toitoitoi

INTERVIEW

Japanese

toitoitoi

2015年03月号掲載

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Member：岸川まき (Vo/Syn/Melodica)　村越真史 (Gt)

Interviewer：沖さやこ

－それこそバンドでやる機会を設けても良さそうです。それと今回、いつも明言をしない、感性の赴くままに綴られているまきさんの歌詞に、メッセージが込められていると感じて。

岸川：あ、嬉しい。今回歌詞は自分なりにひそかに挑戦していて。確かに感覚的に書くタイプなんですよ、あんまり直しもしないし、音として捉えてもらえればいいと思ってたし。『donburi』はそういうものも多かったんですけど、『××』はメッセージ性が強い「キスキスバンバン」が入ることもあって、ちゃんと届くようにしたくて意識をして全部の歌詞にちゃんと意味を込めました。だから今回は"これはダサいな""直接的すぎて歌詞に入れたくない"と以前なら思っていたワードもひそかに入れていて。

村越：でもまきさんが使わなさそうな言葉あんまりなくない？

岸川：だから言い回しとかも頑張ったんだって（笑）！できた音に寄せた歌詞を書いてみようとも挑戦して。自分の好きなものじゃないものも自分ワールドにしよう！という意識を持って書いてます。例えば「お言葉散歩」は走り書きした歌詞を歌って、歌い回しがダサいと思ったら直して、歌い回しはいいけど言葉がダサいと思ったら直して......を繰り返して。"この曲ではこれが伝えたい"と曲ごとに目的が決まってたので、メッセージが残るようになったのかもしれないです。

－村越さんのアコギ1本に、まきさんの歌というシンプルな構成の、Track.3「キスキスバンバン」やTrack.8「雑踏」は、詞もシンプルだと思いました。

村越：「雑踏」の詞、僕はすごく好きで。

岸川：この歌詞を書く前日に河原で「神田川」を歌いながら買い物に行っていて（笑）、そのときには「雑踏」の音が上がっていたので"歌詞どうしよう......"と悩んでたんですよね。時間もなかったので「神田川」を歌っていたことを活かして、自分の家から藤木さんのスタジオまで行く電車に乗ってる40分間で歌詞を書いたんです（笑）。自分もこの歌詞はすごく気に入っていて、一気にぶわっ！と出てきて。ラヴソングが書けない自分が、愛の要素を書きたいと思っていたらそれが40分で書けて、それを村越君がいいと言ってくれて。シンプルな歌詞なのは、シンプルにできたからだと思います。

－"二人は声を潜めて"の部分で、実際声と音を小さくして演奏しているところも素敵です。

岸川：これは私と村越君の専売特許だね（笑）。これはよくライヴでもやってるんですけど。ライヴでやると本当に静かになるんです。

村越：ダイナミクスを出すのはよくやってますね。でもすっごく弱く弾いたせいで"これちっちゃすぎない？ CDならもうちょい上げたほうがいいね"と言われて音量を上げてます（笑）。

－ふたりになったからこそ、シンプルなサウンドで魅せるぶん、まきさんもヴォーカリストとして成長できるのではとも思いました。

岸川：それはあると思います。バンドのライヴとtoitoitoiのライヴが1～2週間の中で一緒にあったときは、toitoitoiだと下手になっちゃうこともあったんですよね。ずっとバンドで歌ってると、ふたりのときに下手になっちゃったり、ずっとふたりでやってるとバンドで歌うと喉が潰れちゃいそうになったりで、歌い方の奥深さを感じて。ふたりだけでやり続けたお陰で、自分の声とは仲良くなってきた気がします。

村越：（※岸川に向かって）レコーディングにも慣れてきたんじゃない？

岸川：そうだね。言葉の発し方、置き方、息遣いや吸い方も考えてレコーディングできたので。やっぱりレコーディングは難しい。何千人がいるイメージをしなさいと言われても、やっぱりライヴのほうがお客さんを目の前にしてるぶん気持ちが乗せやすいし。そういうものもレコーディングでできないといけないんですけどね。