッションでレコーディングしていたヴォーカルに、"5:14発のイースト・グリンステッド行き"っていう歌詞があったんだよ! これはあのとき香港で考えてたことだったんだけど、自分で、"どうしてそんなこと考えたんだろう?"って考えてみたら、それが頭にあった理由として考えられるのは、Grahamと俺にはサセックスに住んでる友達がたくさんいるからだっていう、それしかなかった。昔はよくふたりでそこに行ってたから、繋がりがあるに違いなかった。だから、香港のことを歌ってる中で完全に無関係なんだけど、残すことにしたんだ。ルールなんかない、やりたいようにやってよくて、自分自身でいることで独自の正説を作るんだ。だから俺は自分の仕事が大好きなんだよね――平凡になったり、繰り返し過ぎたり、あまりにありきたりなものには絶対させないよ。
Alex:あれを選り分けるのは大仕事だった。5日間で20曲やってたと思う。ロックっぽく始まるのもあれば、それから30分すると、バラードになって、また10分するとファンキーになるっていう。あとアルバム2、3枚分くらいはあったかもしれないよ。今回はすごくリラックスしていて、ダーティなんだ。無理さえしなければうまくいくときもある。最高なのは、一貫性のある作品になったことだよ。5日間スタジオにいて、まさに香港にいるBLURって感じのサウンドになった。最高のBLURのアルバムの音がするんだ。
Dave:聴くのが楽しみだったよ――その時点で僕が聴けていたのは、Damonが"上手くいかなかったトラックだよ――どうしたらなんとかできるか教えて"って言って送ってきたものだけだったから。覚えてるのは、すごくワクワクしたことと、自分たちがプレイした曲に合わせて口笛を吹いてたことを今でも覚えてる。とにかく、僕は自分たちがやったものを聴くのに興味津々だった。
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