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BLUR

2013年12月号掲載

BLUR

Writer 山口 智男

2012年8月12日、ロンドンのハイド・パークで開催されたロンドン・オリンピック閉会記念コンサート"Best Of British"にBLURはヘッドライナーとして出演。8万人の大観衆の前で「Girls & Boys」「Beetlebum」「Song 2」「Parklife」といった往年のヒット曲に加え、新曲「Under The Westway」も披露する熱演を繰り広げた。

振り返ってみれば、英国らしさを追求することでバンドのアイデンティティと人気を確立したBLURほど、世界中が熱狂したイギリスの国民的な一大行事を締めくくる存在にふさわしいバンドはいなかっただろう。そんな晴れ舞台がデビュー・アルバムのリリースから数えて、ちょうど20周年に重ならなかったのは残念だったが、閉会記念コンサートの約2週間前にデビュー21周年を記念して、CDとDVDを合わせて計21枚組のボックス・セット『Blur 21』をリリースしたことを考えると、そこにはロンドン・オリンピックの熱狂に重ね合わせることで、イギリスを代表するロック・バンドとして今一度、BLURの復活と健在をアピールしようという意図があったのかもしれない。

もちろん、それがきっかけになったとは思わないが、ファンを狂喜させた2009年のリユニオン以来、バンドが断続的に続けていた活動は再び活発化。2013年からはワールド・ツアーを行う傍ら、世界各国のフェスティバルにも出演。そして、来年1月には約10年ぶりとなる来日公演を、バンドにとってもファンにとっても思い出深い日本武道館に加え、チケットがプレミアム化することは必至のZepp DiverCityで行うことが決定!それに合わせ、12月25日には彼らがこれまでリリースしてきた7枚のスタジオ・アルバムが紙ジャケット、SHM-CD仕様でリイシューされることになった。

1991年にリリースした1stアルバム『Leisure』で、マンチェスターやシューゲイザーといった前時代のムーヴメントの影響をひきずっていたことが今となっては懐かしい。そんな彼らが世界を席巻しはじめていたグランジ・ブームに対抗して、英国らしさを追求しはじめた1993年発表の2ndアルバム『Modern Life Is Rubbish』はブリティッシュ・ロックの伝統を現代風に解釈した作風が一部のリスナーに支持されるだけに止まったものの、その路線をさらに追求、同時に洗練を加えた『Parklife』(1994年)をきっかけにバンドの人気は急上昇。彼らはその年、デビューしたOASISとともに英国調の復古を謳ったブリット・ポップ・ブームの立役者としてUKロックをリードする存在に。

しかし、3部作の完結編と謳われた『The Great Escape』(1995年)を最後にブリット・ポップ路線と決別すると、その後はUSオルタナティヴに接近した『Blur』(1997年)、Madonnaを手がけたWilliam Orbitをプロデューサーに迎えた『13』(1999年)、Damon Albarn(Vo)との確執からGraham Coxon(Gt)が脱退したため、3人編成で完成させたオーガニックかつアンビエントな『Think Tank』(2003年)と新たなサウンドを追求し続けていった。

しかし、やがてバンドは求心力を失い、『Think Tank』発表後、活動を休止。DamonとGrahamの和解を経て、2009年にリユニオンが実現するまでメンバーそれぞれに活動を続けていた。

完全復活を遂げた現在は、ツアーやライヴ・アルバムだけではなく、新しいアルバムも作ってほしいと期待しているファンが少なくないと思うが、とりあえずは今回のリイシューと約10年ぶりに実現する来日公演を機に彼らが残したものの大きさを改めて振り返ってみたい。今回、リイシューされる7枚は、かつて5人目のメンバーと謳われたプロデューサー、Stephen Streetの監修の下、『Blur 21』用に新たにリマスターされた音源を使用。それぞれにシングルのB面曲など、ボーナス・トラックが3曲ずつ追加されている。
 

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