Japanese
Zaien Lily
2014年08月号掲載
Member:飛松 直美 (Vo/Key) 鈴木 健太 (Gt) 中村 光宏 (Dr) 原田 慶 (Ba)
Interviewer:天野 史彬
-このアルバムのラストに収録された「カンナ」は、ある意味で「三工又干ノ」で歌っていることを、もっと大きな視点から歌った曲だと思うんですよ。「三工又干ノ」がひとりの人間の生への肯定を歌った曲だとしたら、「カンナ」はもっと大きな、世代や血を通して人と人が繋がっていくことへの肯定を歌っている曲ですよね。
飛松:「カンナ」は、"永遠の0"の映画を観た時に、"受け継がれた命 僕らは繋げ繋げ繋いでく"っていう部分の歌詞がガッと出てきて。お爺ちゃんからお父さんから私って、代々受け継がれていくものがあって。でも戦争で、それができなかった命もあるじゃないですか。絶たれちゃう命もある。だから、私たちは繋いでいかないといけないなって思ったんです。それに、もし繋げられてきた命なら、たとえ何があっても自分から絶ってしまうことはいけないことだなって思ったし......やっぱり、"強く生きたい"っていう想いとか、誰かのその想いを後押ししたいっていう気持ちが、私が作る最近の曲にはあって。"生きる"っていうことが、(自分の作る曲の)根本にあるのかなって思います。
-親から子へ、そしてまたその子へって繋がっていく世代や歴史の中の一部として自分の命があることは、飛松さんにとって喜びとしてありますか?
飛松:そうですね......それまではあんまり考えなかったけど、"永遠の0"の映画を観た時に、そこにある"ありがたみ"を感じたというか。自分がこうして普通に生きてることは、もの凄いことなんだなっていうことがわかって。だから本当に、繋いでいかなきゃいけないと思ったし、戦争を知らない世代がこれから増えても、語り繋いでいかないといけないんだなっていうのも思いましたね。
-音楽もある意味でそうだと思うんですよ。今の時代は、歴史性から分断された音楽のあり方っていうのも確かにあって。でも、音楽には豊潤な歴史もあって。皆さんは、音楽の歴史を繋いでいきたいと思いますか?
鈴木:どうなんですかね? そこまで考えたことないけど......自分たちらしさを繋げていきたいかなっていうぐらいで(笑)。 中村:人が作れるものとしての音楽というか。今はパソコンで音楽は作れちゃうけど、そうやってデジタル化していく中でも、僕らは人が作れる温かさとか冷たさを繋げていきたいとは思いますね。 原田:単純に、音楽はなくならないでほしいなって思いますけどね。常に音楽のある生活って昔からあるものだと思うので。それがなくなっちゃったら、ミュージシャンっていう職業もなくなっちゃうし。そうなったら、僕は生きてて面白みもないし。そういう部分でも、音楽そのもの自体をなくさずに繋いでいけたらな、とは思います。
-わかりました。今回この『蝿ト百合』を完成させて、自分たちにとっても凄く大切なものを作ることができたんじゃないかなって思うんですけど、この先も歩いていけそうな確信はありますか?
原田:確信は......"ある"と言い切れるかどうか、ちょっと微妙だけど(笑)。レコーディングしてから何日か経ってみて、もっとできたかなっていう部分もあったりするし。
-でも、その思いは次に繋がっていくものだから、凄く健全だし、必要な気持ちだと思いますよ。
鈴木:うん、だから(このアルバムは)希望です、希望。 飛松:私もそう思います。希望。もう新曲もできてるので。
-その希望をこの先にも繋いでいってください。楽しみにしています。
飛松:はい、ありがとうございます。
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