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INTERVIEW

Japanese

セカイイチ

セカイイチ

Member:岩崎 慧 (Vo/Gt) 吉澤 響 (Dr) 中内 正之 (Gt/Cho)

Interviewer:天野 史彬

-岩崎さんって、根本的にプロテスト・シンガー的な側面があるかたなのかなって思うんですよ。歌の中に自ずと社会が反映されていく部分があるというか。

岩崎:そうなのかな......。これまでそんなに勢力的に政治に参加してるわけではないですけど、政治に向かって敵対するのか、それとも他の何かに向かって敵対するのか......そういう側面はあるのかもしれないですね。何かに対して敵対心がある。それは毎回じゃないけど、自分の一面としてあると思う。......ただ、怒りだけで完結させてしまうのか、それともユーモアを入れて皮肉るのか、それで随分変わるなって思うんですよね。こんなこと言うと叩かれるかもしれないけど、プロテスト・ソングって簡単なんですよ。政治の場合、仮想的が共有できるでしょ? それは楽だし、書いててミュージシャンらしいし、ひとつの落としどころとして考えると楽なんですよね。それは自分でやってみて思った。前のアルバムの『The Band』に「快楽主義者」っていう震災後のことを歌った曲があって。でも、僕はどちらかというと、怒りを怒りのままぶつけるのは嫌いだし、悲しみを悲しみのままぶつけるのも嫌いだし。皮肉る、シュールにするっていうほうが好みかなって思いますね。今回の「未来」の場合はもっともっとストレートですけどね。でも、それも思ったことをやってるだけで。

-なるほど。あと、「光になる」や「さよなら夏の想い」には、ゴールを決めず、ただじっくりと1歩を踏み出していくような、静かな出発が描かれていますよね。決して"いくぞ!"って無理やり気合を入れてる感じじゃない。これも、今のセカイイチのモードを象徴しているのかなって思いました。

岩崎:うんうんうん......今のセカイイチのモードは、確かに"いくぞ!"みたいな感じではないかも。"よし、やってやるぜ!"ってめっちゃ力んでる感じじゃなくて、あくまでこれまで通り。むしろ、ちょっと最近の僕は抜けすぎてるぐらいで......(笑)。

吉澤&中内:くくく......(苦笑)。
岩崎:ほんと、去年までと変わらない活動感だと思う。Anaheim Recordsをデカくしよう!とか、デカい野望もないし。ただただ、最高の音楽を作れるような環境をみんなで作れるようにしていきたいっていう、それだけなんですよね。そんな感じかな。やっぱり音楽家は、音源を作って、その内容がすべてだと思うので。もっともっと最高のものを取り入れて、最高のものをアウトプットしたい、アウトプットし続けたい......それだけなんですよね。

-音楽家として、すごくナチュラルな地平に立ってますよね。バンドによっては、それまでのレーベルから離れたりした瞬間に躓いてしまう人たちもいると思うんですよ。

岩崎:まぁいろんな事情があるから一概には言えないけど、そういう人たちって結局、"メジャー・デビューが目標だったんじゃねえの?"って思うんですよ。でも僕は、いい音楽が作りたいんですよ。だから、全然ゴールはないんですよね。誰と闘うわけでもないし。だから、のんびりしちゃってるのかもしれないですけどね(笑)。

-ほんとに、今回の作品は新しいデビュー作と呼べるぐらいの作品なんじゃないかなと思うんですけど――。

岩崎:ほんとですか、嬉しい。ありがとうございます。いやでも、ほんとデビューですよね。レーベル第1弾やから。

吉澤:なんか、レーベル名の由来とか訊かれたりするじゃないですか。デビューした頃、バンド名の由来とか訊かれてたの思い出して、懐かしいんですよね(笑)。

岩崎:わかる(笑)。そんなに"デビュー作だ!"って力んだものではないけど、いろんな人たちに意見を聞くと、ほんとにそうなんやなって思う。みんな、デビュー作ぐらいの目線で感じてくれているのかって思い知るというか(笑)。

-再びデビューして、今後、セカイイチはどうなっていきたいですか。

岩崎:セカイイチは......今までも本気やったけど、これからはもっと本気出すバンドかなぁ......。

吉澤&中内:あははははははは(爆笑)!

岩崎:なんか、これからはとってもカルチャーの匂いをぷんぷんさせながら活動していけたらなって思います。

-カルチャーの匂いっていうのは?

岩崎:僕が思うのは、ドープであること。ある意味では、牙ですよね。そういう意味でカルチャーって言葉を使っていますね。

-実際、今の10代とか20代前半の子たちって、ドープなものを受け入れる受け皿がすごくありますよね。みんなすごく音楽好きなんですよ。

岩崎:そうそうそう。ねぇ、それはすごく思う。単純に音楽ファンに届けられる作品作りをしていきたいですね。

-吉澤さんと中内さんはどうですか?

吉澤:実際、今は自主レーベル・デビュー1年生なので、ちゃんとリリースして、どんな知らないことが待ってるのか......自主レーベルを立ち上げて、CDを流通させる仕組みから勉強した感じなので、いざやってみると知らないことだらけで。僕の中では、マネージャーになってレーベルの窓口になって、仕事がまだ1周してないんですよね。その様子を見てからじゃないとなんとも言えへんっていうのは正直あるんですけど、ただバンドの話をすると、これまでやってきたことと変わらないと思うんですよね。"よし売れるぞ!"って感じじゃなくて、"いいもん作るぞ"って、わいわい楽しくやる感じ......。

岩崎:そこまで緩くはないけどな(笑)。

吉澤:まぁ(笑)、いいものを真剣に作り出してっていうところだけですよね。

中内:うん。ノウハウや経験値のない若手バンドの持つピュアネスを、いろんな経験値とノウハウを知った11年目のバンドが手にしたっていう感じなんですよね。吉澤くんが言ったようにまだ1周してないから、わかんないこともたくさんあるんですけど、作品としては"Anaheim"という名前をつけた通り、ここからは何やってもええんやなっていうのがあるので。誰に言われるわけでもなく、自分たちで選んでいける。それは"いい作品を作る"っていう目標があってこそできることじゃないですか。だから"いいもの"を僕らの間で共有できていれば、何でもできると思ってます。